スタぺリア(Stapelia)の育て方

スタぺリアの基本情報

科名:キョウチクトウ科 Apocynaceae
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属名:スタぺリア属 Stapelia
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学名:Stapelia
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別名:サイカク(犀角)等
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英名:carrion flower
   African starfish flower
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原産:南アフリカ~熱帯アフリカの乾燥地帯
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高さ:5~30㎝
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耐暑性:強い~やや強い
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耐寒性:弱い
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スタぺリアの特徴

スタぺリア属(Stapelia)は、南アフリカ~熱帯アフリカの乾燥地に自生している棘のないサボテンのような多肉の茎を伸ばす多肉植物です。

開花時は地際に異臭を放つ産毛に覆われた星形の特徴的な花を咲かせ、芳香を放つ一種(Stapelia flavopurpurea)を除き腐肉臭を放つことから英名で「carrion flower(腐肉の花)」と呼ばれいています。

スタぺリアはハエ類を花粉媒介者としていて、自生地では腐肉臭でハエ類を呼び寄せています。

以前はガガイモ科にでしたが、分子系統学的アプローチ(APG分類体系)から現在はガガイモ科がキョウチクトウ科に編入されています。

またアジア・ラテンアメリカ原産の種が含まれていましたが、現在では他属へと再分類されています。

スタぺリアの名前の由来

スタぺリアの属名は、発見と最初の記述者とみられるオランダ共和国の医師・植物学者のヨハネス・ボデウス・ヴァン・シュタペル(Johannes Bodaeus van Stapel)にちなみ、リンネによって命名されています。

スタぺリアの管理と置き場所

スタぺリアは熱帯アフリカ~南アフリカの乾燥地に自生しており、年間通して陽当たりと雨が当たらない風通りの良い環境が理想です。

また耐寒性は低いので、冬期の最低気温は10℃以上(種によっては5℃以上)を保った方が良いです。

スタぺリア属全般では山岳地や山岳地帯周辺地域に自生しており夏の暑さを避けた方が良い種や、夏型種(夏に水やりをした方が良い種)・冬型種(冷涼期に水やりをした方が良い種)などがありますが、一般流通する種はサボテンや他の多肉植物と同じ高温にも耐えられる夏型種が多いです。

また「犀角(S. hirsuta)」や「王犀角(S. gigantea)」等の種は短日性(夜の長さが一定以上で花芽分化する性質)で自生地では晩夏~秋に開花するため、屋内で夜間もライトに照らされる場所では開花できないことがあります。

スタぺリアの年間管理表

屋外気温をもとにした管理表です。
 
 

スタぺリアの植え替え

春から初夏(4月~6月)までの期間で、鉢が手狭な場合や株のバランスが悪くなり転倒しやすい場合などは植え替えを行います。

9月~10月に植え替えも可能ですが、冬が間近に迫る時期なので、鉢のサイズアップは一回りまでにした方が良いです。

スタぺリアの用土の選び方

スタぺリアは排水の良い用土を好むため、硬質赤玉土小粒:軽石小粒:鹿沼土小粒:ヤシ繊維=4:2:2:2を混合した土に植え替えます。

またサボテン用培養土の転用もできますが、多肉植物用培養土のような土質のものよりは、やや砂質の培養土を選んだ方が排水も良く管理しやすいです。

スタぺリアの水やり

年間通して屋内管理する場合と春から秋までは屋外に出す場合で水やりの頻度は大きく変わります。

通年屋内管理

使用している用土によって大きく変わりますが鉢土が乾いてから5日~2週間後に水を与えます。

上記の用土の場合、多肉または観葉植物用の培養土では1~2週間あたりを目安にし、ブレンド用土の場合は5日~1週間あたりが目安になります。(空調を含め室温が高い時期は1週間、室温が低い時期は2週間)

春~秋屋外管理

春に屋外に出した後は鉢土の表面の乾きを目安に徐々に水やりの頻度を増やし、夏期は鉢土の表面が乾くようならば毎日でも水を与えます。

秋に向かって気温の低下に合わせて水やりの頻度を減らし、室内管理の水やりへ移行します。

スタぺリアの肥料の与え方

年間通して屋内管理する場合と春から秋までは屋外に出す場合で、水やりと同じく肥料の頻度も大きく変わります。

通年屋内管理

室内管理での肥料やりは、月に一度液体肥料を既定の倍率で薄めて与えます。

春~秋屋外管理

屋外管理の肥料やりは、屋外に置いている期間に集中的に与えます。

5月~9月までの生育期は月に一度の置き肥と2~3回の液肥を与えます。

スタぺリアの増やし方

スタぺリアは「挿し木」「株分け」で増やします。

挿し木

挿し木は4月~5月に行い、枝を10㎝以上の長さで切りとって挿し木するか、枝を節で切り分けて挿し木します。

切り分けた挿し穂を日陰で風通しの良い場所に2~3日くらい置き、挿し穂の切り口を乾かします。

挿し穂を置く場合は切り口が周囲に接触して雑菌が付かないように注意します。

切り口が十分乾いたら植え替えに用いる培養土と同じものに、挿し穂の1/4~1/3の長さまで差し込みます。

差し込み後に茎が倒れないように軽く土を押さえて固定し、明るい日陰に置いて水を与えて管理します。

挿し木用の土はベラボンのようなヤシの繊維でも可能で、雑菌も繁殖しにくく排水・通気も良く失敗が少ないです。

半年から1年間育てて十分根が育ったところで植え替えを行います。

株分け

スタぺリアは株元から幾本も多肉の茎を伸ばした株立ちの姿に育つため、植え替えの際に株元から割るように株分けすることで増やすことができます。

株分け後の各株は植え替えに使う用土と同じもので植えなおします。

株分け時に分けた個所の傷口が大きい場合は、植え替え後すぐに水を与えず、翌日~翌々日あたりに水を与えます。

スタぺリアの病害虫

病害虫に強いですが、「カイガラムシ」「ネジラミ」が発生することがあります。

害虫

「カイガラムシ」
数㎜程度の小さな茶褐色の斑点が広がり、被害が酷いとカサブタ状に被害後が残ったり、すす病を併発します。

ただ傷ついて出る乳液が乾いた後もカサブタ状で似た症状になることもあるので、カサブタ状の痕=カイガラムシではありません。

「ネジラミ」
地上部では変化に気づきにくいですが、植え替えの際に根や鉢の内縁に白い綿状や粉上の付着物があることで気づくことができます。

いづれの害虫も吸汁して植物の体力を奪いますので、気づき次第薬剤で退治するか、あらかじめ予防をします。

アセフェートやクロアチニジンを含む粒剤などを鉢内に撒くことでどちらの害虫も予防と退治ができます。

また「カイガラムシ」であれば市販のスプレータイプの薬剤で「観葉植物」の登録と「カイガラムシ」が対象になっているものを使っていけば退治できます。

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