モチノキ(黐の木)の育て方

モチノキ(黐の木)の基本情報

科名:モチノキ科 Aquifoliaceae
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属名:モチノキ属(イレックス属)
   Ilex
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学名:Ilex integra
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和名:モチノキ(黐の木・餅の木)
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英名:Elegance female holly
   Mochi tree
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原産:日本(山形県・宮城県以南)・朝鮮半島・台湾・中国
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実の観賞期:10月中旬~12月
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開花時期:4月~5月
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高さ:6~8m
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耐暑性:強い
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耐寒性:やや強い
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モチノキ(黐の木)の特徴

モチノキ(黐の木)はモチノキ科モチノキ属の常緑高木で、常緑樹として生垣や庭木に使われたり晩秋~冬にかけて赤い実を観賞します。

自生地は日本・朝鮮半島・台湾・中国にかけて自生しており、日本では山形県・宮城県以南に山野の樹木です。

樹皮を水に漬け腐らせたものを餅のように搗き、鳥を捕える鳥黐(とりもち)を作ったことから「モチノキ(黐の木)」という名が付いています。

雌雄異株ですが雌株には晩秋~冬にかけて赤い実が観賞でき庭木として古くから観賞されてきました。

モチの名がつくものに近縁種の「クロガネモチ(黒金黐=Ilex rotunda)」も庭園樹として利用され、その他にも新芽が黄色く色づく「オウゴンモチ(黄金黐=Ilex integra ‘Ougon’)」などの園芸種などもあります。

モチノキ(黐の木)の管理と置き場所

モチノキは陽当たり・風通しの良い場所で、腐植質に富んだ保水・排水のバランスが良い土質を好みます。

特に極度に乾く土質では生育が悪化するため、もし山砂や真砂土などのような砂質の土壌の場合は適度に保水性を持たせるため赤玉土などを半量加えて土作ってから植え付けます。

また明るい日陰でも良く育ちますが、開花と実付きを良くするためには陽当たりの良い環境の方がより実の色づきを楽しめます。

在来種で病害虫被害も少なく育てやすい樹木で、高木で10m以上に育つため庭木として地植えすることがほとんどですが、庭木として植える場合でも大きく育つことを想定して場所選びを行う必要があります。

モチノキ(黐の木)の年間管理表
 
モチノキ(黐の木)の植え替え

植え替えは4月~6月に行い、開花後の新芽が動く前か新芽の伸び始めまでに植え替えます。

ポット苗のような比較的小ぶりな苗でも50㎝~60㎝の穴は掘って植え付け、根鉢が大きい場合は根回りの大きさの2~3倍の広さに穴を掘って植え付けます。

植え付けの際は、掘り返した土に対して完熟堆肥を2~3割と完熟肥料を混ぜて植え付けます。

もし真砂土や山砂のような固く乾きやすい土壌の場合は、堆肥類を混ぜる前に掘り返した土の半量~3割程度の赤玉土と黒土を混ぜ保水性を高めます。

モチノキ(黐の木)の用土の選び方

定植する前に完熟の牛糞堆肥または馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

もし真砂土や山砂のような固く乾きやすい土壌の場合は、堆肥類を混ぜる前に掘り返した土の半量~3割程度の赤玉土と黒土を混ぜ保水性を高めます。

モチノキ(黐の木)の水やり

モチノキの水やりは一般的な樹木の水の与え方に準じます。

概ね天候に任せた水やりとなりますが、植えた時期から一年間は土の状態を見つつ水を与えます。

特に植え替えた直後にたっぷり水を与え、一年目の夏だけは雨が降らない日が続くようであれば夕方にたっぷりと水を与えて下さい。9月末から10月以降で気温が下がり始めたら、おおむね雨まかせでも大丈夫です。

モチノキ(黐の木)の肥料の与え方
元肥

地植えの場合は植えるときに完熟有機肥料と完熟堆肥を元肥として根回りに混ぜ込みます。

もし完熟まで至っていない(発酵や未発酵の)有機肥料や堆肥の場合は、根や根鉢に直接当たらないように混ぜます。

鉢植えの場合は緩効性の化成肥料を混ぜ込んでから植え付けます。

追肥

植えて数年経った株やある程度育った樹の場合は、2月下旬~3月に寒肥を施します。

樹の周囲(樹冠の真下あたり)の土を掘り返し、完熟堆肥や完熟肥料を混ぜ込みます。この際に土と一緒に根も切ることで、新根の発生も促すようにします。

鉢植えの場合は開花後の6月あたりにお礼肥として鉢の縁に緩効性の化成肥料などを与えます。

モチノキ(黐の木)の剪定/刈り込み

自然樹形で育てる場合は、徒長した枝や込み合った枝などを開花後の6月~7月に剪定します。

強剪定にも耐えて樹形を整えることのできるため、整形する場合は6月~7月・12月の2回行うか、強剪定したい場合は翌3月~4月の含めた3回行います。

6月~7月の剪定では、込み合った枝などの不要の枝を剪定を行い各枝に良く陽が当たり風通しの良い樹形に整えます。

12月の剪定は、7月以降から伸びた枝のうち徒長枝や樹形を乱す枝を剪定します。

強剪定を行う場合は翌3月~4月に行い、その年に伸びた枝を付け根で切るか、前年に伸びた枝のあたりで切るなどの強剪定を行います。

モチノキ(黐の木)の増やし方

モチノキは「挿し木」で増やします。種まきから増やすこともできますが、発芽まで数年かかることもあるため挿し木の方が早く苗木を作ることができます。

挿し木

時期は6月~7月・9月あたりに、その年に伸びた枝(新梢)から挿し穂を作ります。

挿し穂にする新梢は固く充実しつつも木質化していない枝を選び、枝を15㎝前後でカットします。

土に挿さる挿し穂下側の葉を取り除いた後、良く切れるカッターやナイフで下側切り口を給水しやすいように斜めに切り、挿し穂を数時間水につけて給水させます。

鹿沼土細粒か赤玉土細粒のような清潔な土を準備し、水をかけて湿らせた後、挿し穂を土に挿します。

発根剤などを使うと成功率が上がるのでお勧めです。ビニールなどで覆い保湿しつつ、日陰で水を与えながら管理します。

モチノキ(黐の木)の病害虫

害虫として「カイガラムシ類」、病気として「斑点病」などが発生することがあります。

害虫

「カイガラムシ類」
数種類のカイガラムシが発生し、主に枝・葉裏・葉の付け根などに多く発生します。吸汁害虫のため大発生すると葉が黒く汚れる「すす病」を併発することがあるため注意が必要です。

特に陽当たりと風通しの悪い環境で発生しやすくなるため、環境改善が重要になります。

病気

「斑点病」
葉に茶褐色の小さな斑点状の病斑が表れ、病葉はやがて枯れます。病葉が次の病原になるので取り除き、消毒などを行います。

また枝が込み合って風通しが悪い場合や土の過湿で発生しやすくなります。

退治・治療方法

市販の薬剤またはスプレー剤で「樹木類」の表記と「カイガラムシ」が対象になっている薬剤を噴霧して退治します。

病気の場合は、感染源となる病葉(または落葉した病葉)は取り除き、「樹木類」と「斑点病」の表記がある薬剤を株全体に噴霧して治療します。

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