ハナアナナス/ワリシア・キアネア(チランジア・キアネア)の育て方

ハナアナナス/ワリシア・キアネア(チランジア・キアネア)の基本情報

科名:パイナップル科(ブロメリア科)
   Bromeliaceae
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属名:ワリシア属 Wallisia
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学名:Wallisia cyanea
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異名(Synonym):
   Tillandsia cyanea
   Phytarrhiza lindenii
   Platystachys cyanea
   Tillandsia lindenii
   Vriesea lindenii
   Wallisia lindenii など

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和名:ハナアナナス
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流通名:チランジア・キアネア
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英名:Pink quill
   Blue-flowered torch
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原産:エクアドル
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株幅:φ60~70㎝(1株あたり)
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耐暑性:やや強い
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耐寒性:弱い
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ハナアナナス/ワリシア・キアネア(チランジア・キアネア)の特徴

ワリシア・キアネアは、ハナアナナスという和名で親しまれてきたパイナップル科(ブロメリア科)の植物です。

開花の際にピンクに色づく花序(花が収まった花穂のような部位)が立ち上がり、花序の下側から紫の花が順次開花します。花序は開花が終わるまで色づいているため観賞期間が1ヵ月以上になることがあります。

自生地では樹木などに着生して生きています。細く長い葉をロゼット状に茂らせた株姿で、株の中心部に水を溜める作りになっています。水を葉の付け根から取り入れることもでき、樹上生活で水を確保しやすくなっています。

またいくつかの変異もあり、花序が白いものや葉に斑が入るような種類もあります。

2016年に科学ジャーナル「Phytotaxa」でチランジア亜科のDNA解析をもとにしたブロメリア科サブファミリーの分類学的改訂の論文が発表されました。

これによりハナアナナスはチランジア・キアネア(Tillandsia cyanea)という学名でしたが、数種のチランジアとともにワリシア属に分類されました。

現在でもチランジアの名で流通してることもあり、当面は両方の名で店頭に並ぶかもしれません。

またチランジア属は和名でハナアナナス属と呼ばれていたので、属名についても変更があるかもしれません。

ハナアナナス/ワリシア・キアネア(チランジア・キアネア)の管理と置き場所

ワリシア・キアネアは風通しの良い明るい日陰を好みます。年間通して窓辺の明るい場所でも育てることができますが、5月~10月までは屋外の明るい日陰で管理した方が生育が良いです。

屋外管理では葉の付け根に水が溜まるような水やりを行うか、雨ざらしで管理します。

ただし夏の高温期は直射日光の当たる場所や周囲のコンクリートの熱などで葉焼けや蒸れで傷まないよう気を付けた方が良いです。

10月あたりで夜間温度が10℃を下回る前に室内の窓辺に移動させます。室内管理に移行後は葉の付け根に水を溜めないように管理します。

特に室温が5℃を下回る場合は、鉢内も乾かし気味にして耐寒性を上げると寒さによる痛みや枯れを防げます。

ワリシア・キアネアの開花は毎年の決まった時期に咲くわけではなく、一株が十分な大きさまで生育してから開花します。

開花後に葉の付け根から2~4個の子株を出し、子株の生育とともに親株は衰退します。子株が親株と同じ大きさに生育すると子株も開花します。

子株を株分けせずに育て続けることで、子株がやがて孫株を出し群生株(クランプ)を形成します。群生株まで育つと、どこかの株が開花可能な状態に育っていることがあり、毎年開花するようになります。

ハナアナナス/ワリシア・キアネア(チランジア・キアネア)の年間管理表
 
ハナアナナス/ワリシア・キアネア(チランジア・キアネア)の植え替え

ワリシア・キアネアの植え替えは、気温の上がる5月~7月が適期です。暖地では4月から植え替えすることができます。

成長にともない株に対して鉢が小さくなるようであれば、随時植え替えを行い鉢のサイズを大きくします。また鉢のサイズを変えない場合でも1~2年に一度植え込み材料を交換します。

植え込み材料を交換する場合は、根鉢を鉢から取り出し根をなるべく残るよう植え込み材料を丁寧に取り除きます。

黒く細い根が植え込み材料に絡んでいるため、棒などで突き崩すように取り外すと根を残しやすくなります。

ハナアナナス/ワリシア・キアネア(チランジア・キアネア)の用土の選び方

ワリシア・キアネアは、水苔、バーク、軽石などを用いて植え替えます。

バークは洋蘭などの植え替えに使う小粒のものを使うか、ベラボンのようなヤシ繊維を使うこともできます。

軽石中粒のみで植え替えもできますが、混合して用土を作る場合は軽石中粒:硬質赤玉土中粒:ヤシ繊維(またはバーク)=4:4:2で混合してください。赤玉土は茨城用土などの潰れにくい硬質タイプを使います。

ハナアナナス/ワリシア・キアネア(チランジア・キアネア)の水やり

ワリシア・キアネアは葉の基部に水が溜まるような作りになっていて、葉の付け根から水を取り込むことができます。そのため生育期は葉の基部に水が溜まるような水やりを行います。

屋外に出した際の水やりは、株全体を濡らしつつ葉の基部に水を溜め、鉢内にも水が行きわたるようにたっぷり与えます。

また木漏れ日のある木陰のような場所で雨ざらしにしつつ管理することもできます。

冬期に室内に取り込んだ後は、葉の基部に水を溜めると株の中心を寒さで傷めやすくなるため、水を溜めないようにします。また鉢内も乾かし気味にすることで寒さへの耐性が上がります。

不定期的に暖房をつける場合は乾燥し過ぎるため、霧吹き等で定期的に株全体を湿らせて保湿すると良いです。

ハナアナナス/ワリシア・キアネア(チランジア・キアネア)の肥料の与え方

肥料は与えなくても生育しますが、液体肥料を与えることで成長は早くなります。

肥料は生育が始まる5月~8月まで、規定濃度か規定濃度以下に薄めた液体肥料を、葉の基部から鉢内まで与えます。

特に夏場は規定濃度以下に薄めないと水分が速く蒸発してしまい、肥料成分が葉にこびり付き葉や株を傷める原因になります。

ハナアナナス/ワリシア・キアネア(チランジア・キアネア)の手入れ
枯葉取り

剪定や刈り込み作業はほぼありませんが、株の下葉が枯れている場合は葉の付け根から取り除きます。

また開花後の花序が枯れ始めた場合は花序の基から切り取ります。

葉先が枯れている場合は必要に応じて切り取りますが、葉先の形に合わせて斜めに切ると手入れ痕が目立ちません。

ハナアナナス/ワリシア・キアネア(チランジア・キアネア)の増やし方

ワリシア・キアネアは株分けで増やします。

株分け

適期は植え替え時期と同じく5月~7月です。また暖地では4月から株分けできます。

親株の株もとや葉の付け根から出た子株を分けて増やします。子株は親株の1/3~半分の大きさ以上に育ったものを分けた方が株分け後の生育がはやいです。

また1/3以下の大きさの子株を分ける場合は、ナイフやカッターなどで親株から切り分けて下さい。ナイフなどを使わずに折り取ると、生長点を親株側に残して葉のみがとれる場合があります。

取り分けた子株は、上記の用土を使い子株が収まるサイズの鉢に植え替えます。

植え替え後にたっぷりと水を与え、親株と同じ場所で管理することで、数か月で発根と生育が始まります。

ハナアナナス/ワリシア・キアネア(チランジア・キアネア)の病害虫

比較的病害虫に強い植物ですが、「ハダニ」「アブラムシ」「カイガラムシ」が発生することがあります。

害虫

「ハダニ」はダニの仲間ではなくクモに近い仲間で、乾燥した環境で発生しやすく、大発生するとクモの巣のような細かな糸が目立つようになります。特に室内管理中に発生しやすいため、定期的に霧吹き等を行うことで発生を抑えることができます。

「アブラムシ」は数㎜の小さな虫で、花や花序の周辺に発生しやすいです。風通しの悪い環境など、植物が弱る状況で大発生しやすくなります。

「カイガラムシ」は葉の表面に小さな茶褐色の点のように親虫が貼り付き吸汁します。発生が少数の場合はふき取ることで抑えることができます。

いずれの害虫も被害が酷い場合は、市販のスプレータイプの薬剤で「観葉植物」の登録と「ハダニ」「アブラムシ」「カイガラムシ」が対象になっているものを使っていけば退治できます。

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