ヒュウガミズキ(日向水木)の育て方

ヒュウガミズキ(日向水木)の基本情報

科名:マンサク科 Hamamelidaceae
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属名:トサミズキ属 Corylopsis
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学名:Corylopsis pauciflora
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和名:ヒュウガミズキ(日向水木)
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別名:イヨミズキ(伊予水木)
   コバノトサミズキ(小葉ノ土佐水木)
   ヒメミズキ(姫水木)
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英名:buttercup witch hazel
   winter hazel
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原産:日本(石川県~兵庫県北部・高知県・宮崎県)・台湾
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開花時期:3月中旬~4月
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高さ:1m~3m
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耐暑性:やや強い
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耐寒性:やや強い
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ヒュウガミズキ(日向水木)の特徴

ヒュウガミズキ(日向水木)は日本~台湾原産の落葉低木で、春に黄白色の花を咲かせる花木として広く植栽されています。

開花は2~3個の小花がまとまった房を吊り下げるように咲かせ、葉が出る前の枝に多数着けます。

開花後に葉芽が動き出し、ハート型で葉脈に反って凹凸の多い葉が展開し、秋には黄葉も楽しめます。

障害物のない場所では細い枝をドーム状に広げて2~3mの樹高に育ちますが、剪定や刈り込みで樹形を整えることもでき、1~1.5mくらいの樹高で育てることもできます。

ヒュウガミズキ(日向水木)の管理と置き場所

ヒュウガミズキは陽当たりと風通しの良い環境で、滞水・過湿を避けつつ保水性良い肥沃な土壌を好みます。

耐寒性がありますが暑さにもある程度耐えることができ、北海道南部~九州まで地植えで栽培できます。

また刈り込みに強く、低木時でも良く開花するため鉢栽培で育てることができます。

ヒュウガミズキ(日向水木)の年間管理
 
ヒュウガミズキ(日向水木)の植え付け・植え替え

植え替えは落葉期間(落葉後から翌春の開花まで)にあたる12月~3月上旬に行います。

またヒュウガミズキは生育が活発で水の代謝も激しいため、地掘り株や根巻株のような枝量と根量のバランスが釣り合ってない可能性がある株は、植え付け後に枝を切り詰めた方が根付きやすくなります。

地植え

株の根回りの大きさにより掘る深さや大きさが変わりますが、ポット苗などの小さな株でも少なくとも直径・深さが30㎝~50㎝は掘り返した方が良いです。

根鉢が20㎝以上ある場合は、根回りの大きさの2~3倍の広さに穴を掘った方が良いです。

掘り返した土に対して完熟堆肥を2~3割と完熟肥料を混ぜて植え付け、植え付けを完了する前に植穴に水を流し込んで周辺の用土に十分水を含ませておくと根付きやすくなります。

もし真砂土や山砂のような固く乾きやすい土壌の場合は、堆肥類を混ぜる前に掘り返した土の半量~3割程度の赤玉土と黒土を混ぜ保水性を高めます。

鉢植え

小苗から育てる場合は成長にともない株に対して鉢が小さくなるようであれば、落葉期に植え替えを行い鉢のサイズを大きくします。

成株の場合は2~3年に1回の頻度で植え替えを行います。

成株の植え替えは、鉢から取り出し、土を変えるとともに根を整理して植えなおします。

ヒュウガミズキ(日向水木)の用土の選び方

ヒュウガミズキは通水性があり保水力のある肥沃な土質を好むので、鉢栽培する場合は赤玉土小粒:腐葉土:黒土=5:3:2を混合した土に植え替えます。

庭や花壇に植える場合は、完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

もし庭土が真砂土や山砂のような固く乾きやすい土壌の場合は、堆肥類を混ぜる前に掘り返した土の半量~3割程度の赤玉土と黒土を混ぜ保水性を高めます。

ヒュウガミズキ(日向水木)の水やり

ヒュウガミズキの水やりは一般的な樹木の水の与え方に準じます。

庭植え

概ね天候に任せた水やりとなりますが、水切れには注意が必要なので気温が高い時期は土の乾く前にたっぷりと水を与えます。

なお植えた時期から一年間は、根が張っていないため季節問わず土の状態を見つつ水を与えます。

特に植え替えた直後にたっぷり水を与え、一年目の夏は土が乾ききらないように注意しつつ夕方にたっぷりと水を与えます。

鉢植え

年間を通して鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

ヒュウガミズキ(日向水木)の肥料の与え方
元肥

植えるときに完熟有機肥料と完熟堆肥を元肥として根回りに混ぜ込みます。

完熟まで至っていない(発酵や未発酵の)有機肥料や堆肥の場合は、根や根鉢に直接当たると根を傷めることがあります。

もし未完熟の有機肥料を混ぜる場合は、植穴を大きく掘って植穴底側に肥料を混ぜ、肥料の混ざっていない土を上からさらに加えて根から離すようにして植え替えます。

追肥

追肥として開花後(5月あたり)に、芽の成長を促すため有機肥料を株元を避つつ株回りに与えます。

植えて数年経った株やある程度育った樹の場合は、1月~2月に寒肥を施します。

樹の周囲(樹冠の真下あたり)の土を掘り返し、完熟堆肥や完熟肥料を混ぜ込みます。この際に土と一緒に根も切ることで、新根の発生も促すようにします。

ヒュウガミズキ(日向水木)の剪定

ヒュウガミズキは自然樹形を楽しむことも多いですが、剪定を行い樹高や樹形を整える場合は落葉後の秋~冬または開花後に行います。

秋~冬の落葉後は株の内側まで見えるようになるため、徒長した枝だけでなく株内部の込み合った枝や交差した枝などを切り取ります。

落葉後~開花までは枝に花芽が付いているため、樹高を抑えるような強剪定は避けて不要な枝を取り除くだけにします。

開花後~芽吹きまでの剪定では不要枝の除去だけでなく、樹高を抑えるような強剪定も行います。

なおヒュウガミズキは6月あたりから開花後に伸びた新枝に翌年開花の花芽が付き始めるので、5月以降に剪定する場合は新枝がなくなるほどの剪定は避けます。

ヒュウガミズキ(日向水木)の増やし方

ヒュウガミズキは「挿し木」「株分け」「種まき」で増やします。

挿し木

挿し木は3月下旬・6月~7月・9月に行います。

3月下旬に挿し木する場合は、予め採取した前年枝を使います。

前年枝は芽が動き始める前までに行った方が良いので2月上旬あたりまでに採取し、乾燥しないようにビニール等に入れて保管したものを使います。

6月~7月に挿し木をする場合は開花後に伸びた枝で固く充実したものを選んで使います。

挿し穂を作る前日から半日前に親株にたっぷりと水を与え、枝内に水を行きわたらせます。

枝を10~15㎝前後で切り、当年枝の場合は葉が付いているので土内に挿しこむ3~4㎝分の葉を取り除いてから水に漬けて給水させます。

湿らせた赤玉土の小粒や鹿沼土の小粒など清潔な土に挿し穂を挿します。また挿し穂に発根剤を使うことで発根率が上がります。

日陰に置き、保湿のために覆いをかけます。

株分け

時期は落葉後から開花前の12月~3月上旬に行います。

ヒュウガミズキは株が生育するとともに根元から幾本もの枝が伸びあがる株姿になっています。

地際の枝数本ごとを1株として親株を縦に割るように切り分けますが、小さく切り分けた枝数少ない株では衰弱することがあるため、なるべく大きく分割します。

株分けする際は、掘りあげた株をノコギリなどを使って切り分けます。

種まき

まき時期は種が熟す10月あたりに採種後すぐに播種する取り撒きをするか、ビニール袋に入れて冷蔵庫で保管して翌3月に播種する春撒きをします。

とり蒔きの場合は採種後すぐ種まきを行うので、植え替えに使うものと同じ用土をポットに入れて、1粒ずつ種を埋め込み、たっぷりと水を与え、明るい日陰に置きます。

とり蒔きの場合は発芽が翌年になるため、発芽まで乾かないように水を与えつつ管理します。

春蒔きする場合は採種後湿らせたパーライトまたはバーミキュライトと一緒にビニール袋に入れて冷蔵庫に入れて春まで保管します。

3月になったら種を取り出し、とり蒔きと同じように種まきして、明るい日陰で芽が出るまで乾かないように水を与えつつ管理します。

ヒュウガミズキ(日向水木)の病害虫

比較的病害虫に強いですが、病気として「うどんこ病」などが発生することがあります。

病気

「うどんこ病」
葉の表面に粉状の白い斑紋が発生します。被害が酷いと葉が委縮したり、光合成に悪影響を及ぼします。

陽当たりと風通しが悪い場所(陽当たりと風通しが悪い枝)に発生しやすいため、剪定などで環境改善を行うことで、発生しにくい環境づくりも大事になります。

退治・治療方法

各病害虫が発生した場合は、市販の薬剤またはスプレー剤で「樹木(類)」の登録と対象病害虫が記載されている薬剤を使って退治します。

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