ガーベラの育て方

ガーベラの基本情報

科名:キク科 Asteraceae
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属名:ガーベラ属 Gerbera
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学名:Gerbera
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和名:ハナグルマ(花車=Gerbera jamesonii)
   アカバナセンボンヤリ(花車=Gerbera aurantiaca)
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流通名:ガーベラ
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別名:オオセンボンヤリ(大千本槍)
   アフリカセンボンヤリ(アフリカ千本槍)
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英名:Gerbera
   Transvaal daisy
   Barberton daisy
   African daisy
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原産:アフリカ・アジア・南アメリカの温帯地域
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開花時期:4月~6月・10月~11月
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高さ:10~80㎝
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耐暑性:やや強い~やや弱い
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耐寒性:やや弱い~やや強い
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ガーベラの特徴

ガーベラの仲間はアフリカ・アジア・南アメリカの温帯地域に約40種の野生種があり、一般的に「ガーベラ」と呼ぶ鮮やかな花はガーベラ・ヤメソニー(Gerbera jamesonii)を主体としてその他の種との交配された園芸品種たちです。

品種改良により自然発色しているものでは青~青紫系(または黒)の色を除くほとんどの花色があり、単色だけでなく複色花もあるため花色は多彩です。(なお切花では青~黒系に着色しているものがあります)

花形はヒマワリのような基本的な一重咲きだけでなく、菊花のような八重咲き(フルダブル)もあり、弁化の程度や花弁の太・細などで花の雰囲気が大きく変わります。

切花用ガーベラに比べるとガーデン用のガーベラのバリエーションは少なかったですが、近年耐寒性や耐病性が高いガーデンガーベラやポットガーベラが作られ、花色も切花品種のような華やかな品種が増えました。

花壇の植栽から切花まで利用できる高性種や、鉢栽培・花壇の前景に利用できる矮性種など、希望に応じた品種選んで楽しむことができます。

ガーベラの管理と置き場所

ガーベラは日の当たり・風通し・排水性の良い環境で育てます。特に日照量が少ないと花が咲かなくなるだけでなく、病害虫の発生が増えるため、直射日光が良く当たる場所で育てます。

開花期は春(4月~6月)と秋(10月~11月)で、温暖な気候を好むため夏の猛暑や冬の厳しい寒さを避けて管理します。

鉢植え

春と秋は直射日光が良く当たる場所に置いて育てます。夏は鉢土や根が熱くなりすぎないように二重鉢にするか、朝日だけ当たる場所に移動します。

冬は品種によりますが、凍らない場所に移動させます。ガーデンタイプのガーベラで温暖地であれば屋外屋根下での越冬が可能です。

地植え

ガーデンタイプのガーベラを庭や花壇植えしている場合は、有機質に富んだ排水の良い土壌に作り替えて植えれば夏越しは比較的容易です。

また冬は葉がなくなり休眠しますが、耐寒性が-5℃前後あるので関東以西の太平洋側の地域ならば、特別な防寒は必要ありません。

温暖地でも霜や降雪量が多い地域の場合は、落ち葉や藁などで株の上部を覆い地表が凍らないようにするだけで越冬できます。

寒地・寒冷地の場合は秋に掘り上げて凍らない場所に移動させて越冬させます。

ガーベラの年間管理表
 
ガーベラの植え替え

苗や開花株を購入後、一回り大きな鉢、または花壇などに植え替えます。

鉢植え

成長にともない株に対して鉢が小さくなるようであれば、3月~5月・9月~10月に随時植え替えを行い鉢のサイズを大きくします。

成熟した株は、土の入れ替えと根詰まり解消のため、毎年3月末~4月に土を落として根を整理して植え替えます。

大株の植え替えは、鉢から根鉢を取り出して1/3~半分の土を落とし、根を整理してから同サイズの新しい鉢と土を使って植え替えます。

地植え

陽当たりの良い場所に、排水良く根が張りやすいように土を作って植え付けます。

植え付ける場所の周囲に完熟堆肥や完熟有機肥料などを混ぜ込んでから植え付けると良いです。

ガーベラの用土の選び方

市販の花や野菜用の培養土でも育ちますが、多年草として育てる場合は排水性を良くするために軽石や鹿沼土の小粒を1~2割混ぜると通水が良くなって根腐れしにくくなります。

またブレンドする場合は赤玉土小粒:腐葉土=7:3の土に植え替えもできます。

庭や花壇に植える場合は、完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

ガーベラの水やり

ガーベラの水やりは一般的な花の水の与え方に準じます。

鉢植えの場合は基本的に鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

庭植えの場合は、植えた直後にたっぷりと水を与えた後は、おおむね雨まかせでも大丈夫です。夏場は雨が降らない日が続くようであれば夕方あたりにたっぷりと水を与えます。

ガーベラの肥料の与え方

ガーベラは、鉢植え・地植えともに植え込み時の元肥と春・秋に適宜追肥を与えます。

鉢植え

植え込み時に根を傷めないような緩効性の化成肥料を土に混ぜてから植えこみます。

追肥は生育・開花する春と秋に与えます。置き肥ならば月に1回の頻度で緩効性の化成肥料を鉢の縁に与え、液体肥料ならば月に2~3回の頻度で薄めた花用の液体肥料を与えます。

地植え

元肥は土質改良のための堆肥類とともに完熟の有機肥料を株回りに混ぜ込んでから植え付けます。

追肥は春・秋にそれぞれ1回ずつ有機肥料か緩効性の化成肥料を株元から離した株回りに与えます。

ガーベラの手入れ
切花取り/花柄摘み

ガーベラの花茎は中空になったいるため、花を切り取るさいに花茎が株に残っていると、花茎の中空に水が溜まり花茎の腐れや株を傷めることがあります。

切花や花柄摘みを行う際は花茎を根元から折り取って花茎が残らないように取ります。

なお花茎を折り取る際は、花茎を株元から倒すように折ると比較的簡単に株元から折り取ることができます。

古葉取り

ガーベラは古葉が増えると新葉が出にくくなり、花も咲きにくくなります。

全体的に古めの葉が増えてきたら株の外側から古葉を取り除いて、新葉の成長を促します。

特に晩夏~初秋は古葉が多いので9月あたりに一度古葉取りを行うと秋が開花しやすくなります。

ガーベラの増やし方

ガーベラは株分け・種まきで増やします。

株分け

植え替えと同時期の3月~5月・9月~11月に行います。分けた後の株にそれぞれ根があるように株を分割します。

株分する際は土をある程度落として根だけの状態にし、手で株元を割るようにするか、土が付いたままの株をスコップなどで分割します。

種まき

秋(または春)に種をまきます。種は市販のものを使うか、開花後に綿毛のついた種ができるので採種して種まきします。

ただし採種した種については親株と同じ花色になるとは限らず、かつ種の寿命があまり長くないため採種後に一番近い秋か春に種を撒くようにします。

ビニールポットや育苗トレーに培養土を入れ、種を撒いて薄く覆土し、たっぷりと水を与えます。

適温(20℃~25℃)であれば5日前後で発芽します。育苗トレーの場合は本葉が2~3枚になったらポットか定植します。

ガーベラの病害虫

害虫として「アブラムシ」「エカキムシ」、病気として「うどんこ病」「灰色かび病」などが発生することがあります。

害虫

「アブラムシ」
新芽や蕾・花裏に発生しやすいです。特に風通しの悪い環境や窒素肥料が多い場合などで発生しやすくなります。施肥量を抑え、間引きをして風通しを良くするなどの環境改善が重要になります。

「エカキムシ」
ハモグリバエの幼虫で、3月~10月に葉の表皮下の葉肉を食害するため、葉面に模様のような白い食害痕ができます。

病気

「うどんこ病」
葉の表面に白い粉のようなカビが発生します。初秋の夜間気温が下がることから発生し始め、特に窒素過多の場合や株が茂りすぎて通風が悪くなると発生しやすくなります。

「灰色かび病」
終わった花柄や枯れた葉に発生します。灰色~灰褐色のカビが伝播していくため、花柄や枯れ葉は早めに除去します。

退治・治療

市販のスプレータイプの薬剤で「花き」の登録と「アブラムシ」「エカキムシ」「うどんこ病」「灰色かび病」が対象になっているものを使っていけば退治できます。

またエカキムシは表皮下を食害するため接触剤での退治が難しいため、アセフェートやクロアチニジンを含む粒剤のような浸透移行性で植物内に残効する薬剤を株の周囲に撒くことで予防や退治がしやすくなります。

また浸透移行剤はエカキムシだけでなくアブラムシの予防もできます。

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