ギンマサキ(銀柾・銀正木)の育て方

ギンマサキ(銀柾・銀正木)の基本情報

科名:ニシキギ科 Celastraceae
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属名:ニシキギ属(ユーオニムス属)
   Euonymus
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学名:Euonymus japonicus f. albomarginatus
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和名:ギンマサキ(銀柾・銀正木)
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原産:日本(北海道南部以南)、朝鮮半島、中国
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高さ:~6m
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耐暑性:強い
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耐寒性:強い
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ギンマサキ(銀柾・銀正木)の特徴

マサキ(柾・正木)は、日本から中国にかけて自生するニシキギ科ニシキギ属の常緑樹で、剪定や刈り込み後の芽吹きも良く樹形を作りやすいため生垣などに利用されます。

ギンマサキ(銀柾・銀正木=Euonymus japonicus f. albomarginatus)はマサキの斑入り品種で、葉の縁取りにクリームホワイトの斑が入る品種です。

葉の内側は濃いグリーン以外にパールグリーンが部分的に入ってマーブル模様になることもあります。

マサキより若干成長速度が緩やかで、真夏の直射日光で葉の斑の部分が焼けることがありますが、その他の特徴はマサキと同じく都市部の煤塵や潮風に強く、耐陰性も高いため家屋の植栽だけでなく、市街地や沿岸部の公園や道路沿いの植栽などにも良く見かけます。

ギンマサキ以外にも、基本種の緑葉のマサキ、斑が黄~クリームイエロー色のフイリマサキ、新芽が黄色に色ずくオウゴンマサキなどの園芸品種があり、洋風建築が多い中で管理が楽で葉色が鮮やかなマサキの園芸品種も多く植栽されています。

ギンマサキ(銀柾・銀正木)の管理と置き場所

ギンマサキは陽当り~明るい日陰で風通しの良い環境が良く、土質は選びませんが保水・排水性のバランス土質を好みます。

耐陰性が高く落葉樹の下のような日陰の環境でも育ちますが、病害虫の発生が増えるため極力日の当たる場所に植えた方が良いです。

6月~7月に小さく白い花が開花し、秋には同属のニシキギなどのような薄い紅色の蒴果(鞘が割れて種を放出するタイプの果実)ができ、裂開して赤橙色の実が表れます。

基本的な管理は定期的な剪定・刈り込み・施肥だけで、病害虫の発生もなければ極めて手がかかりません。

ギンマサキ(銀柾・銀正木)の年間管理表
 
ギンマサキ(銀柾・銀正木)の植え替え

植え替えは3月~4月・9月~10月が適期です。また冬期に植え付け適期の落葉樹等とともに店頭に並ぶ量が増えるため、冬場に入手することがありますが土が凍る厳寒期を避けて植え付けた方が良いです。

地植えの場合は、株の根回りの大きさにより掘る深さや大きさが変わります。およその目安で、根回りの大きさの2~3倍の広さに穴を掘り、掘り返した土に対して完熟堆肥を2~3割と完熟肥料を混ぜて植え付けます。

またマサキ単一を列植する場合は、植栽箇所全体に完熟堆肥を2~3割と完熟肥料を混ぜて、株の大きさによって変わるものの株幅50㎝前後の間隔で植え付けます。

ギンマサキ(銀柾・銀正木)の用土の選び方

ギンマサキは多くの場合は庭植えにするため、植栽場所の土質を改良した上で植栽します。

前項と同じく土質を改良するための完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

新築の庭で山砂や真砂土などの土質の場合は、堆肥類以外にも黒土や赤玉土なども1~2割程度混ぜ込み保水・保肥力も改善した方が良いです。

鉢植えにする場合は赤玉土:腐葉土=7:3の土で植え付けます。

ギンマサキ(銀柾・銀正木)の水やり

ギンマサキの水やりは一般的な樹木の水の与え方に準じます。

庭植えの場合は、植えた直後にたっぷりと水を与えた後は、おおむね雨まかせでも大丈夫です。植え付け1年目で夏場に雨が降らない日が続くようであれば夕方あたりにたっぷりと水を与えます。

鉢植えの場合は基本的に鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

ギンマサキ(銀柾・銀正木)の肥料の与え方

ギンマサキは肥料を与えなくても良く育ちますが、植えるときの元肥、冬期の寒肥を与えると生育悪化のリスクを減らせます。

元肥は土質改良のための堆肥類とともに完熟の有機肥料を株回りに混ぜ込んでから植え付けます。

追肥は2月~3月に固形油粕などの有機肥料を株元から離した株の周りに与えます。

ギンマサキ(銀柾・銀正木)の剪定

ギンマサキは剪定は6月~7月と9月~10月の2回行います。

6月~7月の剪定では、その年に伸びた枝を付け根で切るか、前年に伸びた枝のあたりで切るなどの強剪定を行います。

9月~10月の剪定では、7月以降に伸びた枝を剪定しつつ樹形を整えます。秋から翌春までは成長しないため、生垣などは綺麗に見える樹形を意識しつつ剪定します。

なお太めの枝を切って樹形を仕立て直す場合は、芽吹き始める少し前の3月~4月あたりに行った方が良いです。

どの時期の剪定にも共通することとして、生垣の樹形のものでも本来の樹形に戻ろうと上方に太めの枝が多く出ます。そのため見えやすい生垣側面だけでなく、上方の剪定も意識的に行うと良いです。

ギンマサキ(銀柾・銀正木)の増やし方

ギンマサキは挿し木で増やします。

挿し木

時期は6月に行います。その年に伸びた枝(新梢)のうち、極度に未熟な枝(剪定後に出た若葉のある枝など)を避けつつ充実しきる前の枝を使います。

枝を10㎝前後で切り取り、挿し穂を数時間水につけて給水させます。葉を挿し穂上部から3~4枚残し、挿し穂下側の葉を取り除きます。

湿らせた赤玉土の小粒や鹿沼土の小粒など清潔な土に挿し穂を挿します。また挿し穂の給水に活力剤を使ったり、発根剤を付けることで成功率が上がります。

日陰に置き、土が乾かないように水を与えつつ、発根して新芽が成長するまで管理します。

ギンマサキ(銀柾・銀正木)の病害虫
害虫

「カイガラムシ類」「ミノウスバ」「ユウマダラエダシャク」が発生することがあります。

特に極端に日陰の場所や風通りの悪い場所で発生しやすく、環境を改善するだけで発生を抑えることができます。

「カイガラムシ類」はマサキの場合は数種類が発生し、枝・葉裏・葉の付け根などに多く見かけます。被害が酷くなると葉が黒く汚れる「すす病」を併発することがあるため注意が必要です。親虫は殻があるため退治に時間がかかるので、鉢植えならば消毒の前に柔らかい布や使い古しの歯ブラシなどで親虫をある程度取り除いてから薬剤をかけます。生垣などの場合は手作業で取り除くには株が大きいため、消毒薬を定期的に満遍なく噴霧することで退治した方が良いです。

「ミノウスバ」はガの一種で、幼虫は黄と黒の縞模様で葉を食害します。特に陽当たりの悪い株や枝に発生しやすく、幼虫が小さい頃は集団で食害しますが、ある程度育つと単独で行動し始め、木から糸を垂らして拡散します。秋に羽化・産卵し、春から孵化して食害するため、春以降に数度消毒することで発生を抑えることができます。

「ユウマダラエダシャク」はガの一種で、幼虫は黒いシャクトリムシの姿で葉を食害します。5月~8月、9月~10月に食害されやすいので、該当する時期に定期的な消毒を行うと、ほぼ見かけることはありません。

病気

「うどんこ病」が発生することがあります。

「うどんこ病」は葉の表面に白い粉のようなカビが発生します。害虫の場合と同じく極度に陽当たりが悪い場合、または風通しが悪い場所や株が茂りすぎて通風が悪くなると発生しやすくなります。被害が酷くなると株の成長が著しく悪くなるので、消毒の前に環境改善を行った方が良いです。

もし被害が酷い場合は、市販のスプレータイプの薬剤で「樹木類」の登録と「カイガラムシ」「ケムシ類」「うどんこ病」が対象になっているものを使っていけば退治できます。

また株が1m以下の場合はアセフェートやクロアチニジンを含む粒剤を株の周囲に撒くことで予防や退治ができます。

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