ボケ(木瓜)の育て方

ボケ(木瓜)の基本情報

科名:バラ科 Rosaceae
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属名:ボケ属 Chaenomeles
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学名:Chaenomeles speciosa
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和名:ボケ(木瓜)
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別名:モッカ(木瓜:生薬名)
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英名:flowering quince
   Chinese quince
   Japanese quince
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原産:中国
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開花時期:3月~5月上旬
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高さ:1m~3m
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耐暑性:強い
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耐寒性:強い
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ボケ(木瓜)の特徴

ボケ(木瓜)は中国原産のボケ属の一種で、庭木・生垣・盆栽などで古くから観賞されている落葉低木です。

平安時代には渡来したと言われていて、近代に数多くの園芸品種も作出され、花色は赤・ピンク・白・オレンジレッドの単色だけでなく赤・白の絞りなどもあり、花型も一重咲き~八重咲きや大輪種など多様で200種以上の品種があると言われています。

ボケ属はボケ以外に日本原産のクサボケ(草木瓜:Chaenomeles japonica)と中国原産のマボケ(真木瓜:C. cathayensis)があり、近縁種には中国原産の栽培種でバラ科カリン属のカリン(花梨:Pseudocydonia sinensis)などがあります。

ボケもカリンと同じく香りのより果実を収穫でき、生薬利用や「ボケ酒」とよばれる果実酒に使われます。

ボケ(木瓜)の管理と置き場所

ボケは陽当たりと風通しの良い環境で、滞水・過湿を避けつつ保水性良い肥沃な土壌を好みます。

温暖地を好みますが耐暑性・耐寒性が比較的高く本州~九州まで地植えで栽培でき、北海道南部でも品種は限られるものの栽培できます。

低木時でも良く開花するため盆栽などの鉢栽培で育てることができ、棘のある枝を活かして生垣にも使われます。

ただし夏場の西日が当たる場所や極度に高温になる環境では株が衰弱することがあるので、鉢栽培では夏場は明るい日陰に移動したり、コンクリート上に直置きする等は避けた方が良いです。

ボケ(木瓜)の年間管理
 
ボケ(木瓜)の植え付け・植え替え

植え付け・植え替えは生育が落ち着く9月下旬~11月下旬に行い、土が凍る時期の直前の植え替えは避けるように行います。

地植え

株の根回りの大きさにより掘る深さや大きさが変わりますが、ポット苗などの小さな株でも少なくとも直径・深さが30㎝~50㎝は掘り返した方が良いです。

根鉢が20㎝以上ある場合は、根回りの大きさの2~3倍の広さに穴を掘った方が良いです。

掘り返した土に対して完熟堆肥を2~3割と完熟肥料を混ぜて植え付けます。

もし真砂土や山砂のような固く乾きやすい土壌の場合は、堆肥類を混ぜる前に掘り返した土の半量~3割程度の赤玉土と黒土を混ぜ保水性を高めます。

鉢植え

鉢栽培は2~3年に1回の頻度で植え替えを行います。

植え替えは、鉢から取り出し、根を解しながら丁寧に土を落とし、古根や傷んだ根を整理しながら1/3程度切り詰めて植えなおします。

ボケ(木瓜)の用土の選び方

ボケは通水性があり保水力のある肥沃な土質を好むので、鉢栽培する場合は赤玉土小粒:鹿沼土小粒:腐葉土=5:3:2を混合した土に植え替えます。

庭や花壇に植える場合は、完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

もし庭土が真砂土や山砂のような固く乾きやすい土壌の場合は、堆肥類を混ぜる前に掘り返した土の半量~3割程度の赤玉土と黒土を混ぜ保水性を高めます。

ボケ(木瓜)の水やり

ボケの水やりは一般的な樹木の水の与え方に準じます。

庭植え

概ね天候に任せた水やりとなりますが、植えた時期から一年間は土の状態を見つつ水を与えます。

特に植え替えた直後にたっぷり水を与え、一年目の夏だけは雨が降らない日が続くようであれば夕方にたっぷりと水を与えます。

9月末から10月以降で気温が下がり始めたら、おおむね雨まかせでも大丈夫です。

鉢植え

年間を通して鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

ボケ(木瓜)の肥料の与え方
元肥

植えるときに完熟有機肥料と完熟堆肥を元肥として根回りに混ぜ込みます。

完熟まで至っていない(発酵や未発酵の)有機肥料や堆肥の場合は、根や根鉢に直接当たると根を傷めることがあります。

もし未完熟の有機肥料を混ぜる場合は、植穴を大きく掘って植穴底側に肥料を混ぜ、肥料の混ざっていない土を上からさらに加えて根から離すようにして植え替えます。

追肥

地植えの場合は、1月~2月の間に寒肥を施します。

樹の周囲(樹冠の真下あたり)の土を掘り返し、完熟堆肥や完熟肥料を混ぜ込みます。この際に土と一緒に根も切ることで、新根の発生も促すようにします。

鉢植えの場合は、開花後(およそ4月中旬~5月上旬)と秋(9月上旬あたり)に緩効性の化成肥料または完熟有機肥料を株元から離れた株回りに与えます。

ボケ(木瓜)の剪定

ボケは開花後(4月中旬~5月下旬)と落葉後(12月あたり)に剪定します。

特に鉢栽培でも枝が良く伸び樹形が崩れやすいので、定期的に剪定を行いつつ樹形を整えます。

地植えの場合は、開花後の剪定では枝張りを抑えるための刈り込みなどを行い、落葉後の剪定では花芽を切り落とさないように注意しつつ徒長枝や株内部の込み合った枝を切り取ります。

鉢栽培では、開花後の剪定で花柄とともに各枝を付け根から約1㎝程度残して切り詰め、枝の伸び過ぎによる樹形の乱れを抑えます。

落葉後の剪定は花芽を確認しつつ、花芽が付いている枝は付け根から10㎝前後の長さで切り落とし、花芽が付いていない枝は付け根から1㎝程度残して切り落とします(開花後の剪定の前倒しで行う)。

ボケ(木瓜)の増やし方

ボケは「挿し木」「種まき」で増やします。

ただし園芸品種の場合は種まきでは親と同じ花が咲かないことが多いです。

挿し木

9月~10月にその年の開花後から伸びた枝で挿し木します。

枝を10~15㎝前後で切り、数時間挿し穂を水に漬けて給水させます。

湿らせた赤玉土の小粒や鹿沼土の小粒など清潔な土に挿し穂を挿します。また挿し穂に発根剤を使うことで発根率が上がります。

日陰に置き、保湿のために覆いをかけ乾かないように管理します。

種まき

種まきは秋に熟した果実から採種して、果肉を洗い落としてから湿らせた赤玉土小粒などに種まきします。

発芽は春なので、種まき後のポットや鉢は屋外に置いて乾かないように適宜水やりをしながら春まで管理します。

ボケ(木瓜)の病害虫

害虫として「アブラムシ」「カイガラムシ」、病気として「赤星病」などが発生することがあります。

害虫

「アブラムシ」
新芽が伸びだすあたりから発生します。特に陽当たりと風通しが悪い場所(陽当たりと風通しが悪い枝)に発生しやすいため、剪定などで環境改善を行って発生しにくい環境づくりも大事になります。

「カイガラムシ」
葉の付け根や枝に発生し、被害が酷くなると葉が黒く汚れる「すす病」を併発することがあるため注意が必要です。

親虫は殻があるため退治に時間がかかるので、鉢植えならば消毒の前に柔らかい布や使い古しの歯ブラシなどで親虫をある程度取り除いてから薬剤をかけます。

生垣などの場合は手作業で取り除くには株が大きいため、消毒薬を満遍なく噴霧することで退治した方が良いです。

また極度の日陰や風通しが悪い場所で大発生しやすいため、剪定などで発生しにくい環境作りも大事です。

病気

「赤星病」
葉の表面にオレンジ色の病斑が表れ、進行すると葉裏に毛羽立った房状の突起物のある病斑ができ、次第に葉は枯れていきます。

病原菌のビャクシン類(カイヅカイブキなどの樹木類)を中間宿主としていて、ビャクシン類で越冬し春から移動します。

周辺にビャクシン類の植栽を避けるか、ビャクシン類が植栽されている周辺での植栽は避けた方が良いです。

退治・治療方法

各病害虫が発生した場合は、市販の薬剤またはスプレー剤で「樹木(類)」の登録と対象病害虫が記載されている薬剤を使って退治します。

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