Contents
- パンダスミレ(ツタスミレ)/タスマニアビオラの基本情報
- パンダスミレ(ツタスミレ)/タスマニアビオラの特徴
- パンダスミレ(ツタスミレ)/タスマニアビオラの管理と置き場所
- パンダスミレ(ツタスミレ)/タスマニアビオラの年間管理表
- パンダスミレ(ツタスミレ)/タスマニアビオラの植え替え
- パンダスミレ(ツタスミレ)/タスマニアビオラの用土の選び方
- パンダスミレ(ツタスミレ)/タスマニアビオラの水やり
- パンダスミレ(ツタスミレ)/タスマニアビオラの肥料の与え方
- パンダスミレ(ツタスミレ)/タスマニアビオラの手入れ
- パンダスミレ(ツタスミレ)/タスマニアビオラの増やし方
- パンダスミレ(ツタスミレ)/タスマニアビオラの病害虫
パンダスミレ(ツタスミレ)/タスマニアビオラの基本情報
科名:スミレ科 Violaceae
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属名:スミレ属(ビオラ属)
Viola
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学名:Viola banksii
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別名:ツタスミレ(蔦菫)
ツルスミレ(蔓菫)
パンダスミレ
タスマニアビオラ
ビオラ・ヘデラセア
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英名:Native violet(=Viola banksii)
Australian violet(=Viola hederacea)
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原産:オーストラリア南東部~タスマニア
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開花期:4月~6月・9月~11月
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高さ:~15㎝
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耐暑性:やや弱い
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耐寒性:やや弱い
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パンダスミレ(ツタスミレ)/タスマニアビオラの特徴
パンダスミレはオーストラリア南東部~タスマニア原産のスミレ科ビオラ属の一種で、花中央の濃く鮮やかな紫色と花縁の白が特徴の多年草ビオラです。
白と濃い紫の柄をパンダに見立てて「パンダビオラ」の名前で流通しますが、草姿から「ツタスミレ(蔦菫)」「ツルスミレ(蔓菫)」と呼ばれたり、原産地から「タスマニアビオラ」とも呼ばれます。
学名は「ビオラ・バンクシ―(Viola banksii)」ですが、以前は「ビオラ・ヘデラセア(Viola hederacea)」に含まれていたため、現在でもビオラ・ヘデラセアと呼ばれることが多いです。
ツルスミレやツタスミレの名前が示す通り、匍匐性で地表を這うように茂るので、グランドカバーとして植栽したり、下垂する性質からハンギングバスケットや寄せ植えの花材としても使うことができます。
また半日程度の明るい日陰を好むので、日陰の演出にも向いています。
パンダスミレ(ツタスミレ)/タスマニアビオラの管理と置き場所
パンダスミレは保水と排水のバランスの良い腐植質に富んだ土を好み、明るい日陰を好むので午前中だけ陽が当たる場所や木漏れ日が落ちる樹下などが育てやすいです。
地表を這うように伸びる蔓は、各節ごとに葉と根を伸ばして成長していき、鉢や段差がある花壇などの場合は下垂しながら茂るため高さのある鉢やハンギングポットで楽しむことができます。
スミレの仲間なので秋から春に流通する一年草のパンジーやビオラのように寒さに強いイメージを持ちやすいですが、パンダスミレは比較的温暖な環境を好む半耐寒性の多年草で、夏の強い日差しや高温、冬の凍結などに弱いです。
地植えの場合は、地域によっては一年草として育てることになるものの匍匐する性質を活かしてグランドカバーのとして演出することができます。
以下に多年草として育てる場合の夏と冬の管理を説明します。
夏の管理
春・秋は直射日光下でも育ちますが、初夏~初秋の強い日差しや高温による葉焼けや蒸れで株が傷むか枯死することがあります。
地植えの場合は年間通して明るい日陰の場所に植え、鉢植えは春・秋は直射日光でも育ちますが初夏~初秋は日陰に移動します。
冬の管理
暖地や温暖地でも比較的霜や雪が穏やかな地域は地植えで育てることができますが、凍結を嫌うため冬場に腐葉土や落ち葉などでマルチングを行うと越冬しやすくなります。
一方で寒冷地や温暖地でも寒さが厳しい地域では、冬に凍結しない場所へ移動できるように鉢栽培するか、地植えの場合は晩秋に鉢上げして凍結しない場所に移動させます。
パンダスミレ(ツタスミレ)/タスマニアビオラの年間管理表
パンダスミレ(ツタスミレ)/タスマニアビオラの植え替え
苗を購入後、一回り大きな鉢、寄せ植え、または花壇などに植え替えます。
多年草として育てている株の植え替えは、4月~5月(暖かい地域では3月から)・9月中旬~10月に行い、根詰まり緩和と土を入れ替えるために年に1回は植え替えた方が良いです。
鉢植え
成長にともない株に対して鉢が小さくなるようであれば、植え替え適期に植え替え鉢のサイズを大きくします。
特に根詰まりを起こすと葉が枯れ混み、見た目が著しく悪化するので適宜の植え替えが良いです。
地植え
地植えする場合は、夏場に終日直射日光が当たると株が傷むので、年間通して明るい日陰になるような木漏れ日が落ちる樹下や午前中だけ陽が当たるような明るい日陰に植え付けます。
暖地または温暖地で比較的霜や雪が穏やかな地域は、地植えでグランドカバーとして育てることもできます。
寒地・寒冷地や温暖地でも冷え込む地域は、冬までの一年草として育てるか、秋に鉢上げして凍らない場所に移動して多年草として育てます。
パンダスミレ(ツタスミレ)/タスマニアビオラの用土の選び方
保水・排水のバランスが良く腐植に富んだ用土を好みます。
市販の花用の培養土でも大丈夫です。またブレンドする場合は赤玉土小粒:軽石小粒:腐葉土:調整済みピートモス=4:2:2:2の土に植え替えもできます。
庭や花壇に植える場合は、完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。
パンダスミレ(ツタスミレ)/タスマニアビオラの水やり
パンダスミレの水やりは一般的な花の水の与え方に準じますが、土が乾ききる状態は苦手なので水枯れに注意します。
鉢植えの場合は年間通して表土が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。
庭植えの場合は、植えた直後にたっぷりと水を与え、以降は頻繁な水やりは必要ないですが表土の乾く場合はたっぷりと水を与えます。
冬場の水やりは、鉢・庭植えともに乾ききらない程度に頻度を抑えることで、耐寒性を上がって越冬しやすくなります。
パンダスミレ(ツタスミレ)/タスマニアビオラの肥料の与え方
鉢植えの場合は、植え付ける際に元肥として根を傷めないような緩効性の化成肥料を土に混ぜて植え付けます。
地植えの場合は、植え付け前に土質改良のための完熟堆肥などと一緒に根を傷めないような完熟の有機肥料または緩効性の化成肥料を土に混ぜ込んでから植え付けます。
以降は春・秋の生育が活発な時期に、一ヵ月に1~2回の頻度で花用の液体肥料を与えるか、一ヵ月に1回の頻度で根回りから離して緩効性の化成肥料を与えます。
ただし置き肥として緩効性化成肥料を与える場合で、置く場所がないほど株が茂っているときは株を傷めないように液体肥料で追肥を与えます。
パンダスミレ(ツタスミレ)/タスマニアビオラの手入れ
花柄取り
種採りする場合を除き、開花中は適宜咲き終わった花を取り除きます。花弁のみを取り除いても種が出来て開花しにくくなるので、花摘みする際は花茎の根元から取り除きます
また湿度が高い時期は咲き終わった花柄が灰色かび病の原因になることがあるので、5月下旬以降は特に注意して取り除きます。
刈り込み
パンダスミレは這うように茂るため、望まない場所まで伸びすぎた場合は適宜切り取り除去します。
寄せ植えでは下垂して演出することも多く、伸びすぎた場合は寄せ植えのバランスが崩れるため、茂りすぎた部分を思い切って刈り込むことで新芽を出だせて更新します。
枯葉取り
気温と湿度が高い時期は枯れ葉が灰色かび病の原因になったり、株全体の風通しを悪くして夏場の蒸れの原因になるため、梅雨前あたりから適宜枯葉を取り除きます。
パンダスミレ(ツタスミレ)/タスマニアビオラの増やし方
パンダスミレは株分け・蔓伏せ・種まきで増やします。
株分け
株分けの適期は4月~5月・9月中旬~10月中旬で、蔓と根が揃って分けられるように、親株を切り分けて植えなおします。
蔓伏せ
パンダスミレは根を伸ばしながら匍匐するので蔓伏せで増やせます。
適期は株分けと同じく4月~5月・9月中旬~10月中旬あたりで、親株から伸びた蔓を土の上に置き針金などで蔓を土に固定します。発根後に親株から切り分け増やします。
すでに接地している蔓が発根している場合は、根ともに蔓を切り分けて増やすこともできます。
種まき
種まきの適期は4月~5月、9月中旬~10月中旬に行い、前年または春に採種した種を使って種まきします。
採種をしたい場合は、花柄を摘み取らず種を育てます。種の成熟を待って採種しますが、成熟した種は零れ落ちるので種の色が変わり始めたら茶漉し袋などを付けると良いです。
種まきに必要な資材として市販の種まき用土かピートバンなどを準備し、水を十分含ませた後に種をばら撒きします。
発芽するまで明るい日陰で乾かないように管理し、発芽後に苗の生育にあわせて間引きしていきます。
間引きの際は土から引き抜くのではなく、ハサミなどで切ると周囲の根を傷めません。
本葉が3~4枚くらいでポットに植え替えます。ポットで苗を大きく育てた後に定植する際は根が回る前に植え替えします。
パンダスミレ(ツタスミレ)/タスマニアビオラの病害虫
害虫として「アブラムシ」「ツマグロヒョウモン」、病気として「灰色かび病」などが発生することがあります。
害虫
「アブラムシ」は葉裏などから発生し、グランドカバー状に育つので気づきにくいですが、大発生すると吸汁害虫なので葉に黒いカビが生える「すす病」を併発します。
特に陽当たりや風通しの悪い環境で発生しやすくなります。
「ツマグロヒョウモン」はヒョウモンチョウの一種で、幼虫がスミレの仲間を食害します。
幼虫は黒に赤の模様が入るイモムシで、棘状の突起があり見た目は毛虫のような姿です。
春先以降に幼虫が大きくなると目立つようになり、食害量も増えます。
病気
「灰色かび病」は終わった花柄や枯れた葉に発生します。
長雨など湿度が高い状態で発生しやすく、灰色~灰褐色のカビが伝播していくため花柄や枯れ葉は早めに除去します。
風通しが悪い場所で発生量が増えることがあるので、育てている環境の改善も行うと良いです。
退治・治療方法
市販の薬剤またはスプレー剤で「花き」の登録と「アブラムシ」・「ケムシ類(または「ハスモンヨトウ」などのチョウ目害虫)」・「灰色かび病」が対象になっているものを使っていけば退治・治療できます。
また害虫の場合はアセフェートやクロアチニジンを含む粒剤を株の周囲に撒くことで予防や退治ができます。