ユッカ・フィラメントーサ/イトラン(糸蘭)の育て方

ユッカ・フィラメントーサの基本情報

科名:キジカクシ科 Asparagaceae
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属名:イトラン(ユッカ)属 Yucca
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学名: Yucca filamentosa
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原産:アメリカ合衆国南東部
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高さ:80~1.3m(開花時は花茎も含め3m)
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耐暑性:強い
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耐寒性:強い
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ユッカ・フィラメントーサの特徴

ユッカ・フィラメントーサはユッカ属の中では比較的コンパクトな種類で、幹は高く立ち上がらず葉長60~80㎝の剣のような細長い葉を放射状に伸ばします。

種小名のフィラメントーサ(filamentosa)はラテン語で「糸のような、糸状の」という意味があり、種小名が示す通り葉の縁には糸状の繊維が目立ちます。

また和名のイトラン(糸蘭)も形態から名づけられています。

USDA(アメリカ合衆国農務省)のHardiness Zoneを参照すると-15℃まで耐えることができ、暑さだけでなく寒さに強い性質です。また降雪に対する耐性もあり、数日間の積雪ならば問題なく地植えで育ちます。

耐寒性が高い一方で葉色や葉の質感は他のユッカと比べて熱帯の植物ような雰囲気があり、寒さを伴う温暖地でもトロピカルな植栽に有用です。

ユッカ・フィラメントーサの管理と置き場所

ユッカ・フィラメントーサは上記のように暑さ寒さともに強く、直射日光下であれば管理も極めて簡単な屋外観葉植物です。特に地植えにした場合は、ほぼ管理は必要なくなります。

根部は、太い地下茎、水分を多く含んだ太い根、水や栄養の吸収に関わる細い根で構成されており、極度に保水しやすい土質では根腐れしやすいため、排水の良い土質で植えます。

地下茎から子株を出しつつ親株の周囲に新しい株が増えていき、水平方向へ展開しながら大きな株へと育っていきます。

初夏に開花し、花茎は3mあたりまで立ち上がり、白からクリーム色の花を鈴なりに咲かせます。

ユッカ・フィラメントーサの年間管理表
ユッカ・フィラメントーサの植え替え

ユッカ・フィラメントーサの植え替えは、気温の上がる4月から6月が適期です。

暑さ寒さに強いためどの時期に植えてもある程度根付かせることができますが、盛夏と厳冬期を避けて植えた方が失敗は少なくなります。

露地植えの場合は、排水性の良い土を好むため土質に応じて改良を行います。

特に粘土質の場合では、根回りの大きさの2~3倍の広さに穴を掘り、掘り返した土に対して山砂・軽石小粒・鹿沼土小粒をそれぞれ2~3割ずつ混ぜて植え付けて下さい。

鉢植えの場合は、成長にともない株に対して鉢が小さくなるようであれば、随時植え替えを行い鉢のサイズを大きくします。

特に数年経つと地下茎が鉢を押し始めるので、2年に一度は植え替えた方が良いです。

ユッカ・フィラメントーサの用土の選び方

鉢植えでの理想的な土質としては、硬質赤玉土小粒:軽石小粒:鹿沼土小粒:ヤシ繊維=4:2:2:2の土での植え替えが良いです。

ヤシ繊維はベラボンようなアクの少ないものを使い、赤玉土は茨城用土などの潰れにくい硬質タイプを使います。

ただ性質が比較的強いため、良く発根している株ならば赤玉土小粒:腐葉土=7:3の土でも十分育ちます。

また市販の観葉植物用の土に軽石などを3割程度混ぜて排水を良くした用土でも植え替えできます。

ユッカ・フィラメントーサの水やり

庭植えの場合はほぼ天候任せで水やりの必要はありません。

一方で鉢栽培の場合は、夏期や気温が高い時期ははかなり水を必要としますし、生育も早くなります。

夏期は鉢土の表面が乾いたら鉢下から水がでるくらいたっぷりと与えます

。一方で春・秋は鉢土の表面が乾いて数日待ってから水を与えるくらいで良いです。冬場は月に一度ほどの水やりくらいで十分です。

水の渇きで簡単に枯れる植物ではないですが、極端に乾いている状態で放置すると、根の枯死から始まり葉が枯れ始めます。

ユッカ・フィラメントーサの肥料の与え方

肥料やりは生育が始まる5月から8月あたりまで緩効性の置き肥を鉢土の上に与えるか、液体肥料を水やりの際に与えてください。

ユッカ・フィラメントーサの手入れ

手入れなどの作業はほぼありませんが、開花後の花茎が枯れ始めると見た目が悪くなるため、太めの枝が切れる剪定ばさみなどで切り取ります。

また株の地表部に枯れ葉が目立つようならば時期を問わず除去します。

いずれの作業も葉先がやや鋭いため、手袋などの対策を行ったうえでの作業がおすすめです。

ユッカ・フィラメントーサの増やし方

ユッカ・フィラメントーサは「種まき」「株分け」で増やします。

種まき

種まきの場合は、開花後にできた種を採種・播種するか、販売されている種を取り寄せて種まきをします。

種まきは気温の上がる5月~6月以降が良いです。ポットなどに排水の良い培養土を入れ、種をまき種が隠れるくらいに覆土します。

水を与え、発芽までは直射日光のあたらない明るい日陰に置きます。発芽は品種にもよりますが1~2週間くらいで発芽します。

株分け

株分けは親株の株もとに出た子株を分けて増やします。できる限り太い根も一緒に分けれるように大きく育った子株を切り取って植え替えます。

根がほぼない状態の場合は、挿し木と同じように葉からの蒸散を減らすため、新芽近辺の葉は残しつつ、株全体の葉の量が半分以下になるまで剥ぎ取るか切り取ります。

切り口を日陰で数日間乾かしてから清潔な用土に挿し、日陰で水を与えつつ発根するまで管理します。発根したかの確認は新葉の展開を目安にすると良いです。

ユッカ・フィラメントーサの病害虫

病害虫に極めて強く地植えではほぼ病害虫に悩まされることはありません。ただし開花中の花に「アブラムシ」が発生したり、鉢植えで雨の当たらない環境で育てている場合に「ハダニ」が発生することがあります。

もし被害が酷い場合は、市販のスプレータイプの薬剤で「観葉植物」の登録と「アブラムシ」「ハダニ」が対象になっているものを使っていけば退治できます。

またアセフェート粒剤やクロアチニジン粒剤などを鉢内や株回りに撒くことで予防もできます。

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