ミモザ(アカシアの仲間)の育て方

ミモザ(アカシアの仲間)の基本情報

科名:マメ科 Fabaceae
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属名:アカシア属 Acacia
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学名:Acacia
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原産:オーストラリア・マレーシア・アジア・マダガスカルなど
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開花時期:2月下旬~4月上旬
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高さ:2m~10m
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耐暑性:やや強い
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耐寒性:やや強い
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ミモザ(アカシアの仲間)の特徴

アカシアの木で真っ先にイメージするのは、春先に黄色の花を木いっぱいに咲かせ「ミモザ」あるいは「ミモザアカシア」と呼ばれているフサアカシア(あるいはギンヨウアカシア)ではないでしょうか。

アカシア属はオーストラレーシア(オーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、メラネシア諸島などの地域)、アジア、マダガスカル等にに1350種が自生している常緑樹です。

羽毛のような形の複葉とシルバーがかった葉色が特徴のフサアカシアやギンヨウアカシア以外にも、単葉で三角形の葉が特徴的なサンカクバアカシア、葉表面の白い起毛で木全体のシルバーの色合いが強いパールアカシアなど多くの種類、樹形、樹高があり、演出力のある花木の一つです。

ミモザ?アカシア?の違い

「ミモザ」あるいは「ミモザアカシア」と呼ばれますが、「ミモザ」という呼び名は通称で植物名とは異なります。

植物名としては本来フサアカシア(房アカシア)が該当しますが、日本では見た目が良く似ているためギンヨウアカシア(銀葉アカシア)もミモザとして流通しています。

元々は花付きのフサアカシアの切枝に対して「ミモザ」の名が付けられたそうです。

ややこしいことに、学名で「Mimosa」と呼ばれる植物は、オジギソウ(Mimosa pudica)を含むマメ科ネムノキ亜科ミモサ属の植物を指しますが、海外ではネムノキ(Albizia julibrissin)もミモザと呼ばれることがあるようです。

さらにややこしいことに、最初にアカシアの名が付けられた植物は現在では別属になり、アカシア属としてまとまるまで紆余曲折もあったようです。

なお、日本で「アカシアの蜂蜜」といわれる場合のアカシアはニセアカシア(Robinia pseudoacacia)由来の蜂蜜です。

ミモザ(アカシアの仲間)の管理と置き場所

アカシアの仲間は、陽当たり良く、排水と通風の良い場所を好みます。夏の暑さに比較的強いですが、梅雨から夏の多雨は苦手なので、周囲の土を排水良く作り替えてから植え付けて下さい。

生育が早く数年でかなりの大きさに成長します。また樹高が5m以上、幅も3~4mくらいに育つので、家の間近を避けるなど植える場所を決める場合は最終樹形を意識して植えた方が良いです。

乾燥地のアカシアも多く根を深く伸ばしますが、外壁を押すほど株回りに根は張りません。

一方で強風に対して弱く、台風などの強い風で木が傾くことがあります。木が大きく育っても支えをした方が良いです。

流通している品種の多くが半耐寒性ですが比較的寒さに強く、寒冷地や温暖地の山間部などを除けば、多くの地域で植栽可能です。

ただ積雪で枝が折れることがあるので、冬期に予め支えを行うか、毎年花後に剪定を行って株幅を抑えて折れにくくすると良いです。

ミモザ(アカシアの仲間)の年間管理表表
 
ミモザ(アカシアの仲間)の植え替え

植え替えは4月中旬~9月が適期です。ただし酷暑期は避けた方が良いです。

開花後あたりから植え替えを行えますので、地域によっては3月下旬から植え替えできますし、花の咲かない苗であれば3月上旬から植え替えできます。

露地植えの場合は、株の根回りの大きさにより掘る深さや大きさが変わります。

およその目安で、根回りの大きさの2~3倍の広さに穴を掘り、掘り返した土に対して完熟堆肥を2~3割と完熟肥料を混ぜて植え付けて下さい。

鉢植えの場合は、成長にともない株に対して鉢が小さくなるようであれば、適宜植え替えを行い鉢のサイズを大きくします。

また植え替え時の鉢の大きさは1回り~2回りまでにします。

大きすぎる鉢を選んだ場合、生育が良くなる一方で鉢土が乾きにくくなるため過湿で傷みやすくなったり、翌年の花付きが悪くなることがあります。

植え替え後は株の大きさに応じた支えを付けて、株や枝が倒れないようにして下さい。

ミモザ(アカシアの仲間)の用土の選び方

市販の花や野菜用の培養土で育たないわけではないですが、土質により過湿気味になるようであれば赤玉土小粒や軽石小粒を1~2割混ぜ込み排水性を良くしてから植え替えると良いです。

また観葉植物用の土も排水が良いため植え替えに向いています。

土を混合して作る場合は赤玉土小粒:腐葉土=6:4を混合した土に植え替えてください。

庭や花壇に植える場合は、完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けてください。

ミモザ(アカシアの仲間)の水やり

アカシアは過湿を嫌うため、鉢土や表土の状態を確認しつつ乾きに応じて水やりを行います。

庭植えの場合は、植えた直後にたっぷりと水を与えた後は、おおむね雨まかせでも大丈夫です。

ただし夏に雨が降らない日が続くようであれば、夕方にはたっぷりと水を与えて下さい。特に植え替えた初年度の夏は注意が必要です。

鉢植えの場合は基本的に鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

目安として夏は表土(鉢の土表面)が乾いてから水を与え、冬期は表土が乾いた翌日~翌々日あたりに与えると良いです。

ミモザ(アカシアの仲間)の肥料の与え方

アカシアの仲間はマメ科植物で根に窒素肥料を作る菌が共生しているため、低肥料でも十分生育します。

花が咲き始めた株では、花後にリン酸系の肥料を追肥で与えることで翌年も花付きが良くなります。

苗を植える場合は、土質を改良するためにも完熟有機肥料と完熟堆肥を元肥として根回りに混ぜ込んで植えます。

もし完熟まで至っていない(発酵や未発酵の)有機肥料や堆肥の場合は、根や根鉢に直接当たらないように混ぜます。

ミモザ(アカシアの仲間)の剪定/刈り込み

アカシアの花芽は、春の開花後から夏(7月あたり)までに伸びた枝につきます。

そのため剪定は開花後から5月上旬あたりまでに行います。剪定が遅れた場合は新芽の成長も遅れてしまい、花が付かなくなることがあります。

また7月以降に剪定をする場合は、剪定とともに花芽を切り落とすことになるので、全部の枝を剪定することは避け、剪定しない枝を残すことで剪定しつつ咲かせることができます。

剪定の際の注意点は、「新芽か葉を残しながら」剪定を行うことです。

枝だけの状態で剪定を行うと芽を出す前に枝が枯れこむことがあります。

その他の剪定方法は他の樹木と同様に行います。剪定は各枝によく陽が当たるように、枯れ枝、同じ向きに伸びている枝(並行枝)、交差している枝(交差枝)、垂れ下がるように伸びている枝(下向き枝)、勢いよく伸びすぎている枝(徒長枝)などを切り取ります。

その後、樹木内側への風通りが良くなるように、幹側へ向かって伸びる枝(逆さ枝)、幹から出る勢いの弱い枝などを切り取ります。

ミモザ(アカシアの仲間)の増やし方

アカシアは「挿し木」「種まき」で増やします。

挿し木

4月~6月あたりに行います。その年に伸びた枝(新梢)のうち、極度に未熟な枝(剪定後に出た若葉のある枝など)や固く太く育った枝を避けつつ充実しきる前の枝を使います。

枝を15㎝前後で切り取り、挿し穂を数時間水につけて給水させます。

葉を挿し穂上部から3~4枚残し、挿し穂下側の葉を取り除きます。

残った葉を各葉それぞれ半分に切り、蒸散を抑えます。赤玉土小粒のような通水性の良く清潔な土を準備し、水をかけて湿らせた後、挿し穂を土に挿します。

発根剤などを使うと成功率が上がるのでお勧めです。

日陰で水を与えながら管理します。新芽が出始めたら発根したと考えられますので、根を傷めないよう土ごと苗を取り出し、植え替えします。

種まき

開花後に鞘ができ、内部に黒い種ができたものを9月~10月に取り撒きするか、種を保管して翌春の3月~4月に撒きます。

保管する場合は、赤玉土などを湿らせて種を埋め込み冷暗所で保管します。

オーストリア原産のアカシアなどは高温に曝されないと発芽しにくい場合があるため(山火事後に発芽するため)、種を熱湯に漬けてから種まきをします。

市販の種まき用土か赤玉土小粒を使い種まきします。種まきの土や赤玉土をポットに入れて、1粒~3粒ずつ種を入れ、軽く土に埋め込みます。

たっぷりと水を与えた後、発芽するまで明るい日陰に置きます。

発芽後に陽当たりに移動し、複数の種を撒いたものは本葉がでるくらいの頃に1ポットあたり1苗になるように間引きします。

ただし間引きは苗を抜き取らず、根際から切り取ることで残った株の根が傷まないようにします。

ミモザ(アカシアの仲間)の病害虫

害虫として「カイガラムシ」「ミノガ(ミノムシ)」、病気として「すす病」などが発生することがあります。

害虫

「カイガラムシ」
「カイガラムシ」類の中でも大型で目立つ「イセリアカイガラムシ」が発生します。

白い卵胞を抱え込み目立つため発生に気づきやすくなりますが、放置し被害が酷くなると葉が黒く汚れる「すす病」を併発することがあるため注意が必要です。

親虫は簡単に取り除くことができるため、親虫をある程度取り除いてから薬剤をかけます。

また陽当たりや風通しが悪い場所で大発生しやすいため、剪定などで発生しにくい環境作りも大事です。定期的な消毒で発生を抑えることができます。

「ミノガ」
「ミノガ」あるいはミノムシは夏あたりから卵を産み付けられ、秋以降に被害に気づくことが多いです。

幼虫が小さいころは小さなミノが葉裏にぶら下がり気づきにくいですが、大きくなるにしたがって葉を食害するだけでなく、葉や枝を折り取りミノの材料にするため葉や細い枝がなくなる場合があります。

夏以降から消毒することで被害を抑えられます。

病気

「すす病」
「すす病」は「カイガラムシ」の排泄物が葉表面に付着し、排泄物を養分にすす病菌が発生し黒く汚れたようになります。根本原因である「カイガラムシ」を退治してください。

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