ツツジ(躑躅)の育て方

ツツジ(躑躅)の基本情報

科名:ツツジ科 Ericaceae
————————
属名:ツツジ属(ロードデンドロン属)
   Rhododendron
————————
学名:Rhododendron
————————
和名:ツツジ(躑躅、映山紅)
————————
英名:Azalea
————————
原産(ツツジ類):日本、中国、アジア東部
原産(ヤマツツジ):日本(北海道南部、本州、四国、九州)
————————
開花時期:4月~5月上旬
————————
高さ:50㎝~2m
————————
耐暑性:強い
————————
耐寒性:強い
————————

ツツジ(躑躅)の特徴

ツツジ(躑躅)は、春に紅、桃、白花や複色の花が長く咲き続け、路側帯・生垣・庭園の植栽など様々な場所に植えられています。

また江戸時代にはツツジやサツキの園芸書が刊行されるほど古くから親しまれてきた花です。

ツツジ、サツキ、シャクナゲ、アザレアなどは観賞上分けていますが、どれもツツジ属に分類されアジア地域に広く分布しています。

その中でも一般的にツツジと呼ぶ花は、サツキを除く半常緑性のヤマツツジ節のツツジ類やその交配種を指します。

ツツジやツツジの園芸品種などは、日本に自生している野生種を元に生み出されているため庭植え・鉢植えともに管理が楽です。

ツツジ(躑躅)の蜜と毒性

ツツジの花は、漏斗型に花弁同士がくっついた合弁花で花弁の基部や周囲に甘い蜜があります。

幼少期にツツジの蜜を吸った経験がある方もいると思いますが、多くのツツジの仲間には全草にグラヤノトキシンという成分があり蜜も含めて有毒です。

植栽に使われることもあるレンゲツツジは、特にグラヤノトキシンを多く含むため注意が必要です。

グラヤノトキシンはツツジ類以外にもアセビやネジキなどのツツジ科にも含まれています。

ツツジ(躑躅)の管理と置き場所

ツツジ(躑躅)は庭植え・鉢植えともに、陽当たり、風通し、排水性の良い環境で育てます。

ある程度の日陰でも生育しますが、花付きが悪くなったり、枝が徒長気味になるので最低でも半日は日光が当たる場所が良いです。

浅く根が張り、根も細かいため排水性だけでなく適度な保水性も必要となるため、地植えの場合は腐植質を多く含む保水性・排水性のバランスが良い土質の場所に植えます。

また暑さ・寒さに強いですが、鉢植え管理の場合は、地域によって冬の乾燥する寒風を避けた方が葉や株の状態が良いです。

ツツジ(躑躅)の年間管理表
 
ツツジ(躑躅)の植え替え

植え替えは3月~6月上旬、9月中旬~10月あたりに行います。

ただし開花間近~開花中に根を傷めると開花に影響がでることがあるので、根鉢を崩すような植え替えは避けます。

またツツジはph5~6の酸性土壌を好み、一般の土壌が弱酸性であることが多いので、植え替えの際に未調整ピートモスや鹿沼土などを土に混ぜます。

地植え

株の根回りの大きさにより掘る深さや大きさが変わります。

およその目安で、根回りの大きさの2~3倍の広さに穴を掘り、掘り返した土に対して未調整ピートモス、完熟堆肥を2~3割と完熟肥料を混ぜて植え付けます。

なおピートモスは水を吸い込みにくいため、水を溜めたバケツなどに入れて水を吸わせたものを土に混ぜた方が良いです。

鉢植え

成長にともない株に対して鉢が小さくなるようであれば、適宜植え替えを行い鉢のサイズを大きくします。

根詰まりを起こさないように2年に1回は植え替えを行った方が良いです。

ツツジ(躑躅)の用土の選び方

鉢植えの場合は、赤玉土小粒:鹿沼土小粒:未調整ピートモス:バーミキュライト=4:3:2:1を混合した土に植え替えます。

市販のツツジ用の培養土を使うこともできます。また酸性に調整されているブルーベリー用の培養土を代用することもできます。

庭や花壇に植える場合は、未調整ピートモス、完熟牛糞堆肥(または馬糞堆肥)を2~3割と完熟有機肥料を混ぜて植え付けます。

なおピートモスは水を吸い込みにくいため、水を溜めたバケツなどに入れて水を吸わせたものを土に混ぜた方が良いです。

ツツジ(躑躅)の水やり

ツツジの水やりは一般的な樹木の水の与え方に準じます。

ただし根が細いため渇きに弱く、地植でも根の張る場所も浅いことから土や根が乾きやすい傾向があります。

地植え

概ね天候に任せた水やりとなりますが、上記の通り乾きに弱いため、夏場など乾きやすい時期は天候をみつつ水やりを行います。

鉢植え

年間を通して鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。特に夏場の水枯れに注意して水を与えます。

ツツジ(躑躅)の肥料の与え方

花後のおよそ5月~6月、株が充実する9月、寒肥として1月に肥料を与えます。

5月~6月、9月は完熟の有機肥料を根元から離した株の周囲に与えます。

寒肥の場合は、完熟の有機肥料に加えて完熟堆肥なども土に混ぜ込みます。

また植え付け後数年経った株で、土の酸度を調整する必要がある場合は、寒肥の際に未調整ピートモスも一緒に混ぜ込むと良いです。

ツツジ(躑躅)の剪定/刈り込み

翌年開花する花芽は、開花後から伸びた新枝の先に夏ごろに付きます。

そのため剪定は開花後~6月上旬までに行います。もしそれ以降の剪定の場合は、剪定後に新しく伸びた新枝が花芽を付けるほど充実できない場合があります。

他の樹木と同じく、枯れ枝やその他の不要な枝も一緒に剪定し、株内の風通しが良くなるようにします。

ツツジ(躑躅)の増やし方

ツツジは主に「挿し木」で増やします。

挿し木

時期は6月~7月あたりに行います。その年に伸びた枝(新梢)で、適度に充実して固くなり、かつ木質化しないくらいの枝を使います。

枝を10㎝前後で切り取り、挿し穂を数時間水につけて給水させます。葉を挿し穂上部から3~4枚残し、挿し穂下側の葉を取り除きます。

鹿沼土小粒を準備し、水をかけて湿らせた後、挿し穂を土に挿します。発根剤などを使うと成功率が上がるのでお勧めです。

ビニールなどで覆い保湿しつつ、日陰で水を与えながら管理します。

ツツジ(躑躅)の病害虫

害虫として「ツツジグンバイ」「ハマキムシ」「ハダニ」などが発生することがあります。

害虫

「ツツジグンバイ」
翅をたたんだ姿が軍配に似ている大きさが数㎜の害虫です。発生時期は4月~10月で、特に夏以降の被害が目立ちます。

葉裏から吸汁し、被害が酷いと葉がかすれたような色合いになり光合成能が落ちて生育が悪くなります。

「ハマキムシ」
葉を巻き取るように丸めて、幼虫が内側から葉を食害します。被害の葉が少数なら葉ごと除去します。

一方で被害が酷い場合は、ほとんどの葉を除去しなくてはならない場合もあるため、葉を残したままで消毒で退治します。

「ハダニ」
雨の当たらず乾燥する場所に置いている場合に葉裏に発生します。

夏場など乾燥期に発生しますが、発生初期は葉色が薄くかすれたような色になり、ひどくなると蜘蛛の巣のようなものが張ってきます。

雨の当たる場所では発生は少なくなります。

退治・治療方法

いずれの害虫も鉢植えなどでは早期に見つけて捕殺することで予防できますが、株が大きい庭木の場合は消毒を行って予防や殺虫します。

「ツツジ」または「樹木類」の登録と上記対象害虫の登録がある薬剤を使って退治できます。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする