パキポディウム・ビスピノーサムの基本情報
科名:キョウチクトウ科 Apocynaceae
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属名:パキポディウム属 Pachypodium
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学名:Pachypodium bispinosum
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原産:南アフリカ・東ケープ州
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開花時期:5月
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高さ:~20㎝(開花時)
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耐暑性:強い
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耐寒性:やや強い
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パキポディウム・ビスピノーサムの特徴
パキポディウム・ビスピノーサム(Pachypodium bispinosum)は茶色い丸々とした塊根が特徴的なパキポディウムの1種です。パキポディウムの多くがマダガスカル原産ですが、パキポディウム・ビスピノーサムは数少ないアフリカ原産種です。
塊根上部からやや細めの茎を枝垂れるように茂らせ、塊根部は年を追うごとに大きくなりますが塊根の肥大速度は極めて遅いです。流通する株は塊根部が鉢外に出ていますが、自生地では塊根部は地中で肥大し、石や岩などが多く草もまばらな地域の地表部分に枝を茂らせているようです。
種小名の bispinosum は「対の棘がある」という意味で、他のパキポディウムよりやや短めの10~20㎜くらいの棘が2本がセットになっています。
自生地域にはパキポディウム・サキュレンタム(Pachypodium succulentum)も自生しており、よく似た形態をしていますが、サキュレンタムの方がやや茎が太く葉が大き目です。また開花時期が異なるため自生地では自然交配は起きないようです。
パキポディウム・ビスピノーサムの管理/置き場所
パキポディウム・ビスピノーサムは年間通し陽当たりの良い場所で育てます。
生育が始まる4月~5月から霜が降りる前まで屋外の直射日光と風通しの良い場所で管理します。霜や雪が降る時期は室内の窓辺で陽当たりの良い場所に置きます。
塊根植物なので過湿は苦手ですが、梅雨明け以降の高温期の雨ざらしで枯れることは少なく、生育が止まり屋内に取り込む晩秋~初春では土を乾かし根腐れしないように注意します。
自生地は気温が氷点下になることもあり、パキポディウムの中ではかなり寒さに強い種類で、暖地や温暖地などで積雪期間の短い地域では年間通して屋外管理できる場合があります。ただし雪や霜から守る必要があるため、冬期は簡易な防寒は必要になります。
塊根部を鉢内に埋めた状態で土は乾かし、エアパッキンで簡単な防寒をした株が雪の日の屋外で越冬しています。休眠期でも陽当たりが必要なため、防寒素材は日光を遮らないものが良いです。
パキポディウム・ビスピノーサムの育て方/年間管理表
パキポディウム・ビスピノーサムの植え替え
乾燥に強く根詰まりも起きにくいため、まめな植え替えは必要ありませんが、1年~2年に一度は土を変えるために植え替えた方が良いです。
また鉢土が乾きやすくなるように鉢は大きすぎない鉢に植えますが、塊根部の重みで転倒しないために重めの鉢か、塊根の大きさに対して一回りの大きさが良いです。
植え替え時期は、4月~5月あたりの生育初期に植え替えを行います。
パキポディウム・ビスピノーサムの用土の選び方
休眠期の土の過湿を嫌うため排水の良い用土で植えてください。ブレンドする場合は硬質赤玉土小粒:軽石小粒:鹿沼土小粒:ヤシ繊維=4:2:2:2の土で植え替えます。
市販の多肉植物の培養土かサボテン用の培養土で植え替えもできます。
パキポディウム・ビスピノーサムの水やり/肥料の与え方
水やり:パキポディウム・ビスピノーサムは夏型の多肉植物などの水やり・肥料やりに似た管理をします。
休眠期の冬は断水して全く水を与えません。
4月から徐々に水やりの回数を増やしていき、梅雨前までは土の表面が乾いてから数日後くらいに水を与えます。梅雨時期は水やりをコントロールするため屋根下などの場所に移動し、梅雨明けとともに雨ざらしの場所に移動し、土の表面が乾けば毎日でも水を与えます。
9月~10月になり徐々に気温の下降に合わせて水やりの頻度を減らしていき、土の表面が乾いた数日後に水を与えるようにします。
霜や雪が降る前までに室内に取り込み、冬期は基本的に断水します。ただし暖房が長期間稼働している場合は塊根部や葉に霧吹きをするなどの乾燥対策を行います。
肥料:夏場に、完熟有機肥料を株元から離した場所に月に1回与えるか液体肥料を薄めて与えます。
パキポディウム・ビスピノーサムの増やし方
パキボディウム・ビスピノーサムは種まきで増やします。
親株から採種したい場合は、受粉のために2株以上が必要になるため、種を取り寄せて種まきを行う方が良いです。
種まき時期は、20℃~25℃の気温が必要なため4月~5月くらいから種まきを行います。
ビスピノーサムの根は直根性で真っすぐ下へ伸びていくので種まきに使う鉢はやや深めの物を使います。鉢に硬質赤玉土の細粒を入れ数㎝間隔で種を撒き、種の上部に薄く硬質赤玉土細粒を撒きます。
たっぷり水を与え、明るい日陰で発芽まで管理し、発芽後に日光下へ移動します。塊根が発達するまでは渇きに弱いため、底面給水のように水を鉢下から給水させ、土が乾ききらないようにします。
パキポディウム・ビスピノーサムの病害虫
病害虫に極めて強いですが「カイガラムシ」が発生することがあります。また屋外管理している場合は鉢内に「ネキリムシ」が入ることがあります。
「カイガラムシ」は葉の付け根や茎などに発生します。特に陽当たりと風通しが悪いと発生しやすく、環境改善が重要になります。
「ハダニ」は乾燥が続くと葉裏に発生し、葉裏から吸汁して葉色が悪くなります。大発生すると蜘蛛の巣状の糸を張るようになります。雨の当たらない場所に置いている場合に発生しやすく、冬期に室内に取り込んだ後に発生することがあります。水が苦手なため定期的に霧吹きを行って発生を防ぐと良いです。
「カイガラムシ」「ハダニ」ともに市販のスプレータイプの薬剤で「観葉植物」の登録と各害虫が対象になっているものを使っていけば退治できます。
「ネキリムシ」はコガネムシの幼虫で、鉢内に産み付けられた卵が孵化し、幼虫が鉢内の移動しながら根や塊根部を傷めます。
またクロアチニジンを含む粒剤などを夏あたりから定期的に鉢内に撒くことで予防ができます。