ダシリリオン(属)の育て方

ダシリリオン(属)の基本情報

科名:キジカクシ科 Asparagaceae
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属名:ダシリリオン属 Dasylirion
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学名:Dasylirion
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流通名:ダシリリオン
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英名:Sotol
   Dasylirion
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原産:北米南部
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高さ:~2m
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耐暑性:強い
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耐寒性:強い
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ダシリリオン(属)の特徴

ダシリリオン属はメキシコに約20種(3種のみメキシコ~アメリカ南西部)が存在しています。

多くの品種で鋸歯がある硬い葉がロゼット状に茂り、幼株時はプヤなどのブロメリア科の植物のような姿ですが、成長にともない貯水機能をもつ太い幹が立ち上がります。

種類によってはロゼット径が1.8m前後、高さ1.8m~2mくらいに育つことがあり、暑さ寒さに強く、直射日光下であれば管理も極めて簡単な屋外観葉植物です。

硬質な株姿はドライガーデンのような格好良さが際立つ庭づくりにお勧めです。

ダシリリオンという属名はギリシャ語の「dense(=密)」+「shaggy(=毛むくじゃら)」+「lily(=ユリ)」を合わせた複合語で、分子系統分類であるAPGⅢ分類システムでキジカクシ科スズラン亜科へと分類されています。

ソトール(Sotol)という蒸留酒をつくるためダシリリオン・ウェーレリ(Dasylirion wheeleri)、ダシリリオン・デュランゲンセ(Dasylirion durangense)、ダシリリオン・セドロサナム( Dasylirion cedrosanum)、ダシリリオン・レイオフィルム(Dasylirion leiophyllum)などが原料植物として使われているそうです。

ダシリリオン(属)の置き場所/年間管理

ダシリリオンの仲間は、北米南部の乾燥地で強い日差しの下に自生している種類が多く、育てるさいも屋外の直射日光が十分当たる場所が良いです。

また寒暖差が激しい地域のこともあり、暑さ・寒さともに強く、寒さでは-10℃まで耐性がある種類もいます。また耐寒性が高いものの雪や霜に弱い植物がある中で、ダシリリオンは温暖地や暖地での短期間の積雪ならば耐えることができます。

雌雄異株で、開花時に種類によって5m近くの花茎が伸びあがることがあります。ただし実生から開花まで15年くらいの年数を要するそうです。また幹が立ち上がるまでに数十年の年数が必要となるようです。

ダシリリオン(属)の年間管理表

ダシリリオン(属)の植え替え

乾燥に強く、過湿を嫌うため頻繁な植え替えは必要ありませんが、数年に1度は植え替えます。

植え替えは気温が高くなり始める5月あたりからの植え替えがお勧めです。温暖な地域では3~4月からの植え替えでも問題ありません。

9月以降でも植え替えは可能ですが、生育が止まる季節が近いので、翌年5月あたりまで待って植え替えるか、鉢が割れそうなくらいの緊急性があるなら冬場に根腐れし難いように一回り大きい鉢(大きすぎない鉢)で植え替えすると良いです。

ダシリリオン(属)の用土の選び方

排水の良い用土を使って植え替えます。

アガベや塊根植物用の培養土での植え替えが理想で、市販のサボテン用土で植え替えもできます。

またブレンドする場合は硬質赤玉土小粒:軽石小粒:鹿沼土小粒:ヤシ繊維=4:2:2:2の土に植え替えが良いです。

ヤシ繊維はベラボンようなアクの少ないものを使い、赤玉土は茨城用土などの潰れにくい硬質タイプを使います。

ダシリリオン(属)の水やり

ダシリリオンは乾燥地の植物で、幼株時から乾燥に強いですが幹立ちになりタンクが形成されると乾きに極めて強くなります。

また一方で根腐れしやすくなりますので、多湿を避ける水管理が必要です。

庭植えの場合はほぼ天候任せで水やりの必要はありません。

鉢栽培の場合は、夏期や気温が高い時期は適度に水を与えた方が生育も早くなります。

夏期は鉢土の表面が乾いたら鉢下から水がでるくらいたっぷりと与えます。

一方で春・秋は鉢土の表面が乾いて数日待ってから水を与えるくらいで良いです。冬場は月に一度ほどの水やりくらいで十分です。

ダシリリオン(属)の肥料の与え方

ダシリリオンは低肥料でも概ね問題なく生存しますが、生育速度を上げたい場合は生育が始まる5月から8月あたりまで緩効性の置き肥を鉢土の上に与えるか、液体肥料を水やりの際に与えます。

ダシリリオン(属)の増やし方

ダシリリオンは種まきで増やすことができます。

種まき

雌雄異株で開花までに年数が必要なため親株から採種は難しいので、市販の種を購入して撒きます。

種まきは気温の上がる6月以降が良いです。ポットなどに硬質赤玉土の細粒か多肉植物用の土を入れ、種をまき種が隠れるくらいに覆土します。

水を与え、発芽までは直射日光のあたらない明るい日陰に置きます。発芽は品種にもよりますが1~2週間くらいで発芽します。

ダシリリオン(属)の病害虫

比較的病害虫も少なく管理しやすい観葉植物ですが「カイガラムシ」が発生することがあります。また稀な例ですが「軟腐病」が発生することがあります。

害虫

「カイガラムシ」は葉の付け根等に発生することがあります。もし発生した場合は、市販のスプレータイプの薬剤で「観葉植物」と「カイガラムシ」が対象になっているものを使っていけば退治できます。

病気

「軟腐病」の発生は発見が遅れがちで枯死することがあるため注意が必要です。

他の植物では感染源にならないよう破棄することもありますが、ダシリリオンは高額なことも多く治療が良いかもしれません。

発症した場合は成長がとまり、若干葉色が悪くなることがあります。

生長点から腐り始めている場合は、新芽やその周囲の若い葉が黄緑色や黄色く色落ちして、葉の付け根が腐るため簡単に抜き取れるようになります。この際に軟腐病の特徴として腐敗臭がします。

治療方法

治療にあたって腐り始めている部分を全て取り除くため、一先ず抜き取れる葉を全て除去し、続いて患部をスプーンやスポイトなどを使い除去します。

なおダシリリオン・ロンギシマムのように棘のない品種などを除いて多くの場合が棘で作業が滞ります。厚手の服や革手袋や厚手のゴム手袋などを準備して作業にあたってください。

患部の除去が終わったら、ストレプトマイシン剤やボルドー剤など軟腐病に対する薬剤を患部および全体に噴霧します。

3週間かけて週一回薬剤をかけて様子を見つつ、病気進行が収まるまで続けます。

患部が窪みになり水が溜まりやすくなるため、治療中はビニールなどで簡単な防水を行い、治療後はウレタンなどで埋めると良いです。

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