ダッチアイリス/アイリスの育て方

ダッチアイリス/アイリスの基本情報

科名:アヤメ科 Iridaceae
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属名:アヤメ属(イリス属)
   Iris
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学名:Iris × hollandica
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和名:オランダアヤメ
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別名:ダッチアイリス
   アイリス
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英名:Dutch iris
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原産:栽培品種
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開花時期:4月~6月
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高さ:60㎝~80㎝
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耐暑性:―(夏に休眠)
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耐寒性:やや強い
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ダッチアイリス/アイリスの特徴

ダッチアイリスは、スペインやポルトガルに自生するスパニッシュアイリス(スペインアヤメ=Iris xiphium)に他種を交配して作られた園芸品種で、地下に球場の根茎を残し休眠するので球根アイリスとも呼ばれます。

また「アイリス」と呼ぶ場合は、広義ではアヤメやハナショウブを含むイリス属すべてを指すこともありますが、狭義ではダッチアイリスを指すこともあります。

草丈が60㎝前後で、開花時の花茎も含めると80㎝~1mに育つ品種もあり、花壇の植栽として植えることもあれば切花としても育てられます。

ダッチアイリスは名が示す通り、19世紀のオランダの球根会社によってアフリカ由来のモロッコアイリス(モロッコアヤメ=Iris tingitana)とスパニッシュアイリスの2つの変種を交配して生まれた品種から始まっており、現在では様々な品種があります。

ダッチアイリス/アイリスの管理と置き場所

ダッチアイリスは陽当たりよく、風通りと排水性の良い環境で育てます。性質は強健なので環境さえ整っていれば管理はとても楽になります。

秋植えの球根として鉢または庭へ植え付け、晩秋までに葉が出て越冬し、4月~5月(寒い地域では5月~6月)に開花します。

寒さには比較的強いものの、地表に出た芽は強い霜や長期の積雪では傷むため、寒冷地や寒地では植え付け時期を秋遅くして芽吹きを遅らせます。

ただし開花には冬期の寒さも必要なため、鉢植えの場合でも室内に取り込まず、屋外で直接霜や雪が当たらない場所で管理します。

開花後、気温上昇にともない葉が黄変し、夏場に休眠します。梅雨~夏の高温多湿は苦手ですが、排水の良い土質であれば植えたままで夏越しできます。

鉢植えのまま夏越しさせる場合は、雨と陽の当たらない場所へ移動させ乾かした状態で夏を越させます。

鉢・庭植えともに掘り上げて保管する場合は、葉が枯れた後に球根を掘りあげ土を落とし、ネットなどに入れて風通しの良い日陰の場所で保管します。

保管の際は殺菌剤などで消毒しておくと球根の痛みや腐敗などが起きにくくなります。

ダッチアイリス/アイリスの年間管理表
 
ダッチアイリス/アイリスの植え替え

ダッチアイリスは9月~11月に植え付けや植え替えを行います。

または秋(暖地では冬にかけて)に球根や苗として店頭に並んでいるものを植え付けます。

ダッチアイリスは草丈は80㎝前後まで高くなり草丈を支える様に根も良く張るため、鉢植えの場合は深さがある鉢を使い、球根を植える深さは球根上部から5㎝~10㎝(球根を含めて15~20㎝)とやや深めです。

以下に「鉢植えの場合」「庭植えの場合」の管理について説明します。

鉢植え

鉢の場合は球根同士の間を8~10㎝くらいの間隔で、球根を植える深さは球根上部から5㎝くらいの深さに植えます。

鉢の大きさは7~8号鉢(直径21~24㎝鉢)くらいの大きさの鉢を使い、およそ10~15球を目安に植え付けます。

また鉢植えの場合は球根が分球して鉢が手狭になるので、2~3年に1回の頻度で球根の数が適量になるよう植え替えます。

なお植え替える際は連作障害を起こさないように、新しい土と新しい鉢を使って植え替えます。

庭植え

排水性を良くするために完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、腐葉土、完熟有機肥料などを植えこむ周囲に混ぜ、球根上部が地表から10㎝前後の深さになるように植え付けます。

梅雨から夏場の多湿や地温が高くなると地中で球根が腐ることがあるので、夏場に生育が活発な草花を球根周辺に植えることで、土中の過湿と地温の上昇を防ぐことができます。

夏期に掘り上げて植えなおす場合は、連作障害を起こさないように前シーズン植えていた場所とは違う場所に植えなおします。

ダッチアイリス/アイリスの用土の選び方
鉢植え

市販の草花用の培養土で植え替えできます。混合する場合は、赤玉土小粒:腐葉土=7:3の用土で植え替えます。

また植え替え時に元肥として根を傷めないような緩効性の化成肥料を球根下部の土に混ぜて植え付けます。

庭植え

排水性を良くするために完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、腐葉土、完熟有機肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

もとの土壌が粘土質で排水の悪い場合は、堆肥類以外にもパーライト、軽石小粒、川砂などを混ぜ込み土質を作り変えます。

ダッチアイリス/アイリスの水やり
鉢植え

球根植え付け後から葉が枯れるまでの間は、一般的な草花と同じように鉢土の表面が乾いたら鉢下から水がでるくらいにたっぷりと水を与えます。

植え付けから土上に芽が出るまでと、葉が枯れ始める時期は根が少ないか活動が落ちており過湿になりやすいため、土が乾くまで水を与えないように注意します。

葉が枯れた後、休眠期を鉢のままで夏越しさせる場合は、鉢を日陰に移動し水やりを行わず乾いた状態で夏越しさせます。

庭植え

球根を植え付け後たっぷり水を与えた後は基本的に水やりをする必要はありません。

ただし冬場の降水量が少なく乾燥する地域の場合は、適宜水やりを行います。

ダッチアイリス/アイリスの肥料の与え方

鉢植え・庭植えともに、植え付けの際に根を傷めないような緩効性の化成肥料を元肥として土に混ぜ込みます。

庭植えの場合は初年度は元肥のみで十分開花します。

鉢植えまたは庭植えでも2年目以降の場合は、春から葉が枯れ始めるまでの期間に、追肥として株元から離した株の周囲に緩効性の化成肥料か有機肥料を2ヶ月に1回与えるか、薄めた液体肥料を1ヵ月に1~2回の頻度で与えます。

ダッチアイリス/アイリスの増やし方

ダッチアイリスは「株分け(分球)」で増やします。

株分け(分球)

株分け時期は植え替えと同じく9月~10月にに行います。

鉢から球根を抜き出すか、庭から堀り上げ、球根の塊をいくつかに分割して植えなおします。

小さな球根は親の球根から養分の供給を受けるので、親球根に充実した花を咲かせたい場合は小さい球根をできる限り取り外して植えなおした方が良いです。

ダッチアイリス/アイリスの病害虫

害虫として「アブラムシ」などが発生することがあります。

害虫

「アブラムシ」
春先に新芽・蕾周辺・花裏・葉裏などに発生します。陽当たりや風通しが悪い場所やで発生量が増えることがあるので、育てている環境の改善も行うと良いです。

退治・治療方法

「アブラムシ」が発生した場合では、市販の薬剤またはスプレー剤で「花き」の登録と対象病害虫の記載があるものを使っていけば退治できます。

また草丈が1m以下の場合は浸透移行性殺虫剤の粒剤タイプを株の周囲に撒くことで予防と退治ができます。

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