センリョウ(千両)の育て方

センリョウ(千両)の基本情報

科名:センリョウ科 Chloranthaceae
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属名:センリョウ属 Sarcandra
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学名:Sarcandra glabra
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異名(Synonym):
   Ascarina serrata
   Chloranthus glaber
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和名:センリョウ(千両)
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別名:クササンゴ(草珊瑚)
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英名:Herba sarcandrae
   Glabrous sarcandra herb
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原産:日本・朝鮮半島・中国・東南アジア
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高さ:70㎝~1m
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耐暑性:強い
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耐寒性:やや強い
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センリョウ(千両)の特徴

センリョウは日本・朝鮮半島・中国・東南アジア・南アジアにかけて自生するセンリョウ科センリョウ属の常緑小低木で、冬に赤く色ずく実を観賞し、日本では縁起物として正月の飾りなどにも使われます。

濃くツヤのある葉で高さは1m前後の小低木なので、庭の下草のような植栽に使われたり、切花として利用もされます。

また赤い実を付けるセンリョウの他、変種に黄色い実を付けるキミノセンリョウ(黄実千両=Sarcandra glabra f. flava)や斑入りの園芸種もあります。

センリョウとは異なる種ですが一両~億両と呼ばれる植物があり、センリョウとマンリョウ(万両=Ardisia crenata)だけが標準和名として使われています。

なお一両はアリドオシ(蟻通し=Damnacanthus indicus)・十両はヤブコウジ(藪柑子=Ardisia japonica)・百両はカラタチバナ(唐橘=Ardisia crispa)・億両はミヤマシキミ(深山樒=Skimmia japonica var. japonica)が植物名で、いずれも赤い実がなる縁起物として扱われます。

センリョウ(千両)の管理・置き場所

センリョウは、自生環境では山野の木の下などに自生しているため、明るい日陰で腐植質に富んだ保水・排水のバランスの良い土壌を好みます。

比較的日陰でも育ち、特に夏場は葉焼けするため日陰が必須ですが、年間通して極度に陽当たりが悪い場所では花付き・実付きが悪くなるため木漏れ日が当たるくらいの明るさがあった方が実の観賞にとって良いです。

1m前後の小低木なので鉢植え・地植えともに育てやすく、日本では福島~新潟以西が自生地なので、寒地をのぞく多くの地域で地植えすることができます。

センリョウ(千両)の年間管理表
 
センリョウ(千両)の植え替え

初冬あたりから実付きの株が店頭に並びますが、生育のための植え替えなどは春(4月~5月)に行います。

鉢植えの場合は、根鉢を抜き取り古い土を落としてから一~二回り大きな鉢に植え替えます。

特にセンリョウは地下茎で株が茂るため、鉢に対して株が育ちすぎている場合は株分けを行ってから植え替えます。

地植えにする場合は、木漏れ日が落ちる程度の明るさがある樹木の下などを選び、土質を整えてから定植します。

地植えの場合も根が伸びやすくなるように根鉢を取り出し土を軽く崩してから植え付けます。

センリョウ(千両)の用土の選び方

庭や花壇に植える場合は、完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

もし真砂土や山砂のような固く乾きやすい土壌の場合は、堆肥類を混ぜる前に掘り返した土の半量~3割程度の赤玉土と黒土を混ぜ保水性を高めます。

鉢植えの場合は赤玉土小粒:腐葉土=7:3を混合した土に植え替えます。

センリョウ(千両)の水やり

庭植えの場合は、概ね天候に任せた水やりとなりますが、植えた時期から一年間は土の状態を見つつ水を与えます。

特に植え替えた直後にたっぷり水を与え、一年目の夏だけは雨が降らない日が続くようであれば夕方にたっぷりと水を与えて下さい。9月末から10月以降で気温が下がり始めたら、おおむね雨まかせでも大丈夫です。

鉢植えの場合は、年間を通して鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

特に水切れを嫌うため、夏場は土が乾ききらないようにたっぷりと与えます。

センリョウ(千両)の肥料の与え方

センリョウは比較的肥料を与えなくても良く育ち、実も付きますが、鉢植えの場合は6月~7月の開花後に緩効性化成肥料を鉢の縁に与えます。

なお油粕のような窒素が多い肥料を与えると株の生育は良くなりますが、花付きと実付きが悪くなるので控えます。

センリョウ(千両)の剪定

剪定時期は3月に行い、花が付きにくい細い枝や3年以上経って枝は株元から切り取って間引きます。

センリョウ(千両)の増やし方

センリョウは「株分け」「挿し木」「種まき」で増やすことができます。

株分け

4月~5月の植え替えのタイミングで株が茂りすぎている場合は株分けを行います。

鉢の場合は根鉢を取り出し、分けた株にそれぞれ幾本かずつ枝が残るように大き目のナイフやハサミなどで根鉢を分割して株分けします。

地植えの場合は、分けた株に幾本か枝をつけて境にスコップなどを挿しこみ掘り上げます。

分割した株は植え替えに使う用土と同じもので新しい鉢へ植え替えます。

挿し木

時期は新芽が出る前の3月~4月に行います。

数節分の葉がついた枝を切り取り、挿し穂を数時間水につけて給水させます。

挿し穂下側の葉1~2枚を取り除き、湿らせた赤玉土小粒に挿してビニールなどで覆い保湿しつつ、日陰で水を与えながら管理します。

種まき

冬に赤い実を採集し、実から種を採りだして果肉を洗い落とし、そのまますぐに種まきするか翌春(3月~4月)に種まきします。

春から種まきする場合は、種が乾燥に弱いため湿らせたキッチンペーパーなどにくるんだ後にビニールなどに入れ、春まで冷蔵庫内で保管してから種まきします。

種まきする場合は、花用の土などをポットなどに入れて種を撒き、軽く覆土した後にたっぷりと水を与え、発芽するまで明るい日陰に置きます。

また種が乾かなければ庭に種をばら撒いても芽が出るため、比較的湿度が保てる場所にそのまま種をばら撒いて軽く土を被せ、定期的に水を与えると春に芽がでます。

センリョウ(千両)の病害虫

害虫として「カイガラムシ」、病気として「うどんこ病」「炭疽病」などが発生することがあります。

害虫

「カイガラムシ」
葉や葉の主軸周辺、新芽などに発生しやすく、風通しや陽当たりが悪い場合に発生しやすくなります。

大発生すると葉色が著しく悪くなり、すす病などを併発することがあります。

病気

「うどんこ病」
葉の表面に白い粉のようなカビが発生します。春または秋の夜間気温が低い時期に発生しやすく、特に窒素過多の場合や株が茂りすぎて通風が悪くなると発生しやすくなります。

「炭疽病」
糸状菌(カビ類)による病気で、黒褐色の病斑から始まり病斑が大きくなると中心は灰褐色に変わります。

発生は春から始まりますが、湿度が高くなる梅雨あたりから発生量が増えることがあります。

込み入った枝葉を切り取り風通しを良くすることで発生を抑えることができます。

退治・治療

市販のスプレータイプの薬剤で「樹木」の登録と「カイガラムシ」「うどんこ病」「炭疽病」が対象になっているものを使っていけば退治できます。

アセフェートやクロアチニジンを含む粒剤のような浸透移行性で植物内に残効する薬剤を株の周囲に撒くことで予防や退治がしやすくなります。

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