オオデマリ(大手毬)の育て方

 オオデマリ(大手毬)の基本情報

科名:レンプクソウ科 Adoxaceae
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属名:ガマズミ属(ビブルヌム属) Viburnum
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学名:Viburnum plicatum f. plicatum
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和名:オオデマリ(大手毬)
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別名:テマリバナ(手毬花)
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英名:Japanese snowball
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原産:園芸品種
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開花時期:4月~6月上旬
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高さ:2m~4m
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耐暑性:強い
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耐寒性:強い
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 オオデマリ(大手毬)の特徴

オオデマリ(大手毬)は、春に小花が集まった手毬状の集合花を咲かせる小低木で、花色は咲始めのライムグリーンから白花へと変化します。開花時期は5月~6月上旬で、早い地域では4月から開花します。

オオデマリ(Viburnum plicatum f. plicatum)は園芸品種で、元は日本・台湾・中国などに自生するガク咲きのヤブデマリ(V. plicatum f.tomentosum)を手毬咲きに改良した品種です。

花色はライムグリーン~白花以外にも、ピンク花の品種や新芽が銅葉の品種などもあります。

スイカズラ科に分類されることもありますが、APG分類体系(分子系統学的に被子植物を分類する体系)ではレンプクソウ科に分類されています。

 オオデマリ(大手毬)管理/置き場所

オオデマリ(大手毬)は陽当たりと腐植質に富む保水・排水性の良い場所で育てます。

野生種のヤブデマリは沢など水辺周辺の林や森の縁に生えており、オオデマリも半日陰までは十分生育できます。また排水性を好みますが、土中まで乾ききる土質を嫌うため保水と排水のバランスの良い環境が良いです。

枝を横に張り出すような樹形で、根張りも良いため、鉢植えよりは地植えの方が育てやすいです。花付きの鉢物が出回るように鉢栽培もできなくはないですが、上記の通り土が乾ききることを嫌うため夏場の水枯れに注意が必要です。

 オオデマリ(大手毬)年間管理表

 オオデマリ(大手毬)植え替え

植え替えは落葉し休眠する11月~3月上中旬です。ただし厳寒期の1月~2月中旬は避けます。

花付きの鉢物などが早春~4月あたりに流通しますが、鉢植えの開花株は水の乾きが早いため、開花後なるべく早く植え替えを行った方が良いです。

露地植えの場合:株の根回りの大きさにより掘る深さや大きさが変わりますが、ポットの苗などの小さな株でも少なくとも直径・深さが30㎝~50㎝は掘り返した方が良いです。根鉢が20㎝以上ある場合は、根回りの大きさの2~3倍の広さに穴を掘った方が良いです。

掘り返した土に対して完熟堆肥を2~3割と完熟肥料を混ぜて植え付けます。土が砂質の場合は赤玉土も一緒に混ぜ込み、土内の保湿できるようにします。

花付き株を植え付ける場合、枝葉より根鉢が小さく定植後に株が倒れやすいため、根付くまでの間は支柱を立てた方が良いです。

鉢植えの場合:上記の通り、基本的に地植で管理が良いですが、短期であれば鉢栽培もできます。一般的な植物の植え替えでは、適度に土が乾いて空気が入るように1~2回り大きな鉢に植え替えることが多いですが、オオデマリの場合は夏までに根が張ると1日の水やりが2回以上になることもあるため、やや大き目の鉢に植え替えます。

花付きの鉢物であれば、元の鉢のサイズの2~3回り大きな鉢に植え替え、ポットサイズの苗でも5号~6号サイズの鉢に植え替えます。翌年株が大きく育っている場合は地植えにします。

 オオデマリ(大手毬)用土の選び方

有機質に富んだ保水・排水の良い土質に植えると健康的に育ちます。

庭・花壇に植え:植えこむ周囲の土量に対して完熟堆肥を2~3割と完熟有機肥料を混ぜて植え付けます。

新築の庭で山砂や真砂土などが入っている場合は、土中の保水力を上げるため堆肥以外に赤玉土小粒を掘り上げた土に等量混合します。

鉢植え:赤玉土小粒:腐葉土:完熟堆肥=6:2:2を混合した土に植え替えます。

 オオデマリ(大手毬)水やり

オオデマリ(大手毬)は他の樹木よりやや水を好みます。庭への定植後でも、夏場に雨が少ない場合は夕方にたっぷり水を与えた方が良いです。

また定植した年は、植えた直後にたっぷりと水を与え、梅雨前までは晴天が続く場合のみ水を与えます。根を張ると夏までは水やりをしなくても元気に育ちます。一方で夏場は晴天の日の夕方あたりにたっぷりと水を与えます。

鉢植えの場合は基本的に鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。もし表土が乾くようであれば、朝・夕の2回水を与えます。

 オオデマリ(大手毬)肥料の与え方

植えるときに完熟有機肥料と完熟堆肥を元肥として根回りに与えます。

もし完熟まで至っていない(発酵や未発酵の)有機肥料や堆肥の場合は、根や根鉢に直接当たらないように混ぜます。

定植後の株は、12月または2月中下旬あたりに寒肥として完熟堆肥とともに完熟有機肥料を株回りに混ぜ込みます。5月~6月の開花後にお礼肥として有機肥料を株元から離した株回りに与えます。

 オオデマリ(大手毬)の剪定/刈り込み

オオデマリ(大手毬)は枝数が多く出る樹木ではなく元が山野のものなので、場所がある場合は自然樹形が美しく開花量も多くなります。自然樹形の場合でも、枯れ枝や開花量が少なくなる年数の経った枝は基から剪定します。

なお自然樹形を演出したい場合は、剪定する枝を分岐している場所の付け根から切り取ると樹形を維持できます。

また樹高を抑えたり樹形を整えたい場合は、開花後~6月中旬あたりの剪定が良いです。オオデマリの花芽は、開花後から伸びた新枝に付き、花芽形成は夏ごろです。6月下旬以降の剪定では再度新枝が伸びても花芽を付けるほど充実できないため避けます。

 オオデマリ(大手毬)増やし方

オオデマリ(大手毬)は、全ての花が装飾花へ変わっているため種がつかず、増やし方は挿し木のみです。

挿し木:時期は6月~7月に行います。

その年に伸びた枝(新梢)から固く充実したものを選び挿し穂を作ります。葉が3枚毎に枝をカットし、良く切れるカッターやナイフで下側切り口を給水しやすいように斜めに切ります。その後挿し穂を数時間水につけて給水させます。挿し穂の一番下の葉を取り除き、残った2枚の葉は、蒸散を抑えるため半分に切ります。

鹿沼土細粒か赤玉土細粒のような清潔な土を準備し、水をかけて湿らせた後、挿し穂を土に挿します。発根剤などを使うと成功率が上がるのでお勧めです。ビニールなどで覆い保湿しつつ、日陰で水を与えながら管理します。

 オオデマリ(大手毬)病害虫

害虫:「アブラムシ」「カイガラムシ」が発生することがあります。

「アブラムシ」は葉裏や新芽・花芽の周囲などに発生します。陽当たりや風通しが悪い場所で発生量が増えることがあるので、育てている環境の改善も行うと良いです。

「カイガラムシ」は殻を被った害虫が枝などに発生します。被害が酷くなると葉が黒く汚れる「すす病」を併発することがあるため注意が必要です。アブラムシと同じく風通しの悪い環境や極度に陽当たりが悪い場所で発生しやすくなります。

病気:「うどんこ病」が発生することがあります。

「うどんこ病」は葉に白い粉状の症状が表れます。被害が酷くなると光合成の阻害や葉の萎縮などがおこるようになります。

「アブラムシ」「カイガラムシ」「うどんこ病」が発生した場合は、市販のスプレータイプの薬剤で「樹木類」の登録と対象病害虫の記載があるものを使っていけば退治できます。

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