ハゴロモジャスミン(羽衣ジャスミン)の育て方

 ハゴロモジャスミンの基本情報

科名:モクセイ科 Oleaceae
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属名:ソケイ属(ヤスミナム属) Jasminum
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学名:Jasminum polyanthum
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和名:ハゴロモソケイ(羽衣素馨)
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英名:Many-flowered jasmine, Pink jasmine
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原産:中国(雲南省)、ミャンマー
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開花時期:3月中旬~5月
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高さ:2~5m
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耐暑性:強い
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耐寒性:やや弱い
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 ハゴロモジャスミンの特徴

ハゴロモジャスミン(羽衣ジャスミン/羽衣素馨)は春に香りの強い花を咲かせるジャスミンの仲間(ソケイ属/ヤスミナム属)のツル性木本です。開花は4月~5月で、花色は白ですが蕾や花弁裏側は薄い紅色で、ややピンクがかった花色に見える場合もあります。

ジャスミンの仲間の中では寒さに強く、暖地では地植えで育てることができ、ツルはフェンスや他の樹木などに撒きつきながら茂ります。

ジャスミンティーには一般的にマツリカ(茉莉花=Jasminum sambac)が使われますが、ハゴロモジャスミンもジャスミンティーに利用できます。

 ハゴロモジャスミン管理/置き場所

ハゴロモジャスミンは陽当たりと排水性の良い場所で育てて下さい。やや日陰の場所でも十分生育はしますが、極度の日陰では花が咲かなくなったり、害虫の発生が増える場合があります。

花芽は10℃前後の気温下で2ヶ月弱ほどさらされることで形成され、春の気温上昇で開花します。そのため日本では秋に花芽ができ、春に開花します。

ハゴロモジャスミンはソケイ属の中では比較的寒さに強く、暖地や温暖地の平地のような場所であれば地植えでも越冬しやすいですが、霜や積雪など強い寒さに長期間さらされると落葉したり、ツルが枯れることがあります。ツルが枯れると開花できないため、寒冷地や温暖地でも寒さが厳しい地域では防寒か室内への取り込みが必要です。

 ハゴロモジャスミン年間管理表

 ハゴロモジャスミン植え替え

植え替えは寒さが落ち着く3月~4月中旬、または暑さが落ち着く9月~10月に行います。またツルを伸ばし撒きつくため、柵やフェンスなど撒きつくことができる場所に植えるか、トレリスや行灯支柱などを設置します。

地植え:地植えにする場合は、秋遅くに植え替えると寒さの影響を受けやすいため、9月上中旬か春の植え替えが良いです。

ツル植物として長くツルを伸ばすため、株の大きさに関わらず幅と深さが50~60㎝の穴を掘り、掘り返した土に対して完熟堆肥を2~3割と完熟肥料を混ぜて植え付けて下さい。

地植えの場所移動を行う場合は3月~4月上旬・9月に行い、なるべく大きめに根を掘りあげ、上記と同じ方法で植え替えます。なお掘りあげる場合は剪定も同時に行うことで蒸散を抑え、株の痛みを抑えるようにすると良いです。

鉢植え:株の成長が早いため根詰まり起きやすく、1年に1回は植え替えが必要になります。春に植え替えた株でも成長にともない株に対して鉢が小さくなるようであれば、適宜植え替えを行い鉢のサイズを大きくします。

 ハゴロモジャスミン用土の選び方

腐植質に富んだ保水・排水の良い用土で植え替えてください。

赤玉土小粒・鹿沼土小粒・腐葉土を等量混合した土に植え替えてください。市販の花や野菜用の培養土で育ちますが、植え付け初期は土の過湿ぎみになり根腐れを起こすことがあるので、市販の用土に等量~3割くらいの赤玉土小粒を混ぜたものに植え替えると良いです。

庭や花壇に植える場合は、植えこむ周囲の土量に対して完熟堆肥を2~3割と完熟肥料を混ぜて植え付けて下さい。

 ハゴロモジャスミン水やり/肥料の与え方

水やり:ハゴロモジャスミンは一般的な花苗や樹木の水の与え方に準じます。

鉢植えの場合は基本的に鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えてください。

庭植えの場合は、植えた直後にたっぷりと水を与えた後は、梅雨前までは晴天が続く場合のみ水を与えて下さい。一度根を張ると夏までは水やりをしなくても元気に育ちます。一方で夏場は晴天の日の夕方あたりにたっぷりと水を与えてください。

二年目以降は夏で晴天が続くような場合を除けば、基本的に天候任せで大丈夫です。

肥料:鉢植えの場合は植える際に、緩効性肥料を土に混ぜて植え替えます。以降は開花後に緩効性の化成肥料か有機肥料を置き肥として与えます。与える量や頻度は肥料に記載されている表記に従って与えます。

庭に植えるときに完熟有機肥料と完熟堆肥を元肥として根回りに与えます。もし完熟まで至っていない(発酵や未発酵の)有機肥料や堆肥の場合は、根や根鉢に直接当たらないように混ぜて下さい。

定植している株の場合は、2月~3月上旬に寒肥として完熟の有機肥料と堆肥を株の周囲に混ぜ込みます。また開花後に

その後は鉢植えと同様に肥料を与えていきます。

 ハゴロモジャスミンの剪定/刈り込み

ハゴロモジャスミンは春から夏までツルを旺盛に伸ばし、秋の気温の低下とともに生育速度が落ち、花芽を作ります。そのため旺盛に茂る夏場に剪定すると秋の花芽形成に影響するので、剪定は花後~晩春までに行います。

また全てのツルを強剪定した場合も翌年開花しにくくなるため、株の風通しを悪くする細い枝と伸長を押さえたいツルを必要本数だけ剪定します。かなり茂っている場合は、半量くらいのツルを間引くように付け根から剪定すると株全体の陽当たりと風通しが良くなります。

鉢植えの場合は、ツルを支柱から外し、主として伸ばすツルを必要本数だけ残し、細いツルなどは切り取ります。その後、一回り大きな支柱を付けツルを巻き付けます。

 ハゴロモジャスミン増やし方

ハゴロモジャスミンは挿し木で増やせます。時期は7月下旬~9月あたりが良いです。

その年に伸びた枝(新梢)から挿し穂を作ります。新梢のうち、未熟な先端部分の枝と木質化しかけた根元部分を除いた部分の枝を使い、2~3節毎に枝をカットします。

良く切れるカッターやナイフで下側切り口を給水しやすいように斜めに切り直し、挿し穂を数時間水につけて給水させます。挿し穂の一番下の葉を取り除き、残った2対の葉は、蒸散を抑えるため半分まで切ります。

赤玉土細粒か挿し木用土などの清潔な土を準備し、水をかけて湿らせた後、挿し穂を土に挿します。発根剤などを使うと成功率が上がるのでお勧めです。ビニールなどで覆い保湿しつつ、日陰で水を与えながら管理します。

 ハゴロモジャスミン病害虫

病害虫に強い植物ですが「アブラムシ」「ハダニ」が発生することがあります。

「アブラムシ」は花の蕾に発生しやすいです。被害が酷いと花が委縮して咲いたり、その他の病気を併発します。

またアブラムシは吸汁害虫で、排泄物が甘い液状のものなので、被害が酷いと葉上に砂糖水がかかったようにベタベタし始めます。その後放置すると、甘い液に黒いカビが生え「すす病」という病気を併発するので早めの対処がお勧めです。

極度に陽当たりが悪い場所や風通しが悪い環境で発生しやすくなるため、環境改善に努めることで発生を抑えることができます。

「ハダニ」は通常屋外では大発生はしにくいですが、夏場など乾燥しやすい時期に雨のない日が続いたり、屋根下で育てている場合などで発生しやすくなります。

「アブラムシ」「ハダニ」ともに、市販のスプレータイプの薬剤で「花き」の登録と上記の病害虫が対象になっているものを使っていけば退治できます。

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