ムラサキセンダイハギ/バプティシアの育て方

ムラサキセンダイハギ/バプティシアの基本情報

科名:マメ科 Fabaceae
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属名:バプティシア属 Baptisia
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学名:Baptisia australis
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和名:ムラサキセンダイハギ
  (紫仙台萩、紫先代萩、紫千代萩)
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別名:バプティシア
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英名:Blue wild indigo
   Blue false indigo
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原産:北米東部~中西部
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開花時期:4月末~6月
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高さ:1~1.5m
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耐暑性:強い
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耐寒性:強い
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ムラサキセンダイハギ/バプティシアの特徴

ムラサキセンダイハギは北米原産の宿根性の多年草で、マメ科の別属で黄色い花を咲かせるセンダイハギ(仙台萩・先代萩・千代萩)に似ていて、紫の花を咲かせるためこの名が付けられており、属名の「Baptisia」からバプティシアとも呼ばれます。

Baptisia」の名はギリシヤ語の「bapto(=漬ける)」に由来し、英名の「Blue false indigo」が表す通り天然インディゴのタイワンコマツナギの代替品として利用されていることにちなんで付けられています。

実際に茎を折って出る液は空気に触れることで濃い青色へと変化します。

花は5月~6月(暖かい地域では4月から)に咲き、地表から伸びた枝先にマメ科特有の形をした青い花を連ねた花房ができ、藤の花が立ち上がって咲いたような姿で開花します。

ムラサキセンダイハギの名の通り基本種は青~紫の花色ですが、交配種などでクリームイエローやブラウン系の花色もあります。

夏の多湿は苦手なものの耐暑性は高いため暖地でも生育でき、また耐寒性はUSDA hardiness zone3~8で平均最低気温が-40℃~-6.7℃の地域に自生しておりかなり寒さにも強く、日本では広い地域で植栽できます。

自生地では森や林が境界や川沿い、開けた牧草地に生えているようですが、荒れ地でも生育できるため管理が楽な植物ですが、自然環境へ逸出しないよう育てる必要があります。

ムラサキセンダイハギ/バプティシアの管理と置き場所

ムラサキセンダイハギは陽当たりと風通しの良い環境で排水性の良い土壌で育てます。また半日陰のような場所でも育てることができます。

地下茎で地中に根を張り、春から芽吹いて株立ちに株を茂らせます。地下茎は自生地での干ばつに耐えられるように地中深く張ることで乾燥に強い性質がありますが、一方で多湿を嫌います。

株の大きさは、地植えの場合、草丈・株幅ともに1m~1.5mまで育つことがあり、地植えの場合は十分な空間がある場所に植えるか花壇後方に植え、鉢植えの場合は10号前後の大きな鉢に植え付けます。

マメ科のため根に根粒菌が共生しており、排水さえ良ければ荒れた土地でも十分育ちます。

ムラサキセンダイハギ/バプティシアの樹形・草姿

ムラサキセンダイハギ/バプティシアの年間管理表
 
ムラサキセンダイハギ/バプティシアの植え替え

ムラサキセンダイハギの植え替えは、苗の植え替えや鉢のサイズアップなど土を崩さない植え替えであれば株の成長に合わせて適宜行います。

鉢植えの土替えや地植え株の移植・株分けなど根を傷める植え替えは厳寒期を除く休眠期か休眠期前後に行う方が良いので、晩秋(11月~12月上旬)の最初の霜が降りる時期か、早春(2月~3月)の芽吹く前に行います。

庭植え

荒れ地でも良く育つため、土質改良なく定植することもできますが、土壌の過湿は嫌うため排水良い土壌を選びます。

粘土質や多湿になりやすい土壌の場合は堆肥類や軽石小粒・山砂などを周囲に混ぜ込んで排水良くします。

移植や株分けする場合は、上記の時期に地下茎を掘り上げるか切り取って、掘りあげた地下茎を新しい場所へ植え替えます。

鉢植え

成長にともない株に対して鉢が小さくなるようであれば、適宜植え替えを行い鉢のサイズを大きくします。

ムラサキセンダイハギの株は大きく育つため、最終的な鉢のサイズは10号前後の大きさを使い、根詰まりしないよう1年に1回植え替えまたは土替えを行います。

鉢から根鉢を抜き取り、土を崩して地下茎だけの状態にします。鉢に対して地下茎が張り過ぎている場合は、地下茎を切り分けて株分けするか、地下茎を切り詰めてサイズを調整します。

ムラサキセンダイハギ/バプティシアの用土の選び方
庭植え

ムラサキセンダイハギは荒れ地でも育つため、庭や花壇に植える場合はそのまま植え付けることもできます。

多湿土壌を嫌うため土質次第で完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥などの堆肥類や軽石小粒・山砂などを植えこむ周囲に混ぜて排水の良い土壌へ作り替えてから植え付けます。

鉢植え

赤玉土小粒:腐葉土=7:3を混合した土、または赤玉土小粒:鹿沼土小粒:腐葉土=4:3:3に植え替えます。

市販の花や野菜用の培養土で育たないわけではないですが、植え付け初期は土の過湿ぎみになるため根腐れを起こすことがありますので避けた方が良いです。

ムラサキセンダイハギ/バプティシアの水やり

ムラサキセンダイハギの水やりは一般的な草花の水の与え方に準じ、鉢植えの場合は年間を通して鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

庭植えの場合は定植時にたっぷりと水を与えた後は特別水やりの必要はありません。

ムラサキセンダイハギ/バプティシアの肥料の与え方

ムラサキセンダイハギはマメ科の植物のため低肥料でも良く育ちますが、肥料が不足しやすい鉢植えの場合は秋・春に有機肥料か緩効性の化成肥料を株の周囲に与えます。

秋の施肥は地下茎への貯蔵が目的のため適量で与えますが、春の施肥は株が暴れやすくなるため少なめに与えます。

地植えは肥料を与えなくても良く育ちますが、秋の充実用の肥料を与えると良く開花します。

ムラサキセンダイハギ/バプティシアの剪定

開花後に採種などの目的がない場合は開花後に花穂を切り取ります。また開花後も枝が伸びつつ株姿が乱れるため、適宜剪定や切り戻しを行いながら株姿を整えます。

晩秋~初冬にかけて霜と共に地上部が枯れ始めるので、地際から枝を切り取ります。

ムラサキセンダイハギ/バプティシアの増やし方

ムラサキセンダイハギの増やし方は種まき、株分けで増やします。

種まき

種まきの時期は春(3月~4月)か秋(9月~10月)です。開花後に花を切らずに残すとマメのような鞘ができ中に種ができます。

鞘が変色し種が黒く熟した頃に種を取り出して、秋に種まきをするか、春まで保管して種まきします。

種まきする場合は、直播きするかポットを準備して植え替えに使うものと同じ用土を入れて、1粒ずつ種を埋め込みます。たっぷりと水を与え、発芽まで明るい日陰で管理します。

株分け

植え替え時期と同じく晩秋から初冬(10月末~12月上旬)と早春(2月~3月)の生育期前に行います。

鉢植えの植え替え時や地植えの株から地下茎を切り分けて、新しい鉢と新しい土(または親株と別の場所)に植え替えます。

株分けに使う用土は植え替えに使うものと同じものを使い、鉢の大きさは地下茎が入るくらいの大きさにします。

ムラサキセンダイハギ/バプティシアの病害虫

性質が強く病害虫に悩まさせることは少ないですが、陽当たりや風通しの悪い場所、肥料が多い場合で「アブラムシ」が発生することがあります。

害虫

「アブラムシ」
花・新芽・葉裏などに発生し、吸汁害虫なので大発生すると排泄物にカビが生え「すす病」を併発します。

退治・治療方法

基本的に病害虫に強いため、環境を整えるだけで発生を抑えることができますが、大発生した場合は市販の薬剤またはスプレー剤で「花き類」の登録と「アブラムシ」の表記があるものを使っていけば退治できます。

また草丈が1mの場合はアセフェートやクロアチニジンを含む浸透移行性の粉剤を株回りに撒くことで、予防や退治ができます。

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コメント

  1. 竹下和子 より:

    ムラサキセンダイハギの種をまき、二葉から5~6枚の葉がでました。
    ひょろひょろ弱々しいのですが、なんとか成長していますが、これから葉が落ちて枯れるのでしょうか?
    来年の春に咲かせる為には、これからは、どのようにお世話したら良いのか教えてください。

    • green-flower より:

      返信が遅くなり申し訳ありません。
      コメント頂きありがとうございます。
      内容から察するにまだ幼苗の状態のようですし、冬には上部が枯れて休眠しますので残念ながら来春の開花は難しいと思われます。
      (もちろん生き物相手のことなので絶対とは言えませんが)

      おそらくですがポット苗の状態なのか直播きの秋苗ではないかと思います。
      すでに地植え状態でしたら問題ないですが、ポットの場合は地植えに移行した方が良いかもしれません。
      育て方の説明では十分生育した株についての説明のため、休眠後の晩秋あたりと解説していますが幼苗でしたら早いうちに定植した方が良いと思います。
      なお植え替えは根を崩さずポットの形状のまま植え替えを行い、できれば鉢よりは地植えでの植え替えが良いかもしれません。

      早めに植え替える理由と地植えをお勧めする理由ですが、
      ムラサキセンダイハギは土の多湿を嫌いますが、幼苗では太目の地下茎も発達していないため多湿による影響を受けやすくなります。
      さらに上部が枯れると吸水量が減るため、水の与え方を気を付けなければ過湿になりやすくなります。
      地植えでは土質さえあっていればある程度適湿を維持しますが、ポットや鉢は置き場所や水のやり方によって過湿になることもあるため地植えの方が失敗しにくくなります。

      私の予想があっているのであれば、今植え替えて再来年の春に開花するのではないかと思われます。