へクチア(属)の育て方

 へクチア(属)の
 基本情報

科名:ブロメリア科
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属名:へクチア属 Hechtia
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学名: Hechtia
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原産:メキシコ、南テキサス、中央アメリカ
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株径:10㎝~1.5m
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耐暑性:強い
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耐寒性:強い~やや強い
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 へクチア(属)の特徴

へクチアの仲間は75種のうち多くがメキシコ原産で、南テキサスからメキシコ、中央アメリカに至るまで自生しています。現地では岩だらけの斜面やサボテンなどの多肉植物に添うように生えているそうです。

H. lyman-smithiiのようにやや肉厚な葉を持つ種もありますが、他の多肉植物のように明確な貯水組織はもっておらず、水分代謝を遅くすることで乾燥地に適応しているようです。

棘のある葉姿など形態的にはディッキアに似ていますが、ディッキアは開花後も親株は育ち続けるのに対してへクチアは開花後に親株は枯れます。またほとんどの種が雌雄異株という特徴もあります。なおディッキアにはD.hebdingiiやD.’Naked Lady’のような棘なし種があり、へクチアにもH .caeruleaのように棘なし種があるため、棘の状態・ある/なしだけで両種を同定は難しいのです。

へクチアの名は、プロイセン王国時代のドイツ・ポツダムで評議員だったジュリアス・ヘクト(Julius Gottfried Konrad Hecht)にちなんで付けられています。

このヘクト氏は植物学に傾倒しており生涯でシシリーからラップランドまでのヨーロッパ中を旅し、植物探検などの支援も行い、ロバート・フックやウィリアム・フックなどとも交流があったようです。その中でヨハン・クロッチュ(Johann Friedrich Klotzsch)から同学名を捧げられたようです。

 へクチア(属)の
 管理/置き場所

基本的に年間を通してほとんどを屋外管理した方が充実した良い株に育ちますが、種によって耐寒性や夏場の日光に対する耐性に差があります。

USDA(アメリカ合衆国農務省)のハーディネスゾーンを参照すると-9~-6℃までは耐えることができる種もありますが、日本では降雪や霜があるため気温のみで耐寒性は図ることができません。

多くの種が-3℃あたりまでの耐寒性はあるので、冬期の最低温度が-3℃を下回る場合、あるいは霜や降雪時期は、屋根下または屋内の陽当たりへ移動してください。

屋外直射日光下での管理が理想ですが、種によって夏場の日中の直射日光で焼けることがあります。およその目安として、葉質が固く葉色か白系または白く起毛している種は直射日光に強く、葉質が柔らかく葉色が緑の種ほど夏の遮光が必要です。

汎用的な管理方法としては、春・秋は屋外の直射日光に当て、夏は日中の直射日光を避けるため朝日だけが当たる場所に移動するか、遮光をすると良いです。

 へクチア(属)の
 育て方/年間管理
 へクチア(属)の植え替え

5月以降、または八重桜の開花したあたりから生育が始まるので同時期から植え替えもできます。子株が大きくなり鉢が手狭になったら、一回り~二回り大きな鉢に植え替えて下さい。

大きすぎる鉢では生育が止まる冬などに根腐れしやすくなるため、冬までの間で鉢内にある程度根がはれるくらいの大きさにした方が良いです。

 へクチア(属)の
 用土の選び方

排水の良い用土を使って植え替えて下さい。

アガベや塊根植物用の培養土での植え替えが理想です。またブレンドする場合は硬質赤玉土小粒:軽石小粒:鹿沼土小粒:ヤシ繊維=4:2:2:2の土に植え替えが良いです。ヤシ繊維はベラボンようなアクの少ないものを使い、赤玉土は茨城用土などの潰れにくい硬質タイプを使います。

サボテン用の培養土などでも大丈夫ですが、土質(砂質)が細かいものでは排水性が悪くなるため、土質が荒いものを選んだ方が良いです。

 へクチア(属)の
 水やり/肥料の与え方

春に屋外に出した後は鉢土の表面の乾きを目安に徐々に水やりの頻度を増やし、夏期は鉢土の表面が乾くようならば毎日でも水を与えます。秋に向かって気温の低下に合わせて水やりの頻度を減らし、室内管理の水やりへ移行します。

冬期を屋外で管理する場合は、暖かい日の朝に月に数度水を与えて下さい。一方で屋内管理する場合は、エアコンの設定温度や稼働時間で変わります。比較的一日を通して室温を高くしている場合は秋の水管理を維持しつつ越冬させます。室温が低い時間帯が長い場合は、屋外管理と同じ水やりになりますが、時々葉に霧吹きをするなど乾燥対策をした方が良いです。

肥料はあまり与えなくても充分育ちますが、与えることで生育が早くなります。ただし多肥・多水で育てると耐寒性が落ちるため、屋外に置いている期間に2ヵ月に一度の置き肥を与えて下さい。

 へクチア(属)の増やし方

へクチアは種まきか株分けで増やします。

へクチアは先述の通り生涯に一度だけ開花します。その後の種を撒くか、販売されている種を取り寄せて種まきをします。種まきは気温の上がる5月~6月以降が良いです。ポットなどに植え替えに使うものと同じ土を入れ、種をまき種が隠れるくらいに覆土します。水を与え、発芽までは直射日光のあたらない明るい日陰に置きます。発芽は品種にもよりますが1~2週間くらいで発芽します。

株分けは親株の株もとに出た子株を分けて増やします。子株が小さすぎると生育が悪くなるため、少なくとも子株が親株の1/3の大きさ、または葉が7~8枚になるまでは待ってから株分けした方が良いです。株分けに使う用土も植え替えに使うものと同じものにします。

 へクチア(属)の病害虫

病害虫に極めて強いですが、「ハダニ」が発生することがあります。

「ハダニ」は屋外管理している場合は発生しにくいですが、屋内管理をしている冬場などに発生しやすいです。ハダニは蜘蛛の仲間で、虫本体は小さく発見しにくいですが、カスリ状の被害痕が葉に現れたり、被害が酷いと蜘蛛の巣のような糸が株を覆うことで分かります。

ハダニは水を嫌うため、吹き飛ばすようにシャワーなどで株に水をかけてから市販のスプレータイプの薬剤で「観葉植物」の登録と「ハダニ」が対象になっているものを使っていけば退治できます。

またアセフェート粒剤やクロアチニジン粒剤などを鉢内に撒くことで予防もできます。

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