Contents
サツキ(皐月)の基本情報
科名:ツツジ科 Ericaceae
————————
属名:ツツジ属(ロードデンドロン属)
Rhododendron
————————
学名:Rhododendron indicum
————————
和名:サツキ(皐月)
————————
別名:サツキツツジ(皐月躑躅)
————————
英名:Satuki azalea
————————
原産:日本(関東以西、九州南部、屋久島)
————————
開花時期:5月~6月
————————
高さ:50㎝~1.5m
————————
耐暑性:強い
————————
耐寒性:強い
————————
サツキ(皐月)の特徴
サツキ(皐月)はツツジの仲間で、3月~4月に開花するヤマツツジより小ぶりな花を咲かせ、開花時期もヤマツツジより1月ほど遅れて咲く常緑低木です。
一般にサツキと呼ぶ場合は、自生種であるサツキ(Rhododendron indicum)とサツキを使って交配した園芸種を指します。
植物としてのサツキはヤマツツジと同じくツツジの一種ですが、江戸中期にツツジやサツキの品種が多く作られたことで、この2種を区別するために園芸的に4月~5月上旬に咲くものをツツジ、5月~6月に咲くものをサツキと呼び分けています。
サツキは自生種は関東以西~屋久島の山間部の川辺に生えています。
渓流周辺は増水して水没し、急流に飲まれるため、ヤマツツジと比べると樹高が低く枝を横に張るように茂り、他の渓流植物と同じく流されにくい樹形になっています。
樹高が低く、剪定に耐えて密に茂る樹形と、日本に自生する管理が比較的容易な植物のため、庭園の植栽から路側帯の生垣など様々な場所に植栽されています。
サツキ(皐月)の蜜と毒性
サツキの花はツツジと同じく、漏斗型に花弁同士がくっついた合弁花で花弁の基部や周囲に甘い蜜があります。
幼少期にツツジの蜜を吸った経験がある方もいると思いますが、サツキもツツジの仲間の仲間のため、全草にグラヤノトキシンという成分があり蜜も含めて有毒です。
近縁ではツツジの仲間の蜜をなめるということはあまり見かけなくなりましたが、注意が必要です。
サツキ(皐月)の管理と置き場所
サツキ(皐月)は庭植え・鉢植えともに、風通し、排水性の良い環境で、夏は明るい日陰、その他の時期は陽当たりの良い場所が理想的です。
地植えの場合、野生種に近いものほど落葉樹の下など夏に遮光が必要になりますが、園芸種では夏の直射日光下で育つ品種もあります。
浅く根が張り、根も細かいため排水性だけでなく適度な保水性も必要となるため、地植えの場合は腐植質を多く含む保水性・排水性のバランスが良い土質の場所に植えます。
また暑さ・寒さに強いですが、鉢植え管理の場合は、地域によって冬の乾燥する寒風を避けた方が葉や株の状態が良いです。
サツキ(皐月)の年間管理表
サツキ(皐月)の植え替え
植え替えは3月~6月中旬、9月中旬~10月あたりに行います。
ただし開花間近~開花中に根を傷めると開花に影響がでることがあるので、根鉢を崩すような植え替えは避けます。
またツツジはph5~6の酸性土壌を好み、一般の土壌が弱酸性であることが多いので、植え替えの際に未調整ピートモスや鹿沼土などを土に混ぜます。
庭植え
株の根回りの大きさにより掘る深さや大きさが変わります。およその目安で、根回りの大きさの2~3倍の広さに穴を掘り、掘り返した土に対して未調整ピートモス、完熟堆肥を2~3割と完熟肥料を混ぜて植え付けます。
なおピートモスは水を吸い込みにくいため、水を溜めたバケツなどに入れて水を吸わせたものを土に混ぜた方が良いです。
鉢植え
成長にともない株に対して鉢が小さくなるようであれば、適宜植え替えを行い鉢のサイズを大きくします。
根詰まりを起こさないように2年に1回は植え替えを行った方が良いです。
サツキ(皐月)の用土の選び方
鉢植えの場合は、赤玉土小粒:鹿沼土小粒:未調整ピートモス:バーミキュライト=4:3:2:1を混合した土に植え替えます。
市販のツツジ用の培養土を使うこともでき、その他にも酸性に調整されているブルーベリー用の培養土を代用することもできます。
庭や花壇に植える場合は、未調整ピートモス、完熟牛糞堆肥(または馬糞堆肥)を2~3割と完熟有機肥料を混ぜて植え付けます。
なおピートモスは水を吸い込みにくいため、水を溜めたバケツなどに入れて水を吸わせたものを土に混ぜた方が良いです。
サツキ(皐月)の水やり
サツキ(皐月)の水やりは一般的な樹木の水の与え方に準じます。
ただし根が細いため渇きに弱く、地植でも根の張る場所も浅いことから土や根が乾きやすい傾向があります。
庭植え
概ね天候に任せた水やりとなりますが、上記の通り乾きに弱いため、夏場など乾きやすい時期は天候をみつつ水やりを行います。
鉢植え
年間を通して鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えてください。特に夏場の水枯れに注意して水を与えます。
サツキ(皐月)の肥料の与え方
開花後から7月、株が充実する9月、寒肥として1月~2月の年間3回は肥料を与えます。
開花後~6月、9月は完熟の有機肥料を根元から離した株の周囲に与えます。
寒肥の場合は、完熟の有機肥料に加えて完熟堆肥なども土に混ぜ込みます。
また植え付け後数年経った株で、土の酸度を調整する必要がある場合は、寒肥の際に未調整ピートモスも一緒に混ぜ込むと良いです。
サツキ(皐月)の剪定/刈り込み
翌年開花する花芽は、開花後から伸びた新枝の先に夏ごろに付きます。
そのため剪定は開花後になるべく早く行います。夏以降の剪定や剪定時期が遅れた場合は、剪定後に新しく伸びた新枝が花芽を付けるほど充実できず開花できない場合があります。
サツキは芽吹きが良く枝も多く出るため、生垣などの剪定ではすでに伸びている新芽も含め全体を刈り込みます。
また他の樹木と同じく、枯れ枝やその他の不要な枝も一緒に剪定し、株内の風通しが良くなるようにします。
サツキ(皐月)の増やし方
サツキ(皐月)は主に「挿し木」で増やします。
挿し木
時期は6月~7月あたりに行います。その年に伸びた枝(新梢)で、適度に充実して固くなり、かつ木質化しないくらいの枝を使います。
枝を10㎝前後で切り取り、挿し穂を数時間水につけて給水させます。葉を挿し穂上部から3~4枚残し、挿し穂下側の葉を取り除きます。
鹿沼土小粒を準備し、水をかけて湿らせた後、挿し穂を土に挿します。発根剤などを使うと成功率が上がるのでお勧めです。ビニールなどで覆い保湿しつつ、日陰で水を与えながら管理します。
サツキ(皐月)の病害虫
害虫として「ツツジグンバイ」「ハマキムシ」「ハダニ」が発生することがあります。
害虫
「ツツジグンバイ」
翅をたたんだ姿が軍配に似ている大きさが数㎜の害虫です。発生時期は4月~10月で、特に夏以降の被害が目立ちます。
葉裏から吸汁し、被害が酷いと葉がかすれたような色合いになり光合成能が落ちて生育が悪くなります。
「ハマキムシ」
葉を巻き取るように丸めて、幼虫が内側から葉を食害します。被害の葉が少数なら葉ごと除去します。
一方で被害が酷い場合は、ほとんどの葉を除去しなくてはならない場合もあるため、葉を残したままで消毒で退治します。
「ハダニ」
雨の当たらず乾燥する場所に置いている場合に葉裏に発生します。
夏場など乾燥期に発生しますが、発生初期は葉色が薄くかすれたような色になり、ひどくなると蜘蛛の巣のようなものが張ってきます。
雨の当たる場所では発生は少なくなります。
退治・治療方法
いずれの害虫も鉢植えなどでは早期に見つけて捕殺することで予防できますが、株が大きい庭木の場合は消毒を行って予防や殺虫します。
「ツツジ」または「樹木類」の登録と上記対象害虫の登録がある薬剤を使って退治できます。