ハラン(葉蘭)の育て方

ハラン(葉蘭)の基本情報

科名:キジカクシ科(クサスギカズラ科)
   Asparagaceae
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属名:ハラン属 Aspidistra
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学名:Aspidistra elatior
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和名:ハラン(葉蘭)
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別名:バラン(馬蘭)
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英名:Cast-iron-plant
   Bar-room plant
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原産:日本(九州南部)・台湾・中国
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高さ:20㎝~1m
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耐暑性:強い
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耐寒性:やや強い~やや弱い
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ハラン(葉蘭)の特徴

ハラン(葉蘭)はキジカクシ科スズラン亜科ハラン属の常緑多年草で、地上部に大きくツヤのある葉が多数茂ります。

花は地上際に咲きほぼ観賞されることはないですが、江戸時代には様々な斑入りの葉の品種が作られた古典園芸植物ですが、現在でも葉を観賞するため庭の下草として植栽されたり、切花や料理の飾りなどに使われています。

原産は九州南部から台湾・中国にかけて自生しており、別名の「バラン(馬蘭)」は中国の「大きな(葉)の蘭」に由来する古名にちなみ、バランから転じた「ハラン(葉蘭)」が標準和名となっています。

名前に「蘭」という名が入っていますが、ラン科の植物ではなくオモトやスズランなどの植物と近いグループに分類されます。

葉芸を楽しむ植物として葉の変異が幅広く、他の植物にも見られる縞状に斑が入る縞斑以外にも、星状に斑が入る星斑、新芽時に斑が入る曙斑など様々な斑入りのパターンがあります。

ハラン(葉蘭)の管理・置き場所

ハランは自生環境では山野の木の下などに自生しているため、明るい日陰~日陰で腐植質に富んだ保水・排水のバランスの良い土壌を好みます。

特に夏場は葉焼けするため日陰が必須で、木漏れ日が落ちるような明るい日陰を好みますが直射日光が当たらない場所でも良く育ちます。

土内に地下茎を伸ばして大きな葉を出しつつ株が茂り、環境があっていればほぼ管理の必要なく大きな株へ育ちます。

本来の自生地は九州・台湾・中国南部などやや南寄りの地域が多いですが、関東以西であれば地植えで育てることができます。

ハラン(葉蘭)の年間管理表
 
ハラン(葉蘭)の植え替え

ハランの植え替え・植え付けは春(4月~6月)または秋(9月中旬~10月)に行います。

鉢植えの場合は、根鉢を抜き取り古い土を落としてから一~二回り大きな鉢に植え替えます。

特にハランは地下茎で株が茂るため、鉢に対して株が育ちすぎている場合は株分けを行ってから植え替えます。

地植えにする場合は、樹木の下などの明るい日陰を選び、土質を整えてから定植します。

地植えの場合も根が伸びやすくなるように根鉢を取り出し土を軽く崩してから植え付けます。

ハラン(葉蘭)の用土の選び方

庭や花壇に植える場合は、完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

もし真砂土や山砂のような固く乾きやすい土壌の場合は、堆肥類を混ぜる前に掘り返した土の半量~3割程度の赤玉土と黒土を混ぜ保水性を高めます。

鉢植えの場合は赤玉土小粒:腐葉土=7:3を混合した土に植え替えます。

ハラン(葉蘭)の水やり

庭植えの場合は、概ね天候に任せた水やりとなりますが、植えた時期から一年間は土の状態を見つつ水を与えます。

特に植え替えた直後にたっぷり水を与え、一年目の夏だけは雨が降らない日が続くようであれば夕方にたっぷりと水を与えて下さい。9月末から10月以降で気温が下がり始めたら、おおむね雨まかせでも大丈夫です。

鉢植えの場合は、年間を通して鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

特に水切れを嫌うため、夏場は土が乾ききらないようにたっぷりと与えます。

ハラン(葉蘭)の肥料の与え方

元肥は土質改良のための堆肥類とともに完熟の有機肥料を株回りに混ぜ込んでから植え付けます。

追肥は12月~2月に固形油粕などの有機肥料を株元から離した株の周りに与えます。

ハラン(葉蘭)の剪定

ハランは比較的手入れは必要ない植物ですが、枯葉は枯れ落ちるまでに時間がかかるので、適宜地際から切り取ります。

ハラン(葉蘭)の増やし方

ハランは「株分け」で増やすことができます。

株分け

春(3月~4月)または秋(9月中旬~10月)の植え替えのタイミングで株が茂りすぎている場合は株分けを行います。

鉢の場合は根鉢を取り出し、分けた株にそれぞれ幾本かずつ葉があるように大き目のナイフやハサミなどで根鉢を分割して株分けします。

地植えの場合は、分けた株に幾本か枝をつけて境にスコップなどを挿しこみ掘り上げます。

分割した株は植え替えに使う用土と同じもので新しい鉢へ植え替えます。

ハラン(葉蘭)の病害虫

害虫として「カイガラムシ」、病気として「褐色斑点病」「円星病」などが発生することがあります。

害虫

「カイガラムシ」
葉裏や葉柄などに発生しやすく、風通しが悪い場合に発生しやすくなります。

大発生すると葉色が著しく悪くなり、すす病などを併発することがあります。

病気

「褐色斑点病」
葉に褐色~淡褐色の斑点が発生し、病状が進行すると葉全体に広がり葉が枯れます。

特に窒素過多の場合や株が茂りすぎて通風が悪くなると発生しやすくなります。

込み入った枝葉を切り取り風通しを良くすることで発生を抑えることができます。

「円星病」
茶褐色の小斑点から始まり病斑が大きくなると円形で黄色い縁取りの5㎜~1㎝の病斑が広がります。

特に窒素過多の場合や株が茂りすぎて通風が悪くなると発生しやすくなります。

込み入った枝葉を切り取り風通しを良くすることで発生を抑えることができます。

退治・治療

市販の薬剤またはスプレー剤で「花卉」の登録と「カイガラムシ」「褐色斑点病」「円星病」が対象になっているものを使っていけば退治できます。

カイガラムシの場合はアセフェートやクロアチニジンを含む粒剤のような浸透移行性で植物内に残効する薬剤を株の周囲に撒くことで予防や退治がしやすくなります。

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