パンジーの育て方

パンジーの基本情報

科名:スミレ科 Violaceae
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属名:スミレ属(ビオラ/ヴィオラ属)
   Viola
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学名: Viola × wittrockiana
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異名(synonym):Viola tricolor var. hortensis
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英名:Pansy
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原産:ヨーロッパ
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開花時期:11月~5月
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高さ:10~50㎝
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耐暑性:弱い
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耐寒性:やや強い
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パンジーの特徴

パンジーはビオラとともに冬~春花壇の代表的な花です。

花色は黄、橙、赤、青、紫、白、各色の複色、花の中央にブロッチと呼ばれる黒い模様など幅広いですが、近年では黒花や八重咲きなども増え花色・花形のバリエーションもさらに豊富になっています。

サンショクスミレ(Viola tricolor)やマウンテンパンジー(Viola lutea)などのヨーロッパや近東に自生するスミレ属を交配して作られ、もともとは冬の寒さと夜の長さを引き金に春に開花する花でしたが、現在多くのパンジーやビオラはこの性質を弱めて秋から春まで開花する花になっています。

「パンジー」の由来

「パンジー」という名はフランス語の「pensée(パンセ=思索)」を由来にしています。

大きな花が人の顔のように見え、深く考えているような花首を傾げる姿から中世後期に英語として取り入れたようです。

花言葉も「もの思い」「私を思って」など思索に関連した意味があります。

学名の「Viola × wittrockiana」は藻類やスミレ属の研究を行ったスウェーデンの植物学者Veit Brecher Wittrockに由来しています。

現在のパンジーやビオラの基礎は19世紀初頭に生み出され、イギリスの四代目タンカーヴィル伯爵の娘でメアリーエリザベスベネット夫人は庭師のウィリアム・リチャードソンの監督のもとに、イギリス海軍のジェームズ・ガンビア卿は庭師のウィリアム・トンプソンの助言をもとに改良を進め「Viola × wittrockiana」と分類される交配種群を生み出したようです。

「パンジー」「ビオラ」の違い

「パンジー」と「ビオラ」の違いは花の大きさです。

園芸植物として流通するスミレ属の交配種のうち花が大き目のものを「パンジー」、小さめのものを「ビオラ」と呼び分けています。

上記のようにパンジーやビオラはヨーロッパから近東のスミレ属の仲間を交配(スミレ属メラニウム節内の交配)させて生み出されました。

そして学名はどちらも「Viola × wittrockiana」で、植物として二つの種類の違いはありません。

現在は品種改良の結果「小輪系のパンジー」や「大輪系のビオラ」なども作られており呼び分けが難しくなっています。

「エディブルフラワー」としてのパンジー

パンジーはビオラとともに「エディブルフラワー(edible flower=食用にできる花)」としても知られており、新鮮な花をサラダなど食用に使えます。

パンジーやビオラのもとになっているサンショクスミレ(Viola tricolor)はハーブとして「ハートシーズ(heartsease)」という名でも知られています。

そのためパンジーやビオラも育て方によってハーブの一種として利用できます。

ただし通常流通しているパンジーは観賞用に育てられていることがほとんどで、消毒なども含め食用を想定していません。

もしエディブルフラワーとして利用したい場合は、自宅で種から育てるか、ハーブまたは食用として販売されているパンジーを利用すると良いです。

パンジーの管理と置き場所

置き場所は陽当たりや風通りよく、排水の良い環境で育てて下さい。

パンジーは耐寒性一年草で、初秋~晩春まで生育し夏の高温多湿で枯死します。開花期は11月~5月で、寒さで開花量は異なりますが冬期も開花し続けます。

苗を選ぶ際に、株がグラグラと不安定な苗は根張りも悪いため避けます。

また徒長気味の苗を購入した場合や植え付け後徒長した場合は、伸びすぎている枝をピンチ(摘芯)を行います。

ただしピンチは寒冷期に行うと春まで開花しないことがあるので、晩秋以降に徒長した場合は翌春に刈り込んでください。

パンジーの年間管理表
 
パンジーの植え替え

11月あたりから苗が出回ります。苗を購入後、一回り大きな鉢、または寄せ植えや花壇などに植え替えて下さい。

成長にともない株に対して鉢が小さくなるようであれば、随時植え替えを行い鉢のサイズを大きくしてください。

春先にもパンジーの苗が販売されています。開花期間が長いため流通期間も長いですが、購入した苗が根詰まり気味の場合もあります。

その際にはポットから外した鉢土の上部と底面を少し剥がし、根が張りやすくします。

パンジーの用土の選び方

市販の花や野菜用の培養土でも大丈夫です。土の過湿が続くことを嫌うため排水の良い用土で植えます。

またブレンドする場合は赤玉土小粒:腐葉土=7:3の土に植え替えもできます。

庭や花壇に植える場合は、土を排水良くしておくと良いです。完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けてください。

パンジーの水やり

パンジーの水やりは一般的な花の水の与え方に準じます。

鉢植えの場合は基本的に鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

庭植えの場合は、植えた直後にたっぷりと水を与えた後は、おおむね雨まかせでも大丈夫です。

パンジーの肥料の与え方

パンジーは連続開花をするため比較的肥料が必要となります。植えるときの元肥や開花中の追肥を与え、肥料切れがおきないようにしましょう。

肥料を与える頻度はお持ちの肥料の説明に準じたほうが良いですが、鉢植えで置き肥を与えるなら月に1度は与えた方が良いと思います。

パンジーの手入れ
花摘み

販売されている苗は通常1~数個の花が咲いています。この花を苗を植え付けた時点で摘み取り、株や根の成長を促します。

特に11月上旬あたりで花壇に苗を植える場合は、花を摘み取ることで根も良く張り冬の開花が良くなります。

以降は随時咲き終わった花を花茎ごと株の付け根から折り取ります。

パンジーやビオラはセルフクリーニングという性質があり、開花後の花は下側へと移動し絶えず綺麗な花が観賞できますが、開花後の鞘を残すことで種が付き次第に開花しにくくなります。

切り戻し

植え付け時に花摘みと開花後の花摘み以外は基本的に作業はあまりありませんが、成長にまかせて育て続けると4月末あたりから伸びすぎた枝の付け根あたりに枯れ葉などが目立つようになります。

5月まで花・株ともにきれいな状態を保つために、3月上旬あたりで切り戻しを行って下さい。

パンジーの増やし方

パンジーは「種まき」で増やします。

種まき

種まきは8月末~9月末あたりですが、目安としてヒガンバナが開花する気温が適期です。

種を撒く場合は、市販の種まき用土かピートバンなどを準備し、種まき前に用土を十分給水させます。

用土を給水させた後、種をばら撒きして軽く覆土し、再度水を与えて発芽するまで明るい日陰で管理します。

発芽後に苗の生育にあわせて間引きしていきます。間引きの際は土から引き抜くのではなく、ハサミなどで切ると周囲の根を傷めません。

本葉が3~4枚くらいでポットに植え替えます。ポットで苗を大きく育てた後に定植する際は根が回る前に植え替えします。

採種をしたい場合は、花柄を摘み取らず種を育てます。種の成熟を待って採種しますが、成熟した種は零れ落ちるので種の色が変わり始めたら茶漉し袋などを付けると良いです。

パンジーの病害虫

パンジーには害虫として「アブラムシ」「ツマグロヒョウモン」、病気として「うどんこ病」などが発生することがあります。

害虫

「アブラムシ」
花裏や葉裏などから発生します。風通しが悪い場所や油粕などの窒素肥料過多で発生量が増えることがあるので、育てている環境の改善も行うと良いです。

「ツマグロヒョウモン」
ヒョウモンチョウの一種で、幼虫がスミレの仲間を食害します。幼虫は黒に赤の模様が入るイモムシで、棘状の突起があり見た目は毛虫のような姿です。

春先以降に幼虫が大きくなると目立つようになり、食害量も増えます。

病気

「うどんこ病」
葉の表面に白い粉のようなカビが発生します。陽当たりが悪い場合、または風通しが悪い場所や株が茂りすぎて通風が悪くなると発生しやすくなります。

被害が酷くなると株の成長が著しく悪くなるので、消毒の前に環境改善を行ってください。

退治・治療方法

「アブラムシ」「ツマグロヒョウモン(=アオムシ類)」「うどんこ病」の退治には、市販の薬剤またはスプレー剤で「花き」の登録と対象病害虫の記載があるものを使っていけば退治できます。

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