エキザカム/ベニヒメリンドウ(紅姫竜胆)の育て方

エキザカム/ベニヒメリンドウ(紅姫竜胆)の基本情報

科名:リンドウ科 Gentianaceae
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属名:ベニヒメリンドウ属(エキザカム属)
   Exacum
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学名:Exacum affine
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異名(Synonym):
   Exacum gracilipes
   Exacum socotranum
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和名:ベニヒメリンドウ(紅姫竜胆)
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流通名:エキザカム
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英名:Persian violet
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原産:ソコトラ島(イエメン)
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開花時期:6月~10月
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高さ:20㎝~50㎝
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耐暑性:強い
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耐寒性:弱い
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エキザカム/ベニヒメリンドウ(紅姫竜胆)の特徴

ベニヒメリンドウ属(エキザカム属)はインド洋周辺地域原産のリンドウ科の一年草または短命な多年草で、「エキザカム」として流通する種類の多くはソコトラ島固有種の「ベニヒメリンドウ(紅姫竜胆=Exacum affine)」です。

エキザカムの花は5㎜くらいの小さな花ですが、青・白・ピンクなどの花色と中心の黄色の蕊との色彩の対比が可愛らしく、初夏から秋にかけて小さな花を散りばめるように咲かせます。

株姿は小さなツヤのある葉を密に茂らせてこんもりした株に育ちます。

葉はツヤだけでなく少し厚みもあり熱帯植物の雰囲気はありますが、花の色合いや大きさから涼し気な雰囲気も持ち合わせています。

屋内陽当たりで鉢花として育てたり、屋外の鉢や花壇、寄せ植えなどで楽しめ、一年草として育てることが多いですが、加温した屋内で冬に咲かせることもできます。

エキザカム/ベニヒメリンドウ(紅姫竜胆)の管理と置き場所

エキザカムの原種はソコトラ島の岩などが多いやや乾いた地域で自生しているため過湿を避けて管理します。

生育適温は15℃~25℃で、基本的な置き場所は陽の当たり・風通し・排水性の良い環境で育てますが、高温多湿で花が咲かなくなったり株が傷むことがあるため夏場は日陰に移動します。

また購入後すぐ直射日光下に出すと葉焼けすることがあるので、日照時間を増やしながら日光にならします。

本来は数年くらいの短命な多年草ですが、寒さが苦手なので一年草として育てることも多く初夏から秋まで開花を楽しみ晩秋に別の花に入れ替えます。

一方で冬に暖房の効いた室内に取り込むことで、花を咲かせつつ越冬させられるので、以下に夏の管理と冬の管理について説明します。

夏の管理

屋外で25℃を超えると生育が鈍くなり花付きが落ちるため、暑くならない場所に移動させます。

光量が少ない日陰では徒長や病害虫が発生しやすくなるので、木漏れ日が落ちる樹下や午前中だけ日が当たる日陰などが理想です。

室内が定温に維持される場合は、東側の窓辺など午前中だけ窓から日差しが入る場所に置きます。

一方で日中空調がなく締め切ることが多い場合は、高温で枯れることがあるため屋外に出します。

また屋外の屋根下や室内が乾燥している場合はハダニが発生しやすくなるため、定期的に葉裏に水をかけて発生を予防します。

冬の管理

寒さが苦手なため、冬は室内の南向きの明るい窓辺に置くことで越冬できます。

地植え株は晩秋までに鉢上げして室内に取り込む準備をします。

室内が定温に維持され最低室温が15℃以上ある場合は生育(環境によっては開花)するため、定期的な水やりを行いつつ春・秋と同じ管理をします。

室温が10℃前後の場合は水やりを控えて乾かし気味に管理し耐寒性を上げて冬越しします。室温が5℃を下回る場合は越冬が難しくなるため、最低室温が5℃以上で管理します。

エキザカム/ベニヒメリンドウ(紅姫竜胆)の年間管理表
 
エキザカム/ベニヒメリンドウ(紅姫竜胆)の植え替え

晩春~初夏に花付きの鉢や苗が店頭に並ぶので、購入後に一回り大きな鉢・寄せ植え・花壇などに植え替えます。

鉢植え

一度目の植え替え以降は株の生育具合に従って適宜鉢のサイズを大きくします。

根詰まりしている鉢植えの越冬株は真夏を除く4月~10月に植え替えを行います。

越冬株の植え替えは、鉢から根鉢を取り出し、土を半分~1/3程度落とし根を整理してから新しい土で新しい鉢に植え替えます。

庭植え

排水性を良くするために完熟の堆肥や腐葉土を土に混ぜてから植え付けます。

エキザカム/ベニヒメリンドウ(紅姫竜胆)の用土の選び方

エキザカムは排水良い草花用の培養土で植え替えます。

市販の花用培養土でも大丈夫ですが、土質によっては赤玉土小粒や軽石小粒などを1~2割程度混ぜて排水良く作り替えると良いです。

ブレンドする場合は赤玉土小粒:調整ピートモス:軽石小粒=5:3:2の混合土に植え替えもできます。

いずれの用土の場合でも、根腐れ防止のために珪酸塩白土を混ぜて植えるより育てやすくなります。

エキザカム/ベニヒメリンドウ(紅姫竜胆)の水やり

エキザカムの水やりは一般的な草花の水やりと同じですが、土の過湿が苦手なので水やり過多にならないように気を付けます。

鉢植えの場合は、表土が乾いてから鉢の下から水が出るまでたっぷりと与えます。

冬に室内に取り込んで越冬させる場合、夜間室温が15℃を下回るときは乾かし気味に管理した方が良いので表土が乾いて数日待ってから水を与えます。

庭植の場合は、植え付け当初にたっぷりと水を与えた後は概ね天候に委ねます。ただし長雨で根腐れすることがあるので、長期間にわたって雨が降る場合は雨除けします。

エキザカム/ベニヒメリンドウ(紅姫竜胆)の肥料の与え方

エキザカムの施肥は植えるときの元肥や開花中の追肥を適宜与えます。

特に開花量が多く長期間咲くので、追肥は鉢植え・庭植えともに必要になります。

植え替えの際は、根を傷めない緩効性の化成肥料を元肥として土に混ぜて植え付けます。

追肥は生育・開花する春(4月~6月)・秋(9月)に1ヵ月に1回の頻度で緩効性の化成肥料を株元から離した株回りに与えるか、1ヵ月に1~2回薄めた液体肥料を与えます。

エキザカム/ベニヒメリンドウ(紅姫竜胆)の手入れ
花摘み・枯葉取り

開花が終わった花弁や枯れた葉を放置すると灰色かび病などの発生源になるため、萎れ始めた花柄や株元の枯れ葉などは適宜摘み取ります。

刈り込み

開花しながら生育しこんもりとした株に育ちますが、株が茂りすぎた場合は真夏を除く4月~9月までの間に適宜刈り込みます。

刈り込む際は葉がない枝は枯れこむことがあるので、刈り込み後にも葉が残るようにします。

エキザカム/ベニヒメリンドウ(紅姫竜胆)の増やし方

エキザカムは「種まき」「挿し芽」で増やします。

種まき

撒き時期は無加温で4月~5月から種をまき7月~8月から開花させるか、無加温で10月(または加温して1月~2月)に種を撒き5月~6月に開花させます。

エキザカムの種は微細な好光性種子のため、種まきに使う用土もピートバンや種まき培土などの土質が細かいものを使い、覆土せずに種を撒きます。

育苗トレー予め湿らせた種まき用の培養土を入れるか、水で膨らませたピートバンを準備します。

種まき培土の場合は土表面に凹凸が少なくなるように軽く均してから、種が重ならないようにばら撒きします。

発芽後に密に生えたところは間引きを行い、本葉が出たあたりでポットに1苗ずつ移植します。

挿し芽

挿し芽の時期は真夏を除く4月~10月に行います。

5㎝前後を切り取り、挿し穂の下側1/3の葉を取って水に漬けて給水させます。親株に前日たっぷりと水を与えておくとより効果的です。

育苗トレーや鉢などに湿らせた挿し芽用の土やバーミキュライトなどの清潔な用土を入れ、挿し穂の1/3が埋まるように土に挿します。

なお挿し穂に発根促進剤を付けたり、活力剤を水に加えることで発根率が上がります。

エキザカム/ベニヒメリンドウ(紅姫竜胆)の病害虫

害虫として「アブラムシ」「ハダニ」、病気として「灰色かび病」が発生することがあります。

害虫

「アブラムシ」
新芽や花に発生しやすいです。特に陽当たりや風通しの悪い環境で発生しやすくなります。陽が当たる場所に移動したり、風通しを良くするなどの環境改善も重要になります。

「ハダニ」
夏期の雨の少なく乾燥した状態で発生しやすくなります。また鉢植えで屋根下のような雨の当たりにくい環境に置いている場合も発生しやすくなります。

主に葉裏に発生し、被害が酷くなると葉裏からの吸汁のためカスリ状に葉色が悪くなり、蜘蛛の巣のような糸が葉や枝を覆います。

発生初期は葉裏から勢いよく水を吹きかけて抑えることができます。蜘蛛の巣状に糸が覆っている場合は、葉裏から水を吹きかけた後、消毒をします。

病気

「灰色かび病」
終わった花柄や枯れた葉に発生します。長雨など湿度が高い状態で発生しやすく、灰色~灰褐色のカビが伝播していくため花柄や枯れ葉は早めに除去します。

風通しが悪い場所で発生量が増えることがあるので、育てている環境の改善も行うと良いです。

退治・治療方法

「アブラムシ」「ハダニ」「灰色かび病」の退治・治療は、市販のスプレータイプの薬剤で「花き」の登録と対象病害虫の記載があるものを使っていけば退治できます。

また害虫の場合はアセフェートやクロアチニジンを含む粒剤を株の周囲に撒くことで予防や退治ができます。

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