リビングストンデージーの育て方

リビングストンデージーの基本情報

科名:ハマミズナ科 Aizoaceae
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属名:クレレツム属 Cleretum
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学名:Cleretum bellidiforme
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異名(Synonym):
   Dorotheanthus bellidiformis
   Mesembryanthemum criniflorum
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和名:ヘラマツバギク(箆松場菊)
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別名:ベニハリソウ(紅玻璃草)
   サボテンギク(仙人掌菊)
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流通名:リビングストンデージー
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英名:Livingstone daisy
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原産:ケープ地方(南アフリカ)
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開花時期:4月~6月
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高さ:10㎝~20㎝
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耐暑性:弱い
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耐寒性:弱い
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リビングストンデージーの特徴

リビングストンデージーは春から初夏にかけてマツバギクに似たツヤのある華やかな花を咲かせるハマミズナ科クレレツム属の一年草です。

華やかな花だけでなく株姿も特徴的で、枝・葉ともに多肉質で表面に透明な突起で覆われていて、分枝しながら地表を這うように育ちます。

花は陽の当たる時間は開き、夕方(または雨天・曇天)は閉じて開閉を繰り返しながら数日間にわたって咲き、開花期間中は生育・分枝しながら新しい蕾を作り花数が増えていきます。

日本には昭和初期に入ってきて「ヘラマツバギク(箆松葉菊)」という和名がありますが流通上ほぼ使われることがなく、英名を元にした「リビングストンデージー」と呼ばれます。

リビングストンデージーは、以前メセンブリアンセマム属(Mesembryanthemum)に分類された後にドロセアンサス属(Dorotheanthus)を経て、現在は2012年の分子解析などを基にした分類でクレレツム属(Cleretum)に分類されています。

リビングストンデージーの管理と置き場所

リビングストンデージーは陽当たりよく、風通りと排水性の良い環境で育てます。

リビングストンデージーの自生地は気温が下がる時期に雨が多く、多肉植物とみなした場合は冬型多肉植物と同じ育て方をすれば多年草として育てられますが、一般的には草花として秋または春に種を撒き初夏まで咲かせる一年草として育てます。

松葉菊やポーチュラカなどと同じく多肉質なので土の過湿が苦手ですが、排水の良い土ならば花壇から鉢植えまで育てることができます。

リビングストンデージーの年間管理表
 
リビングストンデージーの植え替え

前年秋に種まきした苗や早春に加温して育てた苗は、霜の心配がなくなる3月あたりから屋外の花壇や鉢に植え替えます。

また3月になると店頭でリビングストンデージーの苗も並び始めます。

鉢植え

排水の良い用土を使い、苗の間隔を15㎝前後で植え付けます。

株は匍匐して大きく育ちますが、植え付け初期は過湿気味になり根腐れしやすいので、株間を詰めて苗を多めに植えた方が過湿による失敗が少なくなります。

地植え

陽当たりの良い場所に、排水良く根が張りやすいように土を作ってから株間15㎝~20㎝で植え付けます。

植え付ける場所の周囲に完熟堆肥や完熟有機肥料などを混ぜ込んでから植え付けると良いです。

リビングストンデージーの用土の選び方

市販の花や野菜用の培養土でも大丈夫ですが、土質によっては水通りと良くするために軽石小粒と鹿沼土小粒をそれぞれ2割ずつ混ぜて植え替えます。

また多肉植物用の培養土に花用の肥料を元肥として加えてから植えられます。

またブレンドする場合は赤玉土小粒:腐葉土:調整済ピートモス=5:3:2の土に植え替えもできます。

庭や花壇に植える場合は、完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

特に土質が粘土質の場合は、堆肥類以外に軽石小粒や鹿沼土小粒を1~2割ずつ混ぜて排水性を良くします。

リビングストンデージーの水やり

リビングストンデージーは多肉のような姿をしていますが、基本的な水やりは一般的な花の水の与え方に準じます。

鉢植えの場合は、鉢土の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

ただし植え付けたばかりの頃は、根が張っておらず土が乾きにくいため、土の表面が乾いて数日待ってから水を与えるようにします。

庭植えの場合は、植えた直後にたっぷりと水を与えた後は、おおむね雨まかせでも大丈夫です。

リビングストンデージーの肥料の与え方

鉢植えの場合は、元肥として根を傷めない緩効性の化成肥料を土に混ぜてから植え付けます。

地植えの場合は、土質改良のための完熟堆肥とともに完熟の有機肥料か根を傷めない緩効性の化成肥料を土に混ぜてから植え付けます。

以降は地植え・鉢植えともに、4月~6月まで追肥として1ヶ月に1回の頻度で株回りの株元から離れたところに置き肥を与えるか、月に1~2回の頻度で花用の液体肥料を与えます。

リビングストンデージーの手入れ
花柄摘み

リビングストンデージーは花が咲き終わるとシードポットが育ち始め、大量にシードポットができると開花しにくくなります。

採種しない場合は咲き終わった花は花茎の付け根から随時摘み取るか切り取ることで、次の花が咲きやすくなります。

また散った花柄は灰色かび病の原因にもなるため、落ちた花柄も取り除いておくと病気の発生を抑えることができます。

リビングストンデージーの増やし方

リビングストンデージーは種まきで増やします。

種まき

撒き時期:発芽適温は20℃前後で涼しい時期に種を撒くため、無加温の場合は春・秋の涼しい時期が撒き時期です。

秋まきは霜・雪よけして越冬する必要があるため、暖かい地域の方が向いています。

無加温で秋(9月~10月)または春(4月)に種を撒くか、加温して早春(1月~2月)に種を撒きます。

秋または早春に種を撒いてできた苗は3月~6月あたりまで開花し、春に種を撒いてできた苗は6月~7月の開花にします。

寒い地域は無加温で春(4月~5月)に種をまき、開花は7月~8月にかけて開花します。

撒き方:リビングストンデージーの種は好光性種子(明るい環境下で発芽する種子)のため種まき後に覆土しません。

また種も極めて小さいため用土はピートバンや市販の種まき培土のように土の目が細かいものを使います。

種まきトレイに用土を入れた後、種が小さく水やりなどで流されやすいので種まきの前にたっぷりと土に水を染み込ませます。ピートバンの場合は水に浸して給水させます。

種が固まりになったり重ならないように注意しながらバラ撒きします。

本葉が出たあたりから薄めに作った液体肥料を与えつつ育て、本葉が2~3枚出るまで育ったらポットに移植し、屋外に定植できる時期まで育てます。

定植やポットへの移植の際は、根が傷まないように苗の周りの土ごと取り出すか、土を解しながら苗を取り出します。

リビングストンデージーの病害虫

害虫として「アブラムシ」「ナメクジ」、病気として「灰色かび病」などが発生することがあります。

害虫

「アブラムシ」は新芽や花穂に発生しやすいです。

特に陽当たりや風通しの悪い環境で発生しやすくなります。陽が当たる場所に移動したり、風通しを良くするなどの環境改善も重要になります。

「ナメクジ」は日中は地際や株元で休んで、夕方以降に葉や茎を食害されます。

特に土の湿度が高いと集まりやすく、多肉質の葉を好むようで周囲に植物があってもリビングストンデージーが食害に大きくなります。

病気

「灰色かび病」は終わった花柄や枯れた葉に発生します。長雨など湿度が高い状態で発生しやすく、灰色~灰褐色のカビが伝播していくため花柄や枯れ葉は早めに除去します。

風通しが悪い場所で発生量が増えることがあるので、育てている環境の改善も行うと良いです。

退治・治療方法

「アブラムシ」「灰色かび病」の退治・治療は、市販のスプレータイプの薬剤で「花き」の登録と対象病害虫の記載があるものを使っていけば退治できます。

「アブラムシ」の場合はアセフェートやクロアチニジンを含む粒剤を株の周囲に撒くことで予防や退治ができます。

「ナメクジ」は貝類のため他の害虫用の薬剤で退治できないことが多いので、ナメクジ専用の誘殺剤を株の周囲に撒いて数を減らすか、ナメクジ専用のスプレーを使って退治します。

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