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シモツケ(下野)の基本情報
科名:バラ科 Rosaceae
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属名:シモツケ属(スピラエア属)
Spiraea
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学名:Spiraea japonica
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和名:シモツケ(下野)
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別名:キシモツケ(木下野)
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原産:日本・朝鮮半島・中国
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開花時期:5月上旬~6月
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高さ:0.5m~1m
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耐暑性:強い
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耐寒性:強い
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シモツケ(下野)の特徴
シモツケ(下野)は1mくらいの落葉小低木で、晩春~初夏に小花が房状に集まった薄紅色の花を咲かせます。
シモツケ属にはシモツケ以外にも、中国原産のユキヤナギ(Spiraea thunbergii)やコデマリ(S. cantoniensis)などがあり、いずれも春に開花する低木として広く植栽されています。
シモツケの原産国は日本・朝鮮半島・中国の温帯地域で、日本では本州・四国・九州・隠岐諸島にかけて自生している在来種です。
「シモツケ(下野)」の名は現在の栃木県にあたる旧国名「下野国」に由来していて、別名の「キシモツケ(木下野)」は草本で別属シモツケソウ(下野草:Filipendula multijuga)と対するように付けられています。
近縁種で「シモツケ」の名が付いている種類もありますが、シモツケそのものにも6種類の変種があり、シモツケとシモツケの近縁種を合わせて「シモツケ」と呼ばれることがあります。
白花の「シロバナシモツケ(白花下野:Spiraea japonica f. albiflora)」や黄葉の「’ゴールドフレーム’(Spiraea japonica ‘Goldflame’)」など栽培品種も多くあり、花色だけでなく葉色での演出として植栽されることも多いです。
シモツケ(下野)の管理・置き場所
シモツケは陽当たりと排水性の良い場所で育てます。やや日陰の場所でも十分生育はしますが開花量が少なくなったり、極度の日陰では花が咲かなくなることがあります。
温暖地では4月あたりから新芽が伸び始め、枝を放射状に伸ばしながら5月上旬~6月に紅色の花を咲かせます。
コデマリなどのような他のシモツケ属とは異なり、花芽は前年ではなく4月から伸びだす枝に開花するため、冬に地際を残しつつ刈り込むこともできるため宿根草のように育てることができます。
株姿が比較的コンパクトなので庭植えとして植栽するだけでなく、鉢栽培で育てることができます。
シモツケ(下野)の年間管理表
シモツケ(下野)の植え付け・植え替え
植え替えは11月~3月中旬ですが、地植えの場合で寒冷地や山地など冬期の寒さが厳しい地域では、土の凍る1月あたり(地域によっては12月~2月)の期間を避けた方が良いです。
生育が良く、すぐに鉢が手狭になるため鉢栽培では根詰まりしないように1年に1回の植え替えが必要になります。
地植え
株の根回りの大きさにより掘る深さや大きさが変わりますが、ポット苗などの小さな株でも少なくとも直径・深さが30㎝~50㎝は掘り返した方が良いです。
根鉢が20㎝以上ある場合は、根回りの大きさの2~3倍の広さに穴を掘った方が良いです。
掘り返した土に対して完熟堆肥を2~3割と完熟肥料を混ぜて植え付けます。
鉢植え
ポットサイズの苗でも5号~6号サイズの鉢に植え替えます。
成長にともない株に対して鉢が小さくなるようであれば、適宜植え替えを行い鉢のサイズを大きくします。
コデマリやユキヤナギと同じく生育速度が速く根詰まりしやすいので、1年に1回は鉢から取り出して植え替えを行います。
植え替えする場合は、鉢から取り出した根鉢の土を半分程度落とし、根を1/3程度切り詰めてから、新しい土で植え替えます。
シモツケ(下野)の用土の選び方
排水の良い用土を好みますが、乾燥し過ぎる用土は苦手なので、保水・排水のバランスが良い肥沃な用土で植え替えると健康的に育ちます。
地植え
植えこむ周囲の土量に対して完熟堆肥を2~3割と完熟肥料を混ぜて植え付けます。
もし真砂土や山砂のような固く乾きやすい土壌の場合は、堆肥類を混ぜる前に掘り返した土の半量~3割程度の赤玉土と黒土を混ぜ保水性を高めます。
鉢植え
赤玉土小粒:鹿沼土小粒:腐葉土=1:1:1を混合した土に植え替えます。
市販の花用培養土の場合は、水通りを良くするために赤玉土小粒を2~3割程度混ぜ込むと、植え付け直後の土の過湿による根腐れを抑えることができます。
シモツケ(下野)の水やり
シモツケは一般的な花苗や樹木の水の与え方に準じます。
鉢植えの場合は基本的に鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。
庭植えの場合は、植えた直後にたっぷりと水を与えた後は、梅雨前までは晴天が続く場合のみ水を与えます。
一度根を張ると夏までは水やりをしなくても元気に育ちます。一方で夏場は晴天の日の夕方あたりにたっぷりと水を与えます。
二年目以降は夏で晴天が続くような場合を除けば、基本的に天候任せで大丈夫です。
シモツケ(下野)の肥料の与え方
庭植えの場合は、定植時に完熟有機肥料と完熟堆肥を元肥として根回りに与えます。
もし完熟まで至っていない(発酵や未発酵の)有機肥料や堆肥の場合は、根や根鉢に直接当たらないように根鉢からさらに深い部分に混ぜ込みます。
庭植えの株は基本的に追肥を与えなくても良く育ちますが、土が固くなる場合は、1月~2月あたりに寒肥として完熟堆肥とともに完熟有機肥料を株回りに混ぜ込みます。
鉢植えの場合は、鉢への植え替え時に元肥として緩効性の化成肥料を与えるか、植え替えができなかった場合は4月の新芽が伸びだす時期に鉢縁に緩効性の化成肥料を与えます。
シモツケ(下野)の剪定・刈り込み
冬剪定
ユキヤナギやコデマリなどは前年の9月あたりに花芽ができますが、シモツケは4月以降に伸びだす新枝に花が咲きます。
そのため剪定は新芽が芽吹く前の3月あたりまでに行えば、その年の開花に影響はありません。
開花後の剪定
開花後に花柄を切ると次の脇芽が芽吹いて花を咲かせるため、開花後は花柄を付けたままにせず適宜切り取ることで7月中旬あたりまで、開花させ続けることができます。
開花シーズン以降は枝が伸びすぎて景観が崩れる場合は刈り込み(または不要な枝のみ剪定)などを行って樹形を整えます。
シモツケ(下野)の増やし方
ユキヤナギは「挿し木」で増やします。
挿し木
前年枝を使う場合は3月上旬~3月下旬、当年枝を使う場合は6月下旬~7月中旬で行います。
挿し穂を作る前日から半日前に親株にたっぷりと水を与え、枝内に水を行きわたらせ、前年伸びた枝を10㎝前後で切り、挿し穂にします。
湿らせた赤玉土の小粒や鹿沼土の小粒など清潔な土に挿し穂を挿します。また挿し穂に発根剤を使うことで発根率が上がります。
日陰に置き、保湿のために覆いをかけます。数か月で発根します。
株分け
時期は落葉期間から開花直後の11月~4月下旬に行います。厳寒期と開花期は避けて行います。
シモツケの株は根元から幾本もの枝が株立ち状に伸びあがります。
地際の枝数本ごとを1株として、株を縦に割るように切り分けます。
目安としては1株あたり枝が最小5本前後あるようにスコップやハサミ(切り分けにくい場合はノコギリ)などで株分けします。
シモツケ(下野)の病害虫
病害虫に強い樹木ですが害虫として「カイガラムシ」「アブラムシ」、病気として「うどんこ病」が発生することがあります。
害虫
「カイガラムシ」
カイガラムシは殻を被った害虫が枝などに発生します。被害が酷くなると葉が黒く汚れる「すす病」を併発することがあるため注意が必要です。
「アブラムシ」
新芽が伸びだすあたりから発生します。特に陽当たりと風通しが悪い場所(陽当たりと風通しが悪い枝)に発生しやすいため、剪定などで環境改善を行って発生しにくい環境づくりも大事になります。
病気
「うどんこ病」
葉に白い粉状の症状が表れます。被害が酷くなると光合成の阻害や葉の萎縮などがおこるようになります。
極度の日陰や風通しが悪い場所で大発生しやすいため、茂りすぎた場合にも発生しやすくなります。
剪定などで発生しにくい環境作りも重要になります。特に病害虫に強いので、環境改善だけでも病害虫の発生を抑えることができます。
退治・治療方法
各病害虫が発生した場合は、市販の薬剤またはスプレー剤で「樹木(類)」の登録と対象病害虫が記載されている薬剤を使って退治します。