グロリオサ / キツネユリ(狐百合)の育て方

グロリオサ/キツネユリ(狐百合)の基本情報

科名:イヌサフラン科 Colchicaceae
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属名:キツネユリ属(グロリオサ属)
   Gloriosa
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学名:Gloriosa
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和名:キツネユリ(狐百合=Gloriosa superba
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別名:グロリオサ
   ユリグルマ(百合車)
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英名:flame lily
   fire lily
   glory lily
   superb lily
   climbing lily
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原産:熱帯アジア・熱帯アフリカ
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開花時期:7月~9月
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高さ:1m~3m
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耐暑性:やや弱い
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耐寒性:弱い
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グロリオサ/キツネユリ(狐百合)の特徴

グロリオサ属は熱帯アジア~熱帯アフリカにかけて11種の原種がある熱帯性のツル性の球根植物で、グロリオサ・スペルバの和名「キツネユリ(狐百合)」からグロリオサ属全体に対してキツネユリと呼ぶことがあります。

多く流通する種は赤花と黄色の覆輪が特徴のグロリオサ・ロスチャイルディアナ(Gloriosa rothschildiana)やその園芸種(ロスチャイルディアナ種)ですが、現在流通するグロリオサは他の原種を元にしたり種間交配などで生まれた園芸種もあり赤・ピンク・白・黄・オレンジなどの花色があります。

葉の先に巻きひげがあって周囲に絡みながら成長するツル植物で、春植えの球根植物として店頭に並んだり、初夏あたりから行灯仕立ての鉢花として店頭に並ぶことが多く、切り花としても流通します。

熱帯性の植物のため暖地や一部の温暖地を除いて屋外越冬は難しく、基本的に晩秋に球根を掘りあげ、冬期は暖かい場所で保管して、翌年春に植え直します。

グロリオサはコルヒチンやグロリオシンと呼ばれるアルカロイドによる食毒性があり、球根はヤマイモのように細長いため庭植えの場合は誤食しないように注意が必要です。

グロリオサ/キツネユリ(狐百合)の管理と置き場所

グロリオサは熱帯アジアや熱帯アフリカ原産のため、高温下で生育し、日本では主に春植え球根・鉢花として流通するものを庭や鉢で栽培します。

基本的な置き場所は陽の当たり・風通し・排水性の良い環境で育てますが、夏場の直射日光や冬期の寒さなどが苦手なので、以下に「夏の管理」「冬の管理」として説明します。

夏の管理

春・秋は直射日光下で管理した方が良いですが、夏場の直射日光下では葉焼けすることがあるので梅雨明け~晩夏までは明るい日陰で管理します。

庭植えの場合は株の移動ができないため、予め夏場に木漏れ日が落ちるような樹木下になるような場所などに植え付けると良いです。

冬の管理

寒さが苦手なため、晩秋あたりで葉が黄変し始めたら、球根を掘り上げるか、土を乾かし休眠させて鉢ごと保管します。

保管は乾燥・窒息防止と湿気がこもらないように新聞やおが屑などを入れた容器内に入れ、10℃までの場所で保管します。

グロリオサ/キツネユリ(狐百合)の年間管理表
 
グロリオサ/キツネユリ(狐百合)の植え付け

春(4~5月)に球根を植え付けるか、初夏に花付きの鉢花が店頭に並ぶので、購入後に一回り大きな鉢・花壇などに植え替えます。

グロリオサの球根は棒状で、やや太く先端に丸みがある側(古い球根が付いていた側とは反対側)から新芽が生育します。

もし芽の出る側が分からない場合はどちらかの先端に芽が出始めたのを確認してから植え付けることもできます。

新芽とともに新根が出るため、新芽側は土内に埋まるように植え付ける必要があり、庭植えと鉢植えで若干異なる場合があるので以下にそれぞれの場合の植え方を説明します。

植え

排水の良く肥料持ちの良い用土を好むため、完熟の堆肥や腐葉土を土に混ぜてから植え付けます。

球根は地表から5~6㎝の深さに球根を寝かせるように植え付け、土中に完全に植えこみます。

鉢植え

球根を伏せた状態で植えられるくらいの大きさの鉢(10号前後)の場合は、地植えと同じように土上から5~6㎝くらいの深さに球根を寝かさせた状態で植え付けます。

球根を伏せて植えられない場合は球根を立てて植え付けますが、芽が出る側を下方に向けて植え付けるか、上方を向く場合は上端が土内4~5㎝くらいの深さになるように植え付けます。

グロリオサ/キツネユリ(狐百合)の用土の選び方

グロリオサは排水性と保肥力の良い用土を好みます。

市販の花用培養土でも大丈夫ですが、土質によっては赤玉土小粒や軽石小粒などを1~2割程度混ぜて排水良く作り替えると良いです。

ブレンドする場合は赤玉土小粒:腐葉土:調整ピートモス=5:3:2の混合土に植え替えもできます。

いずれの用土の場合でも、根腐れ防止のために珪酸塩白土を混ぜて植えるより育てやすくなります。

グロリオサ/キツネユリ(狐百合)の水やり

グロリオサの水やりは一般的な草花の水やりと同じです。

鉢植えの場合は、表土が乾いてから鉢の下から水が出るまでたっぷりと与えます。

ただし高温期の水切れで葉などが傷みやすいので、気温の高い時期は乾かさないように注意しつつ水やりを行います。

庭植の場合は、植え付け当初にたっぷりと水を与えた後は概ね天候任せでも十分育ちます。

鉢・庭植えともに10月あたりで葉色が黄色に変色しはじめますが、鉢栽培の場合は黄変に合わせて水やりを止めて鉢土を乾かします。

グロリオサ/キツネユリ(狐百合)の肥料の与え方

グロリオサの施肥は植えるときの元肥や開花中の追肥を適宜与えます。

植え替えの際は、根を傷めない緩効性の化成肥料を元肥として土に混ぜて植え付けます。

追肥は土上に芽が出始めてから9月中旬まで、1ヵ月に1回の頻度で緩効性の化成肥料を株元から離した株回りに与えるか、水やりとして薄めた液体肥料を与えます。

グロリオサ/キツネユリ(狐百合)の手入れ
ツルの誘引

土上に芽が出て葉が6枚くらいで葉先に巻きひげができ、周囲に絡み始めます。

鉢植えの場合は行燈支柱やトレリスなど誘引できるものを鉢に備え付けて、茎を折らないように気を付けつつ円形に巻き付けていきます。

地植えの場合は予めフェンスやオベリスクなど誘引できるものの近くに植え付けるか、植え付け後に備え付けて誘引できるようにします。

葉が14枚前後から茎が分枝して絡まる速さが一気に高まりますので、茎同士が絡まらないように広げながら誘引した方が開花姿が綺麗に整います。

花柄摘み

開花が終わった花弁や枯れた葉を放置すると種がついて球根への栄養供給が少なくなため、花後の花柄は適宜摘み取ります。

球根堀り上げ・貯蔵

10月あたりで葉が黄変し始めたら球根を掘り上げて10℃以上の室温がある場所で貯蔵します。

貯蔵前に土などの汚れを落とし薄めた殺菌剤に浸漬してから乾かし、おが屑や新聞紙などを入れた発砲スチロール内で乾きすぎないように貯蔵すると冬越ししやすくなります。

鉢植えの場合は葉の黄変後、水を切って土を乾かし、鉢ごと室内の10℃以上の場所で越冬させることもできます。

グロリオサ/キツネユリ(狐百合)の増やし方

グロリオサは「分球」で増やします。

分球

グロリオサの球根は前年の球根から二又に分かれて新球根が作られるので、4月~5月の植え付け時期に前年球根との付け根あたりから二つに割って分球します。

なお新芽は前年球根と繋がっていた側の反対側から芽吹きます。

グロリオサ/キツネユリ(狐百合)の病害虫

害虫として「アブラムシ」「ハダニ」、病気として「灰色かび病」「モザイク病」が発生することがあります。

害虫

「アブラムシ」
新芽や花に発生しやすいです。特に陽当たりや風通しの悪い環境で発生しやすくなります。陽が当たる場所に移動したり、風通しを良くするなどの環境改善も重要になります。

またアブラムシはモザイク病などのウイルス病の媒介者になるので、早めに退治した方が良いです。

「ハダニ」
夏期の雨の少なく乾燥した状態で発生しやすくなります。また鉢植えで屋根下のような雨の当たりにくい環境に置いている場合も発生しやすくなります。

主に葉裏に発生し、被害が酷くなると葉裏からの吸汁のためカスリ状に葉色が悪くなり、蜘蛛の巣のような糸が葉や枝を覆います。

発生初期は葉裏から勢いよく水を吹きかけて抑えることができます。蜘蛛の巣状に糸が覆っている場合は、葉裏から水を吹きかけた後、消毒をします。

病気

「灰色かび病」
終わった花柄や枯れた葉に灰色~灰褐色のカビが発生し、胞子で周辺へと伝播していくため、花柄や枯れ葉は早めに除去します。

また多湿の環境で発生しやすいため、風通しを良くすることで発生を抑えることができます。

「モザイク病」
アブラムシなどの吸汁虫から伝播し、葉や花に濃淡の筋がでたり、葉の萎縮などが起こります。

治療は難しいため発病株は抜き取って破棄します。

退治・治療方法

「アブラムシ」「ハダニ」の退治・治療は、市販のスプレータイプの薬剤で「花き」の登録と対象病害虫の記載があるものを使っていけば退治できます。

また害虫の場合はアセフェートやクロアチニジンを含む粒剤を株の周囲に撒くことで予防や退治ができます。

「モザイク病」は発生した時点で株ごと破棄するため、発生を防ぐ必要があります。

媒介害虫のアブラムシが増える前に退治するか、浸透移行剤で防除することでモザイク病を防ぐことができます。

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