ヒガンバナ(彼岸花)/リコリス・ラジアータの育て方

 ヒガンバナの
 基本情報

科名:ヒガンバナ科 Amaryllidaceae
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属名:ヒガンバナ(リコリス)属 Lycoris
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学名: Lycoris radiata
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別名:マンジュシャゲ(曼珠沙華)
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原産:中国
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開花時期:9月
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高さ:25㎝~50㎝
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耐暑性:強い
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耐寒性:強い
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 ヒガンバナの特徴

秋の彼岸の時期に花茎のみを伸ばして赤い花を咲かせ、田の畔や寺社などを赤く彩る秋の花です。田畑の少なくなった都市部で感じれるノスタルジックさも秋の雰囲気にマッチして魅力です。

日本の風景に馴染んだ植物ですが、中国が原産地です。諸説ありますが、ヒガンバナの毒性などを害獣対策として利用するために稲作とともに伝わったなどの説もあります。

仏教に関わる「曼珠沙華」という名だけでなく、ヒガンバナの持つ毒性や墓に植えられたことなどから「死人花(しびとばな)」や「墓花(はかばな)」、古くから日本に伝わったことで各地方に花名があり、様々な別名があります。

 ヒガンバナの毒性

ヒガンバナとその仲間は有毒です。リコリンなどをはじめとしたアルカロイドを含み、経口摂取で嘔吐などの症状が出て、多量摂取は命の危険がありますので注意が必要です。

毒性を薬効として利用することで「石蒜(せきさん)」という生薬が作られたり、戦時中の食糧難の時期に水にさらすことで毒を抜き食用にするという利用方法もありますが、いずれも一般の方の利用は避けてください。

一番注意が必要なのはヒガンバナの鱗茎(球根部分)をアサツキや野草のノビルの鱗茎と間違って収穫しないように気を付けてください。

 ヒガンバナの利用

ヒガンバナの観賞以外の利用は難しいですが、田畑の害虫・害獣対策としての役割を花壇へ応用することができます。

特に花壇でのネキリムシ(コガネムシの幼虫)やモグラなどへの対策としてお勧めです。腐植質を多く混ぜ込むローズガーデンなどではヒガンバナを含むリコリス属の植物や、同じヒガンバナ科のスイセンなども織り交ぜて植えこむことで、花壇の彩りとコンパニオンプランツの両方の役目を果たせます。

ただし家庭菜園近辺への植え付けは誤食の危険を減らすためにも避けてください。

 ヒガンバナの
 管理/置き場所

ヒガンバナは陽当たりよく、風通りと排水性の良い環境で育てて下さい。田んぼの畔のイメージから過湿でも育つように思えますが、田より高い畔は過湿になりにくくヒガンバナも過湿は嫌います。

リコリス属は晩夏から10月にかけて開花し、その中でもヒガンバナは「彼岸花」の名の通り、秋の彼岸あたり(9月~10月)に開花します。

秋の気温の低下とともに、花だけを咲かせて開花後に葉を出します。葉はその後、春までで続けて夏には枯れて休眠します。

日本では北海道から南西諸島まで生えており、暑さや寒さに対してはとくに注意はいりません。

 ヒガンバナの
 育て方/年間管理
 ヒガンバナの植え替え

葉が枯れて休眠する晩春から、花が咲く前(9月上旬)までの植え替えが良いです。また植え替えの際に球根の分球なども一緒に行うと良いです。

地植えの場合はほぼ放置ですが、大群生した場合などは上記の時期に地面から堀り上げて植え替えてください。

鉢植えの場合は、数年間は放置で構いませんが、やがて鉢内が球根で埋め尽くされるので、分球も含めて植え替えを行います。

 ヒガンバナの
 用土の選び方

市販の花や野菜用の培養土でも大丈夫ですが、土の過湿を嫌うため排水の良い用土で植えてください。観葉植物用の土のような排水の良い土で植えた方が良く育つこともあります。またブレンドする場合は赤玉土小粒:腐葉土=7:3の土に植え替えもできます。

庭や花壇に植える場合は、完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けてください。

 ヒガンバナの
 水やり/肥料の与え方

庭植えの場合は、植えた直後にたっぷりと水を与えた後は、おおむね雨まかせでも大丈夫です。

鉢植えの場合は基本的に鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えてください。

ヒガンバナは地植えの場合それほど肥料を必要としません。一方で鉢植えの場合は肥料が足りなくなることで花が小さくなることがあるので、開花後から冬前までと、春から夏前までに2回は与えてください。

 ヒガンバナの増やし方

ヒガンバナは球根を分球することで増やします。

分球は植え替えの時期と同じく7月~9月上旬あたりに行います。1球ごとに分けることもできますが、小さな球根では開花できないことがあるため、直径2㎝以下の大きさの球根までは分けないほうが良いです。

 ヒガンバナの病害虫

病害虫に極めて強く、特別な対策は必要ありません。

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