カシワバアジサイ(柏葉紫陽花)の育て方

 カシワバアジサイ(柏葉紫陽花)の基本情報

科名:アジサイ科 Hydrangeaceae
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属名:アジサイ属(ハイドランジア属)
   Hydrangea
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学名:Hydrangea quercifolia
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和名:カシワバアジサイ(柏葉紫陽花)
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別名:テマリバナ(手毬花)
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英名:Oakleaf hydrangea
   Oak-leaved hydrangea
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原産:米国南東部
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開花時期:5月中旬~7月
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高さ:1m~2m
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耐暑性:強い
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耐寒性:強い
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カシワバアジサイ(柏葉紫陽花)の特徴

カシワバアジサイ(柏葉紫陽花)は、北米東部(アメリカ南東部)原産のアジサイの仲間で、カシワ(柏)の葉を思わせる切れ込みのある葉と白く円錐状の花房を少し項垂れるように咲かせます。

自生地はアメリカのアラバマ・ジョージア・ノースカロライナ州およびその周辺地域の川沿いや森に覆われた丘の中腹などの地域で、自生環境は木漏れ日が良く入る明るい広葉樹林の下や朝日だけ当たる明るい日陰などに自生しています。

基本種は白花一重ですが、園芸種もあり八重咲き品種から薄ピンクや濃ピンク色の花を咲かせる品種などもあります。

なお秋の寒暖差がある地域では、葉はやや赤みがかった黄色に色づき、花房も秋まで残しておくとブラウンに変わるため、株全体が黄~ブラウン系の色に黄葉します。

カシワバアジサイ(柏葉紫陽花)の管理と置き場所

カシワバアジサイは陽当たり~明るい半日陰と風通りの良い環境で、腐植質に富む保水・排水性の良い場所で育てます。

開花後の葉姿もきれいに維持するために、夏場に遮光の役目を果たすような木漏れ日の多い落葉樹の下や朝日だけ直射光があたる日陰などの場所が育てやすいです。

なお夏場で終日直射日光が当たる場所では枯れることはありませんが葉が傷むことがあり、一方で木漏れ日や直射光が全くあたらない日陰では開花量が減るか、開花しなくなることがあります。

開花中の株は花房や枝がたわむ様に茂りドーム状の株姿に育ち、株元は他のアジサイのように株立ちではなく1本~数本の木質化した枝が幹のように立ち上がり、アジサイの仲間の中では樹高が2m前後の大型の株に育ちます。

そのため剪定で樹勢や樹高を制御しつつも植栽場所はやや広めにとっておいた方が管理が楽になります。

なお一般的なアジサイ/ハイドランジアの育て方については下記リンク先を参照してください。

カシワバアジサイ(柏葉紫陽花)の年間管理表

カシワバアジサイ(柏葉紫陽花)の植え替え

カシワバアジサイの植え替えは落葉し休眠する11月~3月上中旬です。ただし厳寒期の1月~2月中旬(または12月~2月)は避けます。

また鉢花として5月あたりに店頭に並ぶため、開花中の株を入手した場合は開花後に一回り大きな鉢か庭に植え替えます。

地植え

株の根回りの大きさにより掘る深さや大きさが変わりますが、ポットの苗などの小さな株でも少なくとも直径・深さが30㎝~50㎝は掘り返した方が良いです。

根鉢が20㎝以上ある場合は、根回りの大きさの2~3倍の広さに穴を掘った方が良いです。

掘り返した土に対して完熟堆肥を2~3割と完熟肥料を混ぜて植え付けます。土が砂質の場合は赤玉土も一緒に混ぜ込み、土内の保湿できるようにします。

花付き株を植え付ける場合、枝葉より根鉢が小さく定植後に株が倒れやすいため、根付くまでの間は支柱を立てた方が良いです。

鉢植え

一般的な植物の植え替えでは、適度に土が乾いて空気が入るように1~2回り大きな鉢に植え替えることが多いですが、カシワバアジサイを植え替える場合はアジサイの中では大型になる種類なので鉢も大き目のものに植え替えます。

花付きの鉢物であれば、元の鉢のサイズの三回りくらいの大きな鉢に植え替え、ポットサイズの苗でも5号~6号サイズの鉢に植え替えます。

自宅で栽培中の鉢栽培のものは1年~2年に1回植え替えます。

株が大きくなるに従って鉢のサイズを大きくしていきますが、鉢のサイズアップができない場合は落葉期間に鉢から抜き出し、土を崩して根も切って整理したうえで、同じ大きさの新しい鉢へ植え替えます。

カシワバアジサイ(柏葉紫陽花)の用土の選び方

有機質に富んだ保水・排水の良い土質に植えると健康的に育ちます。

地植え

植えこむ周囲の土量に対して完熟堆肥を2~3割と完熟有機肥料を混ぜて植え付けます。

新築の庭で山砂や真砂土などが入っている場合は、土中の保水力を上げるため堆肥以外に赤玉土小粒を掘り上げた土に等量混合します。

鉢植え

赤玉土小粒:鹿沼土小粒:腐葉土:完熟堆肥=4:2:2:2を混合した土に植え替えます。

カシワバアジサイ(柏葉紫陽花)の水やり

カシワバアジサイの水やりは一般的な樹木の水やりと同じです。

地植え

根付いた株は基本的に水やりの必要はありませんが、夏場に晴天が続くようであれば土表面の乾きに応じて夕方あたりにたっぷりと水を与えます。

また定植した年は植えた直後にたっぷりと水を与え、表土の乾きを確認しつつ根付くまでの間は水やりを行います。

鉢植え

基本的に鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

カシワバアジサイ(柏葉紫陽花)の肥料の与え方

カシワバアジサイの施肥は年に2回行い、冬場の寒肥と開花後のお礼肥を与えます。また定植時に元肥を混ぜて植え付けます。

元肥は鉢・庭植えともに、土質改良のための堆肥類と一緒に根を傷めない緩効性の化成肥料か完熟有機肥料を株の周囲の土に混ぜ込んで植え付けます。

もし完熟まで至っていない(発酵や未発酵の)有機肥料や堆肥の場合は、根や根鉢に直接当たらないように混ぜます。

追肥は、12月または2月中下旬あたりに寒肥として完熟堆肥とともに完熟有機肥料を株回りに混ぜ込みます。開花後(7月あたり)にお礼肥として有機肥料を株元から離した株回りに与えます。

カシワバアジサイ(柏葉紫陽花)の剪定
苗・小株の剪定

カシワバアジサイは幹立ち(1本の幹で地際から立ち上がる性質)になりやすく、他のアジサイと異なり株立ち(複数の幹が地際から立ち上がる性質)になりにくいです。

苗や鉢花に複数株が入っているものは別ですが、1鉢1株のものはいずれ大ぶりな1本幹立ちへと育つ可能性が高いです。

幹立ちの場合は樹高を抑えつつ開花させることが難しくなるため「株立ち風」に育てるために、苗や小株の段階で剪定します。

苗や小株の剪定は、芽が出る場所を残しつつ地際から10~20㎝あたりで切り取ります。

翌年は開花しませんが、地際近くから複数本の枝が出るため後々の剪定が行いやすくなります。

成木の剪定

カシワバアジサイの花は、開花後に訪れる夏場に翌年開花する花芽が作られます。そのため剪定は開花後早めに行います。

剪定の仕方は他のアジサイと同じく花から2節下を剪定します。

一方で秋に色変わりする花を楽しみたい場合は、剪定せずに花房を残します。

樹高を抑える剪定

枝を全体的に刈り込むことで抑えることができますが、短く切り込んだ枝は翌年開花できなくなります。

予め枝数が多くでるよう「株立ち風」に育てた株の場合は、開花のために枝を残しつつ所々の枝を短く切り込むという作業を年ごとに枝を変えて行うことで、開花させつつ樹高を抑えることができます。

カシワバアジサイ(柏葉紫陽花)の増やし方

カシワバアジサイは「挿し木」で増やします。

挿し木

時期は6月~7月に行い、開花後の枝かその年に伸びた枝(新梢)から固く充実したものを選び挿し穂を作ります。

2~3節で枝をカットし、挿し穂上側から1~2対葉を残し下側の葉を取り除き、残った葉は、蒸散を抑えるため半分に切ります。

良く切れるカッターやナイフで一番下の節から1㎝くらい下側を斜めに切り、挿し穂を数時間水につけて給水させます。

鹿沼土細粒か赤玉土細粒のような清潔な土を準備し、水をかけて湿らせた後、挿し穂を土に挿します。

発根剤などを使うと成功率が上がるのでお勧めです。ビニールなどで覆い保湿しつつ、日陰で水を与えながら管理します。

カシワバアジサイ(柏葉紫陽花)の病害虫

害虫として「ハダニ」「カイガラムシ」、病気として「うどんこ病」などが発生することがあります。

害虫

「ハダニ」
乾燥する環境下で葉裏にから広がっていき、葉裏から吸汁するため、葉色がかすれた様な色合いになります。鉢栽培で軒下など雨があたりにくい環境で発生しやすくなります。

またハダニはクモの仲間なので、大発生すると蜘蛛の巣状の糸を張り始めます。

水を嫌うため葉裏から株全体を濡らして弱らせ、消毒することで退治できます。

「カイガラムシ」
枝や葉の付け根などに発生します。被害が酷くなると葉が黒く汚れる「すす病」を併発することがあるため注意が必要です。風通しの悪い環境や極度に陽当たりが悪い場所で発生しやすくなります。

病気

「うどんこ病」
葉に白い粉状の症状が表れます。被害が酷くなると光合成の阻害や葉の萎縮などがおこるようになります。

退治・治療方法

「ハダニ」「カイガラムシ」「うどんこ病」が発生した場合は、市販の薬剤またはスプレー剤で「樹木類」の登録と対象病害虫の記載があるものを使っていけば退治できます。

また「ハダニ」「カイガラムシ」については樹高が1m以下の場合、殺虫用の浸透移行性の粒剤を撒くことで予防や退治をすることができます。

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