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クジャクアスター(孔雀アスター)の基本情報
科名:キク科 Asteraceae
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属名:シンフィオトリクム属
Symphyotrichum
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学名:Symphyotrichum cv.
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異名(Synonym):Aster cv.
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流通名:クジャクアスター(孔雀アスター)
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別名:宿根アスター
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原産:園芸品種
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開花時期:8月~11月
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高さ:70㎝~1.5m
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耐暑性:強い
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耐寒性:強い
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クジャクアスター(孔雀アスター)の特徴
クジャクアスター(孔雀アスター)はアスターの近縁種を交配して作られた園芸品種の総称で、ユウゼンギク(友禅菊=Symphyotrichum novi-belgii)などとともに「宿根アスター」と呼ばれることもあります。
元はキダチコンギク(木立紺菊=Symphyotrichum pilosum)などを親に作られた「白孔雀」という品種があり、白花の白孔雀にユウゼンギクを交配して紫・薄紫・紅・ピンクなどの花色が作り出されました。
「クジャクアスター」と呼ばれる園芸種グループは、白孔雀とユウゼンギクとの交配種、またはキダチコンギクとシンフィオトリクム・エリコイデス(S. ericoides)との交配種を指します。
見た目上はユウゼンギクとの違いは分かりにくく、両種をまとめて宿根アスターとして店頭に並ぶことも多いです。
以前はユウゼンギクやクジャクアスターの親種ともにアスター属でしたが、遺伝子解析から分子系統学的にシンフィオトリクム属に再分類されています。
クジャクアスター(孔雀アスター)の管理と置き場所
クジャクアスター(孔雀アスター)は陽当たりよく、風通りと排水性の良い環境で育てます。
開花期は8月~11月で、開花株が春または夏~秋に店頭に並びますが、短日植物のため開花は夜が長くなる8月以降から咲き始めます。
また耐暑性・耐寒性ともに高く、鉢栽培から地植えまで楽しむことができ、多年草として毎年花を咲かせることができます。
草丈は70~1.5m前後まで大きくなるため、鉢栽培の場合は定期的に鉢をサイズアップしながら根詰まりしないように育て、ある程度のサイズに育った株は地植えで育てます。
クジャクアスター(孔雀アスター)の年間管理表
クジャクアスター(孔雀アスター)の植え替え
苗や開花株を入手した場合は入手後、一回り大きな鉢、または花壇などに植え替えます。
越冬した株や多年草として育てている鉢植えの株は、生育が始まる前か生育初期に行った方が良いため、2月~3月に行います。
鉢植えの場合は、成長にともない株に対して鉢が小さくなるようであれば、随時植え替えを行い鉢のサイズを大きくします。
ただし草丈が1mを超えることがあるため、ある程度育った株は地植えにした方が管理しやすくなります。
地植えの場合は、陽当たりの良い場所に、排水良く根が張りやすいように土を作って植え付けます。植え付ける場所の周囲に完熟堆肥や完熟有機肥料などを混ぜ込んでから植え付けると良いです。
クジャクアスター(孔雀アスター)の用土の選び方
市販の花や野菜用の培養土でも大丈夫です。またブレンドする場合は赤玉土小粒:腐葉土=7:3の土に植え替えもできます。
庭や花壇に植える場合は、完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。
クジャクアスター(孔雀アスター)の水やり
クジャクアスター(孔雀アスター)の水やりは一般的な花の水の与え方に準じます。
鉢植えの場合は基本的に鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。
庭植えの場合は、植えた直後にたっぷりと水を与えた後は、おおむね雨まかせでも大丈夫です。夏場は雨が降らない日が続くようであれば夕方あたりにたっぷりと水を与えます。
クジャクアスター(孔雀アスター)の肥料の与え方
クジャクアスター(孔雀アスター)は元肥・追肥ともに与えますが、肥料が多いと草姿が乱れたり、耐病性が落ちるので多肥にならないように適宜肥料を与えます。
特に窒素肥料が多いとうどんこ病が発生しやすくなるため、リン酸が多めの花用肥料を与えた方が良いです。
地植えの場合は、植え付けの際に堆肥類と一緒に有機肥料を土に混ぜてから植え付けます。
以降は追肥を与えなくても良く開花しますが、充実した株に育てるために生育が始まる2月~3月に有機肥料か緩効性の化成肥料を株元から離した株回りに与えます。
鉢植えの場合は肥料がきれることがあるので、4月~9月にかけて1ヵ月に1回の頻度で緩効性の化成肥料を置き肥として与えるか、花用の液体肥料を規定濃度に薄めて与えます。
クジャクアスター(孔雀アスター)の手入れ
花摘み
花が咲き終わり次第、随時花柄を摘み取ります。一枝分の花が全てさき終わったら、枝元に葉が残るように花枝を切り取ります。
切り戻し
草丈を抑えつつ、枝数と花数を増やすために切り戻しを行います。
切り戻す時期は5月~6月に行い、春からの新芽がある程度の草丈まで成長するので株の高さの1/3くらいに切り戻しをします。
支柱立て
クジャクアスター(孔雀アスタ―)は草丈も高く育つと、枝が倒れることが多いので支柱を立てて株が広がりすぎないようにします。
特に周囲の草花の草丈が低い場合は、周囲の草花に覆い被さるので支柱が立てが必須です。
演出上支柱を目立たないようにしたい場合は、目立ちにく色・質感の支柱を使ったり、支柱の数を減らすために株の外側の枝だけに支柱を立てて株全体を支える様にすると良いです。
また支柱を使わない場合は、枝質が硬めである程度草丈がある草花を周囲に植えてクジャクアスターを支えると良いです。
クジャクアスター(孔雀アスター)の増やし方
クジャクアスター(孔雀アスター)は挿し芽・株分けで増やします。
挿し芽
5月~6月あたりに行います。その年に伸びた新芽を5㎝前後で切り取り、土に挿すところまでの葉を落とし、挿し穂を水につけて給水させます。
鹿沼土か赤玉土小粒のような清潔な土を準備し、水をかけて湿らせた後、挿し穂を1節以上土の中に入るように挿します。発根剤などを使うと成功率が上がるのでお勧めです。
日陰で水を与えながら管理します。新芽が出始めたら発根したと考えられますので、根を傷めないよう土ごと苗を取り出し、植え替えします。
株分け
新芽が動き始める2月~3月に行います。大きな株であればスコップなどで半分~数分割して株分けします。
株をさらに細かく分割する場合でも、分けた後の株に根が付くように2~3芽以上で株分けした方が良いです。
クジャクアスター(孔雀アスター)の病害虫
害虫
「アブラムシ」「エカキムシ(ハモグリバエ)」が発生することがあります。
「アブラムシ」は新芽や蕾・花裏に発生しやすいです。特に風通しの悪い環境や窒素肥料が多い場合などで発生しやすくなります。施肥量を抑え、間引きをして風通しを良くするなどの環境改善が重要になります。
「エカキムシ」はハモグリバエの幼虫で、表皮下の葉肉の食害痕が白い模様のように見えるためエカキムシと呼ばれます。
6月~9月に発生しやすく、食害痕の先端またはその裏側に幼虫がいるため、被害が少ない場合は幼虫を潰して退治し、被害が大きい場合は消毒して退治します。
市販のスプレータイプの薬剤で「花き」の登録と「アブラムシ」「エカキムシ」が対象になっているものを使っていけば退治できます。
特にエカキムシは表皮下にいるため植物内に浸透するタイプの殺虫剤を使った方が良いので、浸透移行剤が含まれているスプレー剤を使います。
またアセフェートやクロアチニジンを含む粒剤を株の周囲に撒くことで予防や退治ができます。
病気
「うどんこ病」が発生することがあります。
「うどんこ病」は葉の表面に白い粉のようなカビが発生します。初秋の夜間気温が下がることから発生し始め、特に窒素過多の場合や株が茂りすぎて通風が悪くなると発生しやすくなります。
「うどんこ病」が発生した場合では、市販のスプレータイプの薬剤で「花き」の登録と対象病害虫の記載があるものを使っていけば退治できます。