宿根アリッサム/アウリニア・サクサティリスの育て方

宿根アリッサム/アウリニア・サクサティリスの基本情報

科名:アブラナ科 Brassicaceae
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属名:イワナズナ属(アウリニア属)
   Aurinia
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学名:Aurinia saxatilis
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異名(synonym):Alyssum saxatile
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和名:イワナズナ(岩薺)
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英名:Basket of gold
   Goldentuft alyssum
   Golden alyssum
   Gold-dust
   Golden-tuft madwort
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原産:東ヨーロッパ~アドリア海周辺地域
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開花時期:3月~5月
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高さ:10~30㎝
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耐暑性:弱い
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耐寒性:やや強い
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宿根アリッサム/アウリニア・サクサティリスの特徴

アウリニア属は、アジアからヨーロッパの山地に自生する二年草や多年草で、「スイートアリッサム」などのロブラリア属(Lobularia)とともに以前アリッサム属(Alyssum)に分類されていたこともあり、現在でもアリッサムの名で流通することが多いです。

「宿根アリッサム」とも呼ばれる「アウリニア・サクサティリス(Aurinia saxatilis)」は、和名でイワナズナ(岩薺)という和名があり、鮮やかな黄色の小花を咲かせ株が茂ると基部は木のようになり小低木ような株姿になります。

アウリニア・サクサティリスは東ヨーロッパ~アドリア海周辺地域に自生しており、他のアウリニア属と同じく山地に自生しますが、特に岩が多い山岳地帯に自生しているため、ロックガーデンや水通り良く乾きやすい傾斜地の植栽などに使われます。

アウリニア・サクサティリスの基本種は黄花ですが、栽培種で白・クリーム・レモンイエロー・ピンクなどの花色や斑入り葉品種などもあります。

宿根アリッサムとスイートアリッサムの違い

「アリッサム」と呼ばれる植物は、以前アリッサム属に分類されていたロブラリア属の「スイートアリッサム(Lobularia maritima)」を指すことが多いですが、アリッサム属・ロブラリア属・アウリニア属などのスイートアリッサムの近縁種は流通名や商品名として「アリッサム」の名が付くことがあります。

スイートアリッサムも本来は多年草ですが、夏越しが難しく一般的に一年草として育てます。そこでスイートアリッサムの近縁種のうち多年草として育てやすい種類を「宿根アリッサム」と呼ぶことがあります。

宿根アリッサムにはアウリニア・サクサティリス以外にも、アリッサム・ワルフェニアナム(Alyssum wulfenianum)や商品名で「スーパーアリッサム」と呼ばれる品種などが宿根扱いになっています。

なお、アリッサムとスイートアリッサムの違いについては以下のページでも説明があります。

宿根アリッサム/アウリニア・サクサティリスの管理と置き場所

アウリニア・サクサティリスやイワナズナの仲間の置き場所は、陽当たりや風通りよく、排水の良い環境で育てます。

また自生環境が山地の岩場のような場所のため、寒さには比較的強いものの梅雨から夏の高温多湿は苦手です。

開花は3月~5月にかけて開花し、一年草として育てる場合は、陽当たりの良い場所であれば一般的な花壇や鉢植えで問題なく育ちます。

一方多年草として地植で育てる場合は、ロックガーデンや一段高くなっている花壇のような排水の良い土壌で、夏場に草陰や木陰ができる環境で育てます。

多年草として鉢植えで育てる場合は、秋から春は陽当たりの良い場所に置き、夏場に日陰のような暑くなりにくい場所で管理します。

または夏場に活性が高く草丈が高めの植物と一緒に鉢植えすることで、他の植物が水を吸って夏場の過湿防ぎ、適度な日陰ができるため夏越ししやすくなります。

宿根アリッサム/アウリニア・サクサティリスの年間管理表
 
宿根アリッサム/アウリニア・サクサティリスの植え替え

苗を購入後、一回り大きな鉢、または寄せ植えや花壇などに植え替えます。

成長にともない株に対して鉢が小さくなるようであれば、随時植え替えを行い鉢のサイズを大きくしていきます。

鉢植えの場合は1年に一回は植え替えるようにし、夏越し後の9月~10月に植え替えを行い、1/3~半分くらい土を落として植え替えます。

3月~5月に植え替えることもでき、秋から春にかけて株が育ちすぎている場合は植え替えますが、夏に土内の過湿で根が傷まないよう土を落とす場合は少量に留めるか、鉢の大きさを一回りだけ大きなサイズに植え替えます。

宿根アリッサム/アウリニア・サクサティリスの用土の選び方
鉢植え

一年草として育てる場合は市販の花や野菜用の培養土でも大丈夫です。

多年草として育てる場合は夏の過湿を防ぐため排水の良い用土で植えます。

観葉植物用の土・多肉植物用の土・山野草の土などの排水の良い用土を転用し、リン酸が多めの花用の肥料を加えることで育てやすくなります。

またブレンドする場合は赤玉土小粒:腐葉土=7:3の土に植え替えもできます。

庭・花壇植え

酸性土壌を嫌うため苦土石灰を撒き中和します。苦土石灰を撒いて耕し土壌混入して水を撒き、1~2週間おきます。

さらに完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

もし完熟に達していない堆肥や有機肥料を混ぜる場合は、土に混入後さらに1~2週間おいてから植え付けます。

ロックガーデンなどの狭い隙間に植える場合は、植える場所に入るまで土を崩して押し込む様に植え付けます。大量に土を崩す必要がある場合は、株も刈り込んでバランスをとります。

宿根アリッサム/アウリニア・サクサティリスの水やり

アウリニア・サクサティリスやイワナズナの仲間の水やりは、秋から春の生育する時期は一般的な花の水の与え方に準じますが、夏場は乾かし気味に管理します。

鉢植えの場合は秋から春は鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

夏場は鉢土表面が乾いて数日後に水やりをするか、鉢を持って軽く感じるまで待ってから水を与えます。

庭植えの場合は、植えた直後にたっぷりと水を与えた後は、おおむね雨まかせでも大丈夫です。

宿根アリッサム/アウリニア・サクサティリスの肥料の与え方

元肥として根が傷まないような緩効性化成肥料を土に混ぜて植え付けます。

追肥は秋(9月~11月)と春(2月~6月)にリン酸が多め花用の肥料を根元から離した株回りに与えます。

鉢植えの場合は肥料が切れやすいため、2月~6月に液体肥料を薄めて与えます。

肥料を与える量はお持ちの肥料の説明に準じて与えます。

宿根アリッサム/アウリニア・サクサティリスの手入れ
花摘み

アウリニア・サクサティリスやイワナズナの仲間は、スイートアリッサムなどと同じく開花が終わると小さな実ができ、実が増えると先端に花が作られなくなり開花が止まります。

開花後に種を採る場合は実を残しますが、種を採らない場合は花摘みを行います。

ある程度開花がすすみ実の量が増えてきたら、実と葉の境(最初の花が咲いた所の下側)で摘み取ることで、開花時期であれば葉の付け根から新芽が伸びて開花します。

切り戻し

採種しない場合は開花が終わる6月~7月の梅雨前あたりで、実と葉の境(最初の花が咲いた所の下側)で株全体を切り戻しします。

また夏越し後の株は、9月~10月に株の半分くらいまで切り戻しを行うことで、新芽が伸びてきれいな株へと育ちます。

宿根アリッサム/アウリニア・サクサティリスの増やし方

アウリニア・サクサティリスは種まき・挿し木で増やします。

種まき

発芽適温が15~20℃で、9月~10月が撒き時期です。

種を撒く場合は、市販の種まき用土に種を撒きます。

育苗トレイに種まき用土を入れ、種を撒く前に種まき用土を十分湿らせてから、種をばら撒きします。

バーミキュライト細粒か種まき培土で極薄く覆土し、再度軽く水をかけてから発芽するまで明るい日陰で管理します。

発芽後に苗の生育にあわせて間引きしていきます。間引きの際は土から引き抜くのではなく、ハサミなどで切ると周囲の根を傷めません。

本葉が3~4枚くらいでポットに植え替えます。ポットで苗を大きく育てた後に定植する際は根が回る前に植え替えします。

挿し木

6月あたりで充実した茎を挿し穂に使います。先端部分や根元の木質化している部分を除いた3~4㎝ほどで切り取ります。

土に挿すところまでの葉を落とし、挿し穂を水につけて給水させます。

挿し木用の土をトレーやポットに準備し、水をかけて湿らせた後、挿し穂を1節以上土の中に入るように挿します。発根剤などを使うと成功率が上がります。

明るい日陰で水を与えながら管理します。新芽が出始めたら発根したと考えられますので、根を傷めないよう土ごと苗を取り出し、植え替えします。

宿根アリッサム/アウリニア・サクサティリスの病害虫

害虫として「アブラムシ」「ハダニ」、病気として「灰色かび病」などが発生することがあります

害虫

「アブラムシ」は新芽や蕾周辺などから発生します。風通しが悪い場所や油粕などの窒素肥料過多で発生量が増えることがあるので、育てている環境の改善も行うと良いです。

「ハダニ」はクモの仲間で葉裏から吸汁するため葉色がかすれたような色に変わります。

大発生するとクモの巣のように糸を張ります。水が苦手なので雨が当たる場所で大発生しにくいですが、夏場に軒下の日陰に置いていると発生しやすいです。

夏場は夕方から周囲の打ち水や葉水をかけて、株や株回りの温度を下げるとともにハダニの発生を抑えます。

病気

「灰色かび病」は5月~6月あたりで雨が多いと花・蕾・下葉などに発生します。

水が染みたような斑紋ができ、やがて灰色~灰褐色のカビや胞子がでます。

感染源になる感染部位を除去して消毒します。また雨除けなど多湿を避ける環境つくりも必要です。

退治・治療方法

「アブラムシ」「ハダニ」「灰色かび病」が発生した場合は、市販の薬剤またはスプレー剤で「花き」の登録と対象病害虫の記載があるものを使っていけば退治できます。

またアセフェートやクロアチニジンを含む粒剤を株の周囲に撒くことで予防や退治ができます。

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