デルフィニウムの育て方

デルフィニウムの基本情報

科名:キンポウゲ科 Ranunculaceae
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属名:オオヒエンソウ属(デルフィニウム属)
   Delphinium
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学名:Delphinium
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和名:オオヒエンソウ
  (大飛燕草=Delphinium grandiflorum
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別名:デルフィニウム
   デルフィニューム
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英名:(Delphinium elatum)
   Alpine delphinium
   Candle larkspur
英名:(Delphinium grandiflorum)
   Siberian larkspur
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原産:ヨーロッパ~アジア・北アメリア・アフリカの山岳地帯など
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開花時期:4月下旬~6月
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高さ:20㎝~1.5m
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耐暑性:弱い
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耐寒性:強い
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デルフィニウムの特徴

デルフィニウムの仲間はヨーロッパからアジア・北アフリカ・アフリカの山岳地帯などの冷涼地原産の多年草で、花色は紫~青・ピンク・白花などがあり、特に紫~青にかけての花色は色幅もあり、かつ鮮やかです。

冷涼を好むため日本ではほとんどの地域で一年草として育てることになりますが、他にない鮮やかな青花が庭で良く映えるため人気の草花の一つです。

草丈は20㎝~1.5mまで品種によって幅があり、「デルフィニウム・エラータム(Delphinium elatum)」をもとにしたエラータム種(草丈高く太く長い花穂を立ち上げて開花する)、「デルフィニウム・グランディフローラム(D. grandiflorum)」を元にしたシネンセ種(またはシネンシス種:草丈低めで細い花穂に3~10個の花を咲かせる)、両種を交配したベラドンナ種(エラータムとシネンセの両方の特徴を持つ)の3タイプに分かれます。

エラータム種は開花している姿に存在感があり春花壇の主役として咲かせることもできますが、一方で脇役として青い花がないバラと併せることで華やかさを演出できローズガーデンにも向いています。

また曲線をえがきながら茂る植物が多い中で、直線的な花穂を立ち上げるので、花壇に曲線以外の流れを与えることができる魅力もあります。

デルフィニウムの管理と置き場所

デルフィニウムは自生地では多年草ですが、日本では寒地・寒冷地を除く多くの地域で夏越しが難しいので一年草として育てます。

暑さや蒸れに弱いため暖地・温暖地では秋に種をまき春に花を咲かせる一年草として育てます。

暖地・温暖地に隣接する寒冷地(標高が高い地域など)では、夏に日陰で風通しの良い場所で管理すれば越夏することがあります。

寒地・寒冷地で種から育てる場合は、春に種を撒き晩春~夏に花を咲かせ、冬期もマルチングを行うと多年草として育てることができます。

育てる環境は気候帯によらず、陽当たりや風通りよく、排水の良い環境で育てます。特に連作で育たなくなることがあるので、植える場所を変えたり土作りが重要になります。

庭植え・鉢植えともに育てられますが、鉢植えの場合はエラータ種のような高性種は草丈が低くなりやすいため、大き目の鉢で植えた方が良いです。

デルフィニウムの年間管理表
 
デルフィニウムの植え替え

暖かい地域では晩秋~初冬、寒い地域では春に、苗を花壇か大き目の鉢に植え替えます。

特に温暖地でも比較的霜が降りやすい地域で地植えにする場合は主に晩秋に植え付けた方が良く、植え付け時期が遅くなると根が張る前に霜が降りる時期になり、苗が土中からとび出ることがあるため植え付け時期が遅くならないように注意が必要です。

地植えの場合はエラータム種であれば株の間隔は30~40㎝くらいで植え付け、シネンセ種・ベラドンナ種であれば株の間隔は20㎝~30㎝くらいで植え付けた方が良いです。

また鉢植えの場合はエラータム種であれば8号~10号に3ポット、シネンセ種・ベラドンナ種であれば7号~8号に3ポットを目安に植え付けます。

またポットの状態で根詰まりを起こすとその後の成長に影響がでるため、苗はポットの状態で長期間置かずに根が育ち切る前に定植した方が良いです。

デルフィニウムの用土の選び方
地植え

排水性を良くするために完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、腐葉土、完熟有機肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

また粘土質の土壌は嫌うため、植える場所が粘土質の場合は堆肥類以外にもパーライト、軽石小粒、川砂などを混ぜ込み土質を作り変えます。

鉢植え

市販の花や野菜用の培養土でも大丈夫です。ただし保水・排水のバランスが良く、土の過湿が続くことを嫌うため、市販の培養土に赤玉土小粒や軽石小粒などを1~2割まぜて排水を良くしたものを使うこともできます。

またブレンドする場合は赤玉土小粒:腐葉土=7:3の土に植え替えもできます。

デルフィニウムの水やり

デルフィニウムの水やりは一般的な花の水の与え方に準じますが、土の過湿を嫌うため定期的な水やりを避けて、土の乾きを確認しながら水を与えた方が良いです。

鉢植えの場合は基本的に鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

地植えの場合は植えた直後にたっぷりと水を与えた後は、おおむね雨まかせでも大丈夫です。

デルフィニウムの肥料の与え方
地植え

苗を定植する際に、堆肥類とともに元肥として完熟の有機肥料または緩効性の化成肥料を土に混ぜ込んでから植え付けます。

追肥は葉が茂りだす3月または5月あたりから与え始め、月に1回の頻度で緩効性の化成肥料を株元から離した株回りに与えるか、月に2回~4回の頻度で液体肥料を薄めて与えます。

鉢植え

植え替え時に元肥として根を傷めないような緩効性の化成肥料を混ぜて植え付けます。

追肥は寒地・寒冷地では植え付け1週間後あたりから、温暖地・暖地では翌春の葉が茂りだす3月あたりから与え始め、月に1回の頻度で緩効性の化成肥料を株元から離した株回りに与えるか、月に2回~4回の頻度で液体肥料を薄めて与えます。

デルフィニウムの増やし方

デルフィニウムは「種まき」で増やします。種は購入するか採種したものを撒くことになります。

種まき

撒き時期:種まき適期は地域によって異なり、温暖地・暖地では秋まき(9月末~10月)、寒地・寒冷地では加温して早春まき(2月)して当年開花させるか、春まき(4月~5月)して翌年開花させます。

撒き方:ビニールポットに培養土を入れ、種を撒いて薄く覆土し、たっぷりと水を与えます。

発芽後は直撒きと同様に間引きを行い、1ポットに1苗になるまで間引きつつ育成します。

温暖地・暖地で定植する場合は、植え付け時期が遅れると根を張る前に霜が降りて苗が土中から浮き出ることがあるので、降霜時期間近の定植を避けた方が良いです。

デルフィニウムの病害虫

害虫として「ヨトウムシ」、病気として「うどんこ病」「立枯病」などが発生することがあります。

害虫

「ヨトウムシ」

ヨトウガの幼虫で日中は半地中や草陰などで休み、夕方以降から活動を始め葉や新芽を食害します。

日中は見つけにくいためヨトウムシを捕殺するためには夜間に調べます。

病気

「うどんこ病」
葉の表面に白い粉のようなカビが発生します。

春先の夜間気温が低い時期や開花期あたりで発生し、特に窒素過多の場合や株が茂りすぎて通風が悪くなると発生しやすくなります。

「立枯病」
土壌が原因で起きる病気で、土壌の過湿やデルフィニウムやキンポウゲ科の植物(ラナンキュラス等)を連作している場合に発生します。

症状は定植後少し経ってから出始め、枯れだしたものは治らないため除去します。

対策は土の排水性を良くしたり、デルフィニウムやキンポウゲ科植物の植える場所を毎年変えるなどの対応が必要になります。

また連作障害を抑えるため堆肥類を多めに混入したり、デルフィニウムを植えない年は冬に天地返しを行うなどの対応も良いです。

退治・治療方法

「ヨトウムシ」「うどんこ病」が発生してしまった場合は、市販の薬剤またはスプレー剤で「花き」の登録と対象病害虫の記載があるものを使っていけば退治できます。

また「ヨトウムシ」は日中は草陰や半土中で休んで夜間に食害することから見つけにくいので、予め浸透移行性の粒剤を株回りにバラ撒くことで予防・退治ができます。

「立枯病」の発症株は治療ができないため、上記の通り発症させない管理が重要になります。

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