マンサク(満作・万作)の育て方

マンサク(満作・万作)の基本情報

科名:マンサク科 Hamamelidaceae
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属名:マンサク属 Hamamelis
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学名:Hamamelis japonica
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和名:マンサク(満作・万作)
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英名:Japanese witch-hazel
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原産:日本(本州太平洋側・四国・九州)
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開花時期:2月~3月
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高さ:3m~5m
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耐暑性:強い
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耐寒性:強い
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マンサク(満作・万作)の特徴

マンサク(満作・万作)は、細い花弁の黄色い花を早春に咲かせる落葉の低木~小高木で、色味の少ない季節に花を楽しめる早春の花木の一つです。

細くやや縮れ気味の4枚花弁の花はあまり大きくはないですが、葉が芽吹く前に咲くため存在感があり、香りも楽しめます。

「マンサク」という名の由来はいくつか説があり、花の少ない季節に先駆けて咲くことから「まず咲く」「真っ先」が転訛したという説や、マンサクが咲き誇ると稲が豊作になると考えられたことから「満作」とした説などがあります。

日本固有の在来種のため広い地域で育てることができ、管理も容易なので庭木として利用されることも多い花木です。

アカバナマンサク(赤花満作:H. japonica var. discolor f. incarnata)などの満作の変種・亜種も花木として流通しており、その他にも近縁種で中国原産のシナマンサク(志那満作:Hamamelis mollis)やシナマンサクとの交配種も園芸品種としてあります。

マンサク(満作・万作)の管理と置き場所

マンサクは樹高が3m前後が多いですが、剪定せずに生長させると5~6mくらいまで育つことがあるため、主に地植えで育てることが多く、陽当たり、風通し良い環境で育てます。

山野の花木なので土が極度に過湿や乾燥なることがないため、保水性と排水性のバランスの良い用土の方が生育が良いです。

特に夏場に極度に乾く土質(真砂土や山砂など)の場合は土質を作り変えてから植え付けます。

暑さ・寒さにも強いですが、早春に開花するため地域によっては寒風の当たりにくい場所を選ぶなどの工夫をすると良いです。

マンサク(満作・万作)の年間管理
 
マンサク(満作・万作)の植え替え

植え替えは落葉期間(落葉後から翌春の葉芽が生育始めるまで)に行い、目安としては厳寒期を除く11月~3月あたりに行います。

庭植えする際は株の根回りの大きさにより掘る深さや大きさが変わります。

およその目安で、根回りの大きさの2~3倍の広さに穴を掘り、掘り返した土に対して完熟堆肥を2~3割と完熟肥料を混ぜて植え付けます。

もし真砂土や山砂のような固く乾きやすい土壌の場合は、堆肥類を混ぜる前に掘り返した土の半量~3割程度の赤玉土と黒土を混ぜ保水性を高めます。

また植え付け終る前に植穴に水が溜まるくらいに注ぎ込んで、根鉢や周囲の土に十分水を馴染ませておくと根付きが良くなります。

マンサク(満作・万作)の用土の選び方

マンサクは主に庭植えで育てることが多いですが、鉢栽培する場合は赤玉土小粒:腐葉土=7:3を混合した土に植え替えます。

市販の花や野菜用の培養土で育たないわけではないですが、植え付け初期は土の過湿ぎみになるため根腐れを起こすことがありますので避けた方が良いです。

庭や花壇に植える場合は、完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

マンサク(満作・万作)の水やり

マンサクの水やりは一般的な樹木の水の与え方に準じます。

庭植え

概ね天候に任せた水やりとなりますが、夏に雨量が少ない場合は土の状態を確認しつつ夕方あたりに水をたっぷりと与えます。

また植えた時期から一年間は土の状態を見つつ水を与えます。

特に植え替えた直後にたっぷり水を与え、一年目の夏だけは雨が降らない日が続くようであれば夕方にたっぷりと水を与えます。

9月末から10月以降で気温が下がり始めたら、おおむね雨まかせでも大丈夫です。

鉢植え

年間を通して鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

マンサク(満作・万作)の肥料の与え方
元肥

植えるときに完熟有機肥料と完熟堆肥を元肥として根回りに混ぜ込みます。

完熟まで至っていない(発酵や未発酵の)有機肥料や堆肥の場合は、根や根鉢に直接当たると根を傷めることがあります。

もし未完熟の有機肥料を混ぜる場合は、植穴を大きく掘って植穴底側に肥料を混ぜ、肥料の混ざっていない土を上からさらに加えて根から離すようにして植え替えます。

追肥

追肥として成長期の5月あたりに、芽の成長を促すため有機肥料を株元を避つつ株回りに与えます。

植えて数年経った株やある程度育った樹の場合は、12月~1月の間に寒肥を施します。

樹の周囲(樹冠の真下あたり)の土を掘り返し、完熟堆肥や完熟肥料を混ぜ込みます。この際に土と一緒に根も切ることで、新根の発生も促すようにします。

マンサク(満作・万作)の剪定

マンサクの剪定は開花後の3月あたりに行います。特に開花後~葉が芽吹く前は枝全体が見やすく剪定しやすいです。

成木は樹形が乱れることが少ないため、伸びすぎた枝を調整したり、枯れ枝・込み合った枝などを間引く程度に剪定します。

園芸品種の場合は接木されていることが多く、ひこばえ(根元からの枝)は台木の枝が出ていることがあるので見つけ次第切り取ります。

マンサク(満作・万作)の増やし方

マンサクは「取り木」で増やします。

「種まき」もできますが、種まきの場合は交配種や園芸種ではない基本種で行うものの花木として観賞できるまでに長い時間も必要となります。

また多くのマンサク苗の多くが接木されていることもあり、「取り木」で増やす方が比較的簡単です。

取り木

時期は3月あたりに行います。枝の太さが1㎝程度のものを選んで、よく切れるカッター(またはナイフ)で枝の表皮を1㎝~1.5㎝くらいの幅で剥ぎ取ります。

表皮を剥ぎ取る際のポイントは、表皮の奥にある水の通り道を切り取らないように皮一枚を剥ぐように薄く切れ込みを入れながら剥ぎ取ります。

表皮を剥ぎ取ったあたりに湿らせた水苔を巻き付け、水苔の上を透明ビニールシートで包み、上端・下端を紐やゴムで括って留めます。

秋にビニール内に十分な発根が見られたら、枝を切り取って土に植え付けます。

マンサク(満作・万作)の病害虫

比較的病害虫に強いですが、害虫として「アブラムシ」「カイガラムシ」、病気として「うどんこ病」などが発生することがあります。

害虫

「アブラムシ」
新芽が伸びだすあたりから発生します。特に陽当たりと風通しが悪い場所(陽当たりと風通しが悪い枝)に発生しやすいため、剪定などで環境改善を行って発生しにくい環境づくりも大事になります。

「カイガラムシ」
枝回りに発生しやすく、被害が酷くなると葉が黒く汚れる「すす病」を併発することがあるため注意が必要です。

親虫は殻があるため退治に時間がかかるので、幼木の場合は消毒の前に柔らかい布や使い古しの歯ブラシなどで親虫をある程度取り除いてから薬剤をかけます。

成木の場合は手作業で取り除くには株が大きいため、消毒薬を満遍なく噴霧することで退治した方が良いです。

また極度の日陰や風通しが悪い場所で大発生しやすいため、剪定などで発生しにくい環境作りも大事です。

病気

「うどんこ病」
葉の表面に粉状の白い斑紋が発生します。被害が酷いと葉が委縮したり、光合成に悪影響を及ぼします。

陽当たりと風通しが悪い場所(陽当たりと風通しが悪い枝)に発生しやすいため、剪定などで環境改善を行うことで、発生しにくい環境づくりも大事になります。

退治・治療方法

各病害虫が発生した場合は、市販の薬剤またはスプレー剤で「樹木(類)」の登録と対象病害虫が記載されている薬剤を使って退治します。

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