サルスベリ(百日紅)の育て方

サルスベリ(百日紅)の基本情報

科名:ミソハギ科 Lythraceae
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属名:サルスベリ属 Lagerstroemia
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学名:Lagerstroemia
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和名:サルスベリ(百日紅=Lagerstroemia indica
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別名:ヒャクジツコウ(百日紅)
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原産:中国南部
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開花時期:7月~10月
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高さ:~10m
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耐暑性:強い
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耐寒性:強い
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サルスベリ(百日紅)の特徴

サルスベリは夏の代表的な花木の一つで、夏から新枝を伸ばしながら花を咲かせ秋まで開花を続け漢字名の「百日紅」の由来にもなっています。

また「サルスベリ」という名は、樹の成長にともなって樹皮が落ち、滑らかな幹肌になることから「猿も滑って登れない」だろうと考えられたことから名づいており、漢字名は「百日紅」の他に「猿滑」と表すこともあります。

寒地を除く多くの地域で露地植えできるため、庭木だけでなく街路樹や公園の植栽などにも使われます。

和名での「サルスベリ」は、中国南部原産の(Lagerstroemia indica)を指しますが、変種の「シロバナサルスベリ(白花百日紅=L. indica ‘Alba’)」や「ヤクシマサルスベリ(屋久島百日紅=L. subcostata var. fauriei)」などの交配から多くの品種が作られています。

花色は濃~淡ピンク・白・赤・紫・複色などがあり、葉色は基本的につやのある緑葉ですが赤葉品種などもあります。

サルスベリ(百日紅)の管理と置き場所

サルスベリは陽当たり、風通し、排水性の良い環境で育てます。

ただし極度に乾く土質では生育が悪化するため、もし山砂や真砂土などのような砂質の土壌の場合は適度に保水性を持たせるため赤玉土などを加えて土作ってから植え付けます。

街路樹や公園の植栽に使われるように管理は楽なので、ある程度土質さえ整えておけば生育上の難点はありませんが、自生環境が暖地~温暖地なので寒冷地の一部や寒地での地植えは不向きです。

そのため地植え・鉢植えともに育てることができますが、寒地などの場合は冬の寒さから守る必要があるため鉢栽培が向いています。

品種によって樹形・樹高・樹幅が異なるため、地植え・鉢植えともに栽培の仕方に応じた品種選びが必要になります。

サルスベリ(百日紅)の年間管理表
 
サルスベリ(百日紅)の植え替え

植え替えは4月~5月・9月に植え替えます。暖かい地域では3月~5月・9月~10月まで植え替えできますが、暖地の植物のため根が生育できる寒い時期を避けた方が根付きやすいです。

庭植え

株の根回りの大きさにより掘る深さや大きさが変わります。

ポット苗のような比較的小ぶりな苗でも50㎝~60㎝の穴は掘って植え付け、根鉢が大きい場合は根回りの大きさの2~3倍の広さに穴を掘って植え付けます。

植え付けの際は、掘り返した土に対して完熟堆肥を2~3割と完熟肥料を混ぜて植え付けます。

もし真砂土や山砂のような固く乾きやすい土壌の場合は、堆肥類を混ぜる前に掘り返した土の半量~3割程度の赤玉土を混ぜ保水性を高めます。

鉢植え

入手したばかりの苗の植え替えは、根鉢の2~3回り大きなサイズの鉢に植え替えます。

以降は成長にともない株に対して鉢が小さくなるようであれば、適宜植え替えを行い鉢のサイズを大きくします。

苗が大きくなり鉢のサイズを大きくすることができなくなったら、根詰まり解消と土の入れ替えのために少なくとも2~3年に1回は植え直しを行います。

植え直す場合は根を傷めるため落葉中で芽吹く前あたりが良いので、3月~4月に行います。

鉢から根鉢を抜き出せる場合は、抜き出した根鉢の土を半分程度落として根を整理して新しい土で植え替えます。

根鉢を抜き出せない場合は、鉢に植えた状態でスコップなどで根を切りながら土を掘りだし、新しい土を足します。

サルスベリ(百日紅)の用土の選び方

庭や花壇に植える場合は、完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

鉢植えの場合は赤玉土小粒:腐葉土=7:3を混合した土に植え替えます。

サルスベリ(百日紅)の水やり

サルスベリの水やりは一般的な樹木の水の与え方に準じます。

庭植え

概ね天候に任せた水やりとなりますが、植えた時期から一年間は土の状態を見つつ水を与えます。

特に植え替えた直後にたっぷり水を与え、一年目の夏だけは雨が降らない日が続くようであれば夕方にたっぷりと水を与えて下さい。9月末から10月以降で気温が下がり始めたら、おおむね雨まかせでも大丈夫です。

鉢植え

年間を通して鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

サルスベリ(百日紅)の肥料の与え方

地植えの場合は植えるときに完熟有機肥料と完熟堆肥を元肥として根回りに混ぜ込みます。

もし完熟まで至っていない(発酵や未発酵の)有機肥料や堆肥の場合は、根や根鉢に直接当たらないように混ぜます。

鉢植えの場合は緩効性の化成肥料を混ぜ込んでから植え付けます。

植えて数年経った株やある程度育った樹の場合は、2月の間頃に寒肥を施します。

樹の周囲(樹冠の真下あたり)の土を掘り返し、完熟堆肥や完熟肥料を混ぜ込みます。この際に土と一緒に根も切ることで、新根の発生も促すようにします。

サルスベリ(百日紅)の剪定/刈り込み

サルスベリは春から伸びた新梢に花を咲かせるので、全体的な樹形を整える剪定は落葉期に行います。

また春以降は花後の剪定と枝透かしのための剪定を行います。

落葉期の剪定

落葉しているため枝全体を確認しやすく剪定しやすいという特徴があります。

主に前年度伸びた枝を剪定しますが、深く剪定すると比較的太い新梢が伸びて大きな花房で咲き、浅く剪定(枝先剪定)すると細めの新梢が伸びて小さめの花房で咲きます。

また自然樹形で楽しみたい場合は、深い剪定は不向きなため比較的浅い剪定をメインに行いつつ樹の生育や樹形に悪影響を与える枝を間引いていきます。

春以降の剪定

枝透かし:枝が込み合い風通しや陽当たりの悪い枝ができると、病害虫の発生原因になるため、込み合った枝は春以降でも剪定します。

またヒコバエも出やすいため伸びてきたら適宜切り取ります。

花後の剪定:暖かい地域または早咲き品種であれば、最初の花が咲き終わった時点で、花房または花房から数節下ったあたりで剪定すると再度開花します。

サルスベリ(百日紅)の増やし方

サルスベリは「挿し木」「種まき」で増やします。

挿し木

時期は6月~8月あたりに行います。その年に伸びた枝(新梢)から挿し穂を作ります。

挿し穂にする新梢は固く充実した枝を選び、枝を20㎝前後でカットします。

土に挿さる挿し穂下側の葉を取り除いた後、良く切れるカッターやナイフで下側切り口を給水しやすいように斜めに切り、挿し穂を数時間水につけて給水させます。

鹿沼土細粒か赤玉土細粒のような清潔な土を準備し、水をかけて湿らせた後、挿し穂を土に挿します。

発根剤などを使うと成功率が上がるのでお勧めです。ビニールなどで覆い保湿しつつ、日陰で水を与えながら管理します。

種まき

開花後に1㎝前後の実をつけ、秋には黒く熟します。実は熟すと割れて種がこぼれるため、種がこぼれる前に実を採種します。

取り出した種は、すぐに種まきするか、乾かないように湿らせた土中で保管し翌年の3月に種まきします。

山野の木なので、土質さえ合っていればばら撒きでも芽は出ますが、雑草との違いが分からなくなるため、市販の種まき用土か花用の土に撒くことをお勧めします。

種まきの土や花用の土をポットに入れて、1~3粒ずつ種を撒き、軽く覆土します。たっぷりと水を与えた後、発芽するまで明るい日陰に置きます。

複数の種を撒いた場合は、発芽後に苗の生育にあわせて間引きしていきます。この間引きの際は土から引き抜くのではなく、ハサミなどで切ります。

本葉が3~4枚くらいの苗に育ったらポットに植え替えます。ポットで苗を大きく育てた後に定植する際は根が回る前に植え替えします。

(※種まきの場合は親と同じ花が咲くとは限らないため、品種名のついているサルスベリの場合は親品種と違う花が咲く可能性が高いです。)

サルスベリ(百日紅)の病害虫

害虫として「カイガラムシ」、病気として「うどんこ病」などが発生することがあります。

害虫

「カイガラムシ」
葉裏・葉の付け根・枝などに多く発生します。吸汁害虫のため大発生すると葉が黒く汚れる「すす病」を併発することがあるため注意が必要です。

花房にも発生することがあるので、花後の実をドライフラワーとして利用したい場合は適宜消毒を行った方が良いです。

病気

「うどんこ病」
葉の表面に白い粉のようなカビが発生します。春先の夜間気温が低い時期や開花期あたりで発生し、特に窒素過多の場合や株が茂りすぎて通風が悪くなると発生しやすくなります。

退治・治療

「カイガラムシ」「うどんこ病」が発生した場合は、市販の薬剤で「サルスベリ」または「樹木」の登録と対象病害虫の記載があるものを使っていけば退治できます。

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