ムクゲ(槿/木槿)の育て方

ムクゲ(槿/木槿)の基本情報

科名:アオイ科 Malvaceae
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属名:フヨウ属(ヒビスクス属)
   Hibiscus
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学名:Hibiscus syriacus
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和名:ムクゲ(槿・木槿)
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別名:キハチス(木波知須)
   ハチス(波知須)
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原産:中国
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開花時期:7月~9月
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高さ:1~2m
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耐暑性:強い
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耐寒性:強い
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ムクゲ(槿/木槿)の特徴

ムクゲ(槿または木槿)は暑さに負けず盛夏も咲き続ける夏の代表的な花木の一つで、アオイ科フヨウ属(ヒビスクス属)の落葉低木です。

中国原産の花木ですが日本へは古くから伝わっていて、平安時代後期の文献内にムクゲと考えられる記載が見られるため、平安時代前期までには伝わっていただろうと考えられています。

花は他のフヨウ属にも見られるように、朝花開き夜には萎む「一日花」ですが、花は次々と咲き続け初夏~初秋にかけて長く楽しめます。

耐暑性だけでなく耐寒性も高く、寒地でも地域によって露地植えできるため、庭木だけでなく街路樹や公園の植栽などにも使われます。

観賞用としての栽培歴も長いため園芸品種も多く、花色は白~赤系の色調の品種が多いですが、紫系の花色もあれば、単色の花以外に花中央が濃いピンク・赤・紫の模様が入る品種もあります。

ムクゲ(槿/木槿)の管理と置き場所

ムクゲは陽当たり・風通しの良く、腐植質に富んだ排水性の良い場所で育てます。

ただし極度に乾く土質では生育が悪化するため、もし山砂や真砂土などのような砂質の土壌の場合は適度に保水性を持たせるため赤玉土などを加えて土作ってから植え付けます。

街路樹や公園の植栽に使われるように強健で管理は楽なので、ある程度土質さえ整えておけば生育上の難点はありません。

ただし生育が旺盛で根が張りやすいため鉢栽培は植え替え頻度が多くなりやすいため、管理上は地植えが育てやすいです。

ムクゲ(槿/木槿)の年間管理表
 
ムクゲ(槿/木槿)の植え替え

植え替えは落葉期が理想で、時期は12月~3月に植え替えた方が良いです。

庭植えの場合

株の根回りの大きさにより掘る深さや大きさが変わります。

ポット苗のような比較的小ぶりな苗でも50㎝~60㎝の穴は掘って植え付け、根鉢が大きい場合は根回りの大きさの2~3倍の広さに穴を掘って植え付けます。

植え付けの際は、掘り返した土に対して完熟堆肥を2~3割と完熟肥料を混ぜて植え付けます。

もし真砂土や山砂のような固く乾きやすい土壌の場合は、堆肥類を混ぜる前に掘り返した土の半量~3割程度の赤玉土を混ぜ保水性を高めます。

鉢植えの場合

大株の長期的な鉢栽培は植え替え頻度が多くなり作業が増えますが、短期の鉢栽培や小苗を大きくするまでは鉢栽培もできます。

入手したばかりの苗の植え替えは、根鉢の2~3回り大きなサイズの鉢に植え替えます。

以降は成長にともない株に対して鉢が小さくなるようであれば、適宜植え替えを行い鉢のサイズを大きくします。

鉢のサイズアップができなくなったら地植えに移行します。

ムクゲ(槿/木槿)の用土の選び方

庭や花壇に植える場合は、完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

鉢植えの場合は赤玉土小粒:腐葉土=7:3を混合した土に植え替えます。

ムクゲ(槿/木槿)の水やり

ムクゲの水やりは一般的な樹木の水の与え方に準じます。

庭植えの場合

概ね天候に任せた水やりとなりますが、植えた時期から一年間は土の状態を見つつ水を与えます。

特に植え替えた直後にたっぷり水を与え、一年目の夏だけは雨が降らない日が続くようであれば夕方にたっぷりと水を与えます。

9月末から10月以降で気温が下がり始めたら、おおむね雨まかせでも大丈夫です。

鉢植えの場合

年間を通して鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

ムクゲ(槿/木槿)の肥料の与え方

地植えの場合は植えるときに完熟有機肥料と完熟堆肥を元肥として根回りに混ぜ込みます。

もし完熟まで至っていない(発酵や未発酵の)有機肥料や堆肥の場合は、根や根鉢に直接当たらないように混ぜます。

鉢植えの場合は緩効性の化成肥料を混ぜ込んでから植え付けます。

植えて数年経った株やある程度育った樹の場合は、2月の間頃に寒肥を施します。

樹の周囲(樹冠の真下あたり)の土を掘り返し、完熟堆肥や完熟肥料を混ぜ込みます。この際に土と一緒に根も切ることで、新根の発生も促すようにします。

ムクゲ(槿/木槿)の剪定

ムクゲは春から伸びた新梢に花を咲かせるので、全体的な樹形を整える剪定は落葉期に行います。

また春以降は花後の剪定と枝透かしのための剪定を行います。

落葉期の剪定

落葉しているため枝全体を確認しやすく剪定しやすいという特徴があります。

主に前年度伸びた枝を剪定しますが、深く剪定すると比較的太い新梢が伸びて大きな花房で咲き、浅く剪定(枝先剪定)すると細めの新梢が伸びて小さめの花房で咲きます。

また自然樹形で楽しみたい場合は、深い剪定は不向きなため比較的浅い剪定をメインに行いつつ樹の生育や樹形に悪影響を与える枝を間引いていきます。

春以降の剪定

枝透かし:枝が込み合い風通しや陽当たりの悪い枝ができると、病害虫の発生原因になるため、込み合った枝は春以降でも剪定します。

ムクゲ(槿/木槿)の増やし方

ムクゲは「挿し木」「種まき」で増やします。

挿し木

時期は6月~8月あたりに行います。その年に伸びた枝(新梢)から挿し穂を作ります。

挿し穂にする新梢は固く充実した枝を選び、枝を20㎝前後でカットします。

土に挿さる挿し穂下側の葉を取り除いた後、良く切れるカッターやナイフで下側切り口を給水しやすいように斜めに切り、挿し穂を数時間水につけて給水させます。

鹿沼土細粒か赤玉土細粒のような清潔な土を準備し、水をかけて湿らせた後、挿し穂を土に挿します。

発根剤などを使うと成功率が上がるのでお勧めです。ビニールなどで覆い保湿しつつ、日陰で水を与えながら管理します。

種まき

開花後にできる実の中に綿毛が少し生えた種ができます。実は熟すと茶褐色に変色し割れて種が散るため、種が散る前に実から採種します。

取り出した種は、すぐに種まきするか、乾かないように湿らせた土中で保管し翌年の3月に種まきします。

土質さえ合っていればばら撒きでも芽は出ますが、雑草との違いが分からなくなるため、市販の種まき用土か花用の土に撒くことをお勧めします。

種まきの土や花用の土をポットに入れて、1~3粒ずつ種を撒き、軽く覆土します。たっぷりと水を与えた後、発芽するまで明るい日陰に置きます。

複数の種を撒いた場合は、発芽後に苗の生育にあわせて間引きしていきます。この間引きの際は土から引き抜くのではなく、ハサミなどで切ります。

本葉が3~4枚くらいの苗に育ったらポットに植え替えます。ポットで苗を大きく育てた後に定植する際は根が回る前に植え替えします。

(※種まきの場合は親と同じ花が咲くとは限らないため、品種名のついているムクゲの場合は親品種と違う花が咲く可能性が高いです。)

ムクゲ(槿/木槿)の病害虫

害虫として「アブラムシ」「ハマキムシ」などが発生することがあります。

害虫

「アブラムシ」
新芽や蕾周辺などから発生します。風通しが悪い場所や油粕などの窒素肥料過多で発生量が増えることがあるので、育てている環境の改善も行うと良いです。

「ハマキムシ」
ハマキガという蛾の幼虫で、一枚~複数枚の葉を巻き取って幼虫が葉の内側から食害します。

巻いた葉の内側にいるため薬剤で直接退治が難しいため、被害葉を虫ごと除去するか浸透移行剤で退治します。

退治・治療

「アブラムシ」「ハマキムシ」が発生した場合は、市販のスプレータイプの薬剤で「花き」の登録と対象病害虫の記載があるものを使っていけば退治できます。

また草丈が1m以下での害虫類の場合は、アセフェートやクロアチニジンを含む殺虫用の浸透移行性の粒剤を撒くことで予防ができます。特にハマキムシの予防・退治に向いています。

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