ネモフィラ/ルリカラクサ(瑠璃唐草)の育て方

 ネモフィラの基本情報

科名:ムラサキ科 Boraginaceae
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属名:ネモフィラ属 Nemophila
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学名:Nemophila
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和名:ルリカラクサ(瑠璃唐草=Nemophila menziesii
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英名:Baby blue eyes(Nemophila menziesii
英名:Fivespot, Five-spot(Nemophila maculata
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原産:北米(アメリカ西部およびカナダ西部、アメリカ南東部、メキシコ)
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開花時期:3月~5月
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高さ:10~20㎝
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耐暑性:弱い
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耐寒性:やや強い
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 ネモフィラの特徴

ネモフィラは北米原産で秋まき春咲きの一年草で、いくつかある花色の中でも特に爽やかなブルーの花が有名で、ネモフィラで一面がブルーに彩られた観光地などでも人気の高い花です。

切れ込みの多い葉を茂らせながら分枝しつつ、株は横へ広がりこんもりとした株姿へ育ちます。鉢植えから花壇や庭でも楽しめ、株張りは20㎝前後まで広がるため広い場所ではグランドカバーとして楽しむこともできます。

開花期は地域により咲きはじめが変わりますが、3月~5月に開花し、6月~7月の気温の上昇と多湿により一年を終えます。

ネモフィラ(Nemophila)という属名は、「木立」または「樹木が茂った空き地」を意味するラテン語のnemusと、「愛する」を意味するギリシャ語のphilosに由来し、「森(林)を愛する」という意味があります。名が示す通り、森や林の切れ間や茂みの中の明るい陽だまりに生えていたり、谷の草原、牧草地などに自生しているそうです。

 ネモフィラの品種

ネモフィラ属は北米に30数種の原種と変種があり、園芸的にはネモフィラ・メンジエンシ―(Nemophila menziesii)、花弁の縁に一つずつ青いスポットが入る大輪のネモフィラ・マクラータ(Nemophila maculata)の2種が観賞用に使われています。

和名の「瑠璃唐草(ルリカラクサ)」はネモフィラ・メンジエンシ―(Nemophila menziesii )を指します。

またメンジエンシ―には花色の異なる変種もあり、代表的な青花の「インシグニス(Nemophila menziesii subsp. insignis)」、花央に黒いブロッチの入る「ペニーブラック(Nemophila menziesii var.discoidalis ‘Penny Black’)」や白花の「スノーストーム(Nemophila menziesii var.atmaria ‘Snowstorm’)」といった品種もあります。

 ネモフィラ管理/置き場所

置き場所は陽当たりや風通りよく、排水の良い環境で育てて下さい。

ネモフィラは耐寒性一年草で、秋に種を撒き越冬したのち、長日により開花を始めます。

冷涼な気候を好み比較的耐寒性も高いですが、厳しい霜や降雪などで傷むことがあるため防寒が必要です。特に冬期の気温が-5℃を下回る場合は防寒します。なお寒冷地では春に種をまいた方が良い場合もあります。

霜柱でポットの土や根が土から出てしまうことがあり、地表をバークチップなどでマルチングを行い土が凍らないようにするか、不織布などで全体を覆い霜よけします。

根が傷むと生育が極端に悪くなるか枯死することがあるので、多湿などで根腐れが起きないように、花壇・鉢植えともに排水の良い環境づくりも重要になります。

 ネモフィラ育て方/年間管理
 ネモフィラ植え替え

10月末~12月あたりから苗が出回り、春先にも開花苗が流通します。苗を購入後、一~二回りの大きな鉢、または寄せ植えや花壇などに植え替えて下さい。

ネモフィラは直根性(根が下方に真っすぐ伸びる性質)で植え替え等で根を傷めることを嫌うため、根鉢やポットの土を崩さずに植え替えます。

また苗を選ぶ場合は、根詰まりしている苗はその後の生育が極端に悪いことがあるため、苗の大きさよりも株元がグラつかない若い苗を選ぶと良いです。

また種から育てる場合は、最初から観賞時に使う鉢やプランターに直撒きもできます。

 ネモフィラ用土の選び方

市販の花や野菜用の培養土でも大丈夫です。土の過湿が続くことを嫌うため排水の良い用土で植えてください。根腐れが気になる場合は、市販の培養土に赤玉土小粒や軽石小粒などを1~2割まぜて排水を良くしたものを使うこともできます。

またブレンドする場合は赤玉土小粒:腐葉土=7:3の土に植え替えもできます。

庭や花壇へ植え付ける場合は、排水性を良くするために完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、腐葉土などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けてください。

 ネモフィラ水やり/肥料の与え方

水やり:ネモフィラの水やりは一般的な花の水の与え方に準じます。

鉢植えの場合は基本的に鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えてください。

庭植えの場合は、植えた直後にたっぷりと水を与えた後は、おおむね雨まかせでも大丈夫です。

肥料:ネモフィラは窒素肥料を多く与えると徒長気味になり、見た目が悪くなるだけでなく、耐病性なども悪化します。

地植の場合は、肥料は与えず土質改善のための完熟堆肥や腐葉土などを混ぜ込むだけで育てます。

鉢植えの場合は、春の開花が始まるあたりからリン酸が多めの液体肥料を月に1回は与えます。

 ネモフィラ増やし方

ネモフィラは種まきで増やします。種は購入するか採種したものを撒くことになります。採種する場合は5月~6月に種を採り、撒き時期まで冷暗所で保管します。

種まきは9月~10月あたりで、目安としてヒガンバナが開花する気温が適期です。

ネモフィラは直根性で移植を嫌うため、種を撒く場合は、庭や観賞時使う鉢やプランターに直撒きするか、ビニールポットで苗を育てます。

嫌光性種子(光のない環境下で発芽する種子)のため必ず覆土はします。

庭・花壇への直撒き:完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、腐葉土などを植えこむ周囲に混ぜて植える場所を準備します。もし完熟に達していない堆肥を混ぜる場合は、土に混入後1~2週間おいてから種まきします。

土の準備ができたら、種をばら撒きまたは筋撒きします。もしばら撒きで雑草との区別がつかなくなる恐れがある場合は、筋蒔きにすることで発芽箇所に規則性ができ区別しやすくなります。

種が小さく水やりなどで流されやすいため、種まきの前にたっぷりと土に水を染み込ませます。種まき後に軽く覆土し、再度水を与えます。

発芽後本葉が出たあたりで間引きします。根が傷むのを嫌うため、間引きの際は土から引き抜くのではなくハサミなどで切ると周囲の根を傷めません。間引きは葉が重なるくらいに育ったあたりで随時行い、最終的な株間が15~20㎝までは行った方が良いです。

ポット撒き:ビニールポットに培養土を入れ、種を数粒撒き、軽く覆土をしてから水を与えます。

発芽後は直撒きと同様に間引きを行い、1ポットに1苗になるまで間引きつつ育成します。

なおポットで育てた場合の注意点として、直根性のためポット内で育ちすぎると、ポットから移植しても大きく育たなくなります。ある程度育てた段階で定植してください。

 ネモフィラ病害虫

害虫:「アブラムシ」が発生することがあります。

「アブラムシ」は花裏や葉裏などから発生します。風通しが悪い場所や油粕などの窒素肥料過多で発生量が増えることがあるので、育てている環境の改善も行うと良いです。

病気:「うどんこ病」「灰色かび病」などが発生することがあります。

「うどんこ病」は葉の表面に白い粉のようなカビが発生します。陽当たりが悪い場合、または風通しが悪い場所や株が茂りすぎて通風が悪くなると発生しやすくなります。被害が酷くなると株の成長が著しく悪くなるので、消毒の前に環境改善を行ってください。

「灰色かび病」は5月あたりで雨が多いと花や蕾などに発生します。水が染みたような斑紋ができ、やがて灰色~灰褐色のカビや胞子がでます。感染源になる感染部位を除去して消毒します。また雨除けなど多湿を避ける環境つくりも必要です。

「うどんこ病」「灰色かび病」ともに肥料が多い場合にも発生しやすくなります。特に窒素肥料を抑えることで病気の発生を軽減できます。

「アブラムシ」「うどんこ病」「灰色かび病」の退治には、市販のスプレータイプの薬剤で「花き」の登録と対象病害虫の記載があるものを使っていけば退治できます。

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