ルピナス/ラッセルルピナスの育て方

ルピナス/ラッセルルピナスの基本情報

科名:マメ科 Fabaceae
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属名:ハウチワマメ属(ルピナス属)
   Lupinus
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学名:Lupinus
または Lupinus polyphyllus hybrid(ラッセルルピナス)
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和名:ハウチワマメ
(葉団扇豆=Lupinus perennis
和名:タヨウハウチワマメ
(多葉葉団扇豆=Lupinus polyphyllus
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別名:ノボリフジ(昇り藤)
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英名(ルピナス属):Lupinus, lupin, lupine
英名(ラッセルルピナス):Russell lupin, Garden lupin
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原産(ルピナス属):南北アメリカ・地中海沿岸地域・北アフリカ
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開花時期:4月末~6月
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高さ(ルピナス属):20㎝~3m
高さ(ラッセルルピナス):50㎝~1.5m
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耐暑性:弱い
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耐寒性:強い
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ルピナス(属)の特徴

ルピナスの仲間は、南北アメリカ・地中海沿岸地域・北アフリカに自生するマメ科の一年草~多年草で、一部の種はルピナス・ジャイメヒントニアナ(Lupinus jaimehintoniana)などのように3~8mの灌木状に育つ種もあります。

マメ科植物なので、豆状の実ができたり窒素固定能をもつ根粒菌が根に共生しているため、古代から食用・肥料・飼料などでりようされていて日本へは明治期に緑肥用として入ってきました。

葉が団扇状に広がっているためルピナス・ぺレ二ス(Lupinus perennis)の標準和名にハウチワマメ(葉団扇豆)という名がついており、またハウチワマメの基本種が青~紫の藤のような花を咲かせ、藤の花房を逆さにしたような花姿から「ノボリフジ(昇り藤)」や「サカサフジ(逆さ藤)」の別名もあります。

「ハウチワマメ」や「ノボリフジ」などの名は、本来は上記のルピナス・ぺレ二ス(Lupinus perennis)の標準和名や別名ですが、現在では栽培品種も含めたルピナスの仲間全体に対して和名表示している場合もあります。

学名の「Lupinus」の由来は、オオカミを意味する「lupus/lupinus」であるという説が主流のようで、オオカミの名が付いた理由については植物・園芸学者の説をもとにすると、「ルピナスが肥料食いなため貪欲さからオオカミを連想した」という説や「土地を選ばず育つ逞しさをオオカミを連想した」という説などがあるようです。

ルピナス/ラッセルルピナスの特徴

「ルピナス」の名がつく植物のうち、一般的に良く植えられるものはタヨウハウチワマメ(多葉葉団扇豆=Lupinus polyphyllus)をもとに他種との交配で作られた「ラッセルルピナス」で、様々な花色があります。

タヨウハウチワマメは北米原産種で、別名に「シュッコンルピナス(宿根ルピナス)」の名があるように、タヨウハウチワマメ・ラッセルルピナスともに冷涼地であれば夏越して宿根草として育てることができます。

一方で温暖地・暖地の夏を越すことができないため、夏が暑い地域では一年草として育てます。

ラッセルルピナスは、イギリスの園芸家ジョージ・ラッセル(George Russell)により作出された栽培品種群で、カラフルな花色が特徴の品種で当初はタヨウハウチワマメと同じく草丈1.5mになるものがほとんどでしたが、現在のラッセル系ルピナスでは草丈50㎝くらいの矮性品種もあります。

ルピナス/ラッセルルピナスの管理と置き場所

ラッセルルピナスは陽当たりと風通しの良い環境で腐植質に富んだ排水性の良い土壌で育てます。

耐寒性が高いものの耐暑性は低く、寒地・寒冷地の一部で宿根性多年草として育てることができますが、温暖地・暖地の場合は秋まき春咲きの一年草として育てます。

種まきや苗・開花株を育てて観賞しますが、直根性のため高性種を草丈の高く育てたい場合は種まきか苗の状態から育てます。

寒地・寒冷地では高性種・矮性種どちらも育てられますが、温暖地・暖地では矮性種の方が育てやすいです。

ルピナス/ラッセルルピナスの苗の選び方

ラッセル系のルピナスは高性種・矮性種などの品種があるため、どのように植えたいのかを考え購入時に品種や性質を知ったうえで種・苗を選んだ方が良いです。

鉢植えの場合は矮性種の方が育てやすく、地植えで高性種を草丈高く育てたい場合は、種を直播きするか未開花苗を地植えします。

またルピナスは直根性のため根が傷むことを嫌うため、未開花苗を選ぶ場合は一般的な苗の選び方とは逆で根があまり張っておらず、小ぶりな苗を選んだ方が良いです。

春に開花苗が店頭に並びますが、開花苗は草丈が高くなることがないため、軸が太くグラつかない株を選びます。

ルピナス/ラッセルルピナスの年間管理表
 
ルピナス/ラッセルルピナスの植え替え

地域によって苗の流通状況は異なりますが、秋~冬にかけて未開花苗が出回り、春先にも開花苗が流通します。苗を購入後、一~二回りの大きな鉢、または寄せ植えや花壇などに植え替えます。

ルピナスは直根性(根が下方に真っすぐ伸びる性質)で植え替え等で根を傷めることを嫌うため、根鉢やポットの土を崩さずに植え替えます。

ルピナス/ラッセルルピナスの用土の選び方

鉢植えの場合は、市販の花や野菜用の培養土でも大丈夫です。

土の過湿を嫌うため市販の培養土でも土質によっては赤玉土小粒や軽石小粒などを1~2割まぜて排水を良くしたものを使った方が良い場合があります。

またブレンドする場合は赤玉土小粒:腐葉土=7:3の土に植え替えもできます。

庭や花壇へ植え付ける場合は、ルピナスが酸性土壌を嫌うため苦土石灰を撒き中和します。苦土石灰を撒いて耕し土壌混入して水を撒き、1~2週間おきます。

その後、土質改良のために完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、腐葉土、完熟有機肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

ルピナス/ラッセルルピナスの水やり

ルピナスの水やりは一般的な草花の水の与え方に準じ、鉢植えの場合は年間を通して鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

庭植えの場合は定植時にたっぷりと水を与えた後は特別水やりの必要はありません。

ルピナス/ラッセルルピナスの肥料の与え方

ルピナスはマメ科の植物のため低肥料でも良く育ちますが、開花に関わるリン酸が不足しがちになるため、窒素成分が少なくリン酸が多めの花用の肥料を与えます。

元肥は、植え付け時に根が傷まない緩効性化成肥料を土に混ぜて植え付けます。

追肥は、春からリン酸を多く含む置き肥を株元から離した株回りに与え、鉢植えの場合は花用の液体肥料を薄めて月に2回与えます。

以降2番花・3番花を咲かせる場合は、その度にリン酸が多めの置き肥や液体肥料を与えます。

ルピナス/ラッセルルピナスの剪定

ルピナスの花は花穂の下から順に開花しながら花穂の先端に向かって開花していきます。

ある程度開花が進むと2番花になる新しい花穂が葉の付け根から出てきますが、2番花を立派に咲かせたい場合は最初の花が咲き進んだ段階で切り取り、2番花に栄養が回るようにします。

なおルピナスの茎は中空になっているため、切り取った後に茎内に水が溜まって傷むことがあります。

そのため花穂を直接切らずに折って倒し、余分な穂を切り取ることで茎内に水が溜まらないようにできます。

ルピナス/ラッセルルピナスの増やし方

ルピナスは種まきで増やします。

種まき時期

種まきの時期は、寒地・寒冷地では5月~9月に種を撒き、温暖地・暖地では9月に種を撒きます。

どちらの時期に種を撒いても開花は翌春の4月~6月でに開花しますが、ルピナスの花は低温で花芽を作るため5月~7月に種を撒いた方が充実した株で冬を迎えるため良い花が咲かせやすくなります。

一方で9月撒きの場合は早いと暑さで失敗しやすく、遅いと小苗のまま冬になり翌春咲かないことがあるので、9月上旬になるべく暑くなりにくい木陰や日陰の風通しの良い場所で種を撒きます。

ルピナスの種は固めの殻があるため、種まきする前に一昼夜水に漬けて給水させます。

先述の通りルピナスは直根性で移植を嫌うため、種を撒く場合は、庭や観賞時使う鉢やプランターに直撒きするか、ビニールポットで苗を育て早めに定植します。

庭・花壇への直撒き

種まき前に土の準備を行います。苦土石灰を撒いて耕し土壌混入して水を撒き、1~2週間おきます。

さらに完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

もし完熟に達していない堆肥や有機肥料を混ぜる場合は、土に混入後さらに1~2週間おいてから種まきします。

土の準備ができたら、10~15㎝の間隔で深さ1㎝になるように種を撒きます。

発芽後本葉が出たあたりで間引きします。根が傷むのを嫌うため、間引きの際は土から引き抜くのではなくハサミなどで切ると周囲の根を傷めません。

間引きは葉が重なるくらいに育ったあたりで随時行い、高性種であれば苗幅20~30㎝間隔、矮性種であれば苗幅15㎝間隔になるまで間引きます。

ポット撒き

ビニールポットに培養土を入れ、1ポットに3粒ずつ深さ1㎝くらいで種を撒き、たっぷりと水を与えます。

発芽後は直撒きと同様に間引きを行い、1ポットに1苗になるまで間引きつつ育成します。

なおポットで育てた場合の注意点として、直根性のためポット内で育ちすぎると、ポットから移植しても大きく育たなくなるため、ある程度育てた段階で根が張りきる前に定植します。

ルピナス/ラッセルルピナスの病害虫

性質が強く病害虫に悩まさせることは少ないですが、陽当たりや風通しの悪い場所、肥料が多い場合でアブラムシが発生することがあります。

基本的に病害虫に強いため、環境を整えるだけで発生を抑えることができます。

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