ベニバナトチノキ(紅花栃の木)の育て方

ベニバナトチノキ(紅花栃の木)の基本情報

科名:ムクロジ科 Sapindaceae
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属名:トチノキ属 Aesculus
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学名:Aesculus x carnea
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和名:ベニバナトチノキ(紅花栃の木)
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英名:red horse-chestnut
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開花時期:5月
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高さ:9~12m
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原産:園芸品種
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耐暑性:強い
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耐寒性:強い
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ベニバナトチノキ(紅花栃の木)の特徴

ベニバナトチノキ(紅花栃の木)は、ヨーロッパ原産のマロニエ(セイヨウトチノキ:Aesculus hippocastanum)と北米原産のアカバナアメリカトチノキ(A. pavia)交雑種で、春に濃ピンクの小花が集まった房状の花を咲かせます。

樹高は10m前後の落葉高木で5枚(または7枚)複葉の大きな葉を茂らせ、花だけでなくまとまりの良い樹形を作ることもあり、庭園・並木などで植栽されます。

いくつかの園芸品種もあり、樹形が比較的で花色が濃い「ブリオティ(’Briotii’)」、枝をアーチ状にしならせながら茂る「ペンデュラ(’Pendula’)」、葉焼け等の耐性が高く花喉部が黄色で花弁が濃ピンクの「フォートマクネア(’Fort McNair’)」などがあります。

ベニバナトチノキは種間交雑種ですが開花後に着果した場合は秋に堅果ができます。

種子は食用にされる近縁種のトチノキと似ていますが、ベニバナトチノキの種子はサポニン等が多く毒性があります。

ベニバナトチノキ(紅花栃の木)の管理と置き場所

ベニバナトチノキは陽当たり・風通しの良い環境と、保水・排水性のバランスが良い肥沃な土壌を好みます。

特に光量が減るのに応じて開花量も少なくなるため、周囲に他の樹木や遮蔽物が少ない比較的開けた場所で直射日光が良く当たる環境の方が開花しやすくなります。

まとまりの良い樹形に育つものの高木なので、鉢栽培ではなく地植えでの栽培が主となります。

ベニバナトチノキ(紅花栃の木)の年間管理表
 
ベニバナトチノキ(紅花栃の木)の植え付け

植え付けは落葉期間(落葉後から翌春の開花するまで)に行いますが、特に開花・生育などが始まる少し前にあたる3月くらいが植え替え適期です。

また落葉期間での植え替えでも、比較的温暖な地域を除けば、厳寒期の植え替えは避けた方が良いです。

定植する際は、株の根回りの大きさにより掘る深さや大きさが変わりますが、およその目安で根回りの大きさの2~3倍の広さに穴を掘ります。

掘り返した土に対して完熟堆肥を2~3割と完熟肥料を混ぜて植え付けます。

極度に乾燥する土質が苦手なので、山砂や真砂土などが占める庭に植え付ける場合は堆肥類以外に赤玉土や黒土を2~3割程度混ぜ込んでから植え付けた方が良く育ちます。

ベニバナトチノキ(紅花栃の木)の用土の選び方

基本的に地植えすることが多いですが、幼木時に鉢栽培する場合は赤玉土小粒:腐葉土=7:3を混合した土に植え替えます。

庭や花壇に植える場合は、肥沃で保水・排水のバランスの良い用土を好むため、完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

極度に乾きやすい土質の場合は堆肥類以外にも赤玉土や黒土を2~3割程度混ぜ込んでから植え付けた方が良く育ちます。

ベニバナトチノキ(紅花栃の木)の水やり

ベニバナトチノキの水やりは一般的な樹木の水の与え方に準じます。

主に地植えするので概ね天候に任せた水やりとなりますが、植えた時期から一年間は土の状態を見つつ水を与えます。

特に植え替えた直後にたっぷり水を与え、一年目の夏だけは雨が降らない日が続くようであれば夕方にたっぷりと水を与えます。

9月末から10月以降で気温が下がり始めたら、おおむね雨まかせでも大丈夫です。

幼木時で鉢栽培する場合は、年間を通して鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

ベニバナトチノキ(紅花栃の木)の肥料の与え方
元肥

植えるときに完熟有機肥料と完熟堆肥を元肥として根回りに混ぜ込みます。

もし完熟まで至っていない(発酵や未発酵の)有機肥料や堆肥の場合は、根や根鉢に直接当たらないように根鉢周辺よりさらに深く掘りこんで混ぜ込みます。

追肥

開花後にお礼肥として有機肥料を株元を避つつ株回りに与えます。

植えて数年経った株やある程度育った樹の場合は、1月あたりに寒肥を施します。

樹の周囲(樹冠の真下あたり)の土を掘り返し、完熟堆肥や完熟肥料を混ぜ込みます。この際に土と一緒に根も切ることで、新根の発生も促すようにします。

ベニバナトチノキ(紅花栃の木)の剪定・刈り込み

ベニバナトチノキは自然樹形でのまとまりの良い形に育つためあまり剪定は必要ないですが、剪定する場合は落葉後の秋~冬に内側の込み合う枝を空かすように切り取ります。

またベニバナトチノキの苗木は一般的にトチノキを台木とした接木株のため、株元からヒコバエが伸びた場合はトチノキか可能性が高いです。

ヒコバエを伸ばしたままだとベニバナトチノキの生育に影響が出ることがあるので適宜根元から切り取ります。

ベニバナトチノキ(紅花栃の木)の増やし方

ベニバナトチノキは種間交雑種なので種が出来ても成熟しないため「接木」で増やします。

接木

ベニバナトチノキの接木はトチノキを台木として、落葉期間に切り接ぎを行います。

良く切れるナイフ(またはカッター)・接木テープ・湿らせたキッチンペーパー・ベニバナトチノキの切枝・トチノキ2年生苗木を準備します。

ベニバナトチノキの切枝は前年枝を利用し、切枝に十分吸水させた後、節ごとに数㎝で切り分けます。

切り分けた枝の下側(接ぐ側)を良く切れるナイフで斜めに切り、反対側も少し削ってV字型に切り落とします。

準備した接ぎ穂は切り口を乾かさないように湿らせたキッチンペーパーなどで包み、次いで台木の準備をします。

2年生のトチノキを準備し、地際から15㎝前後の辺りで上部を切り取り、台木切り口側の枝を1~2㎝程度縦割りします。

縦割りする際は枝の外皮から数㎜内側に入った部分(形成層より少し内側)で縦割りします。

接ぎ穂の形成層と台木の形成層が重なるように接いで、接木テープで固定し、寒風や雨が当たらない場所で春の芽吹く時期まで管理します。

ベニバナトチノキ(紅花栃の木)の病害虫

害虫として「クスサン(楠蚕・樟蚕)」などが発生することがあります。

害虫

「クスサン」
ヤママユガ科の蛾の一種でクリなどの害虫としても有名ですが、ベニバナトチノキも幼虫により葉が食害されることがあります。

幼虫は薄緑~白の多数の長い毛をもつ毛虫状のイモムシで、無毒なものの食欲旺盛なため大繁殖すると多くの葉を食害されます。

発生時期は年一回で冬に卵で越冬し春から食害を始め、4月~7月あたりまで幼虫として食害します。

退治・治療方法

クスサンが発生した場合は、市販の薬剤またはスプレー剤で「樹木(類)」の登録と対象病害虫または「ケムシ類」が記載されている薬剤を使って退治します。

特に4月~5月の幼虫が小さな時期に退治しておけば、その年のクスサンの被害はほぼなくなります。

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