ウチワサボテン類(団扇仙人掌類)/オプンチア属の育て方

 ウチワサボテン(団扇仙人掌)の基本情報

科名:サボテン科 Cactaceae
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属名:オプンティア属 Opuntia
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学名: Opuntia
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原産:北米大陸
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高さ:10㎝~15㎝
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耐暑性:強い
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耐寒性:やや強い~弱い
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 ウチワサボテン(団扇仙人掌)の特徴

ウチワサボテン(団扇仙人掌)はサボテンの仲間のうち団扇のような扁平な茎節を持つサボテンの総称です。植物種としてはサボテン科ウチワサボテン亜科オプンティア連に分類される属の多くがこの形態をとり、特に一般に流通するウチワサボテンはオプンティア属のサボテンであることが多いです。一方で古くから日本に導入され、オプンティア間での交雑も簡単なため、厳密なオプンティアの品種を同定することが難しい場合が多いです。

形態や大きさも様々で、Opuntia microdasysの変異種でバニーカクタスと呼ばれるOpuntia microdasys v.albispinaは茎節が6~15㎝で株全体でも40~60㎝の高さしか大きくなりませんが、古くから日本でも親しまれているウチワサボテン「大丸盆」(O.robusta、O.engelmanii、O.stenopetalaなど)は茎節の直径が約30㎝になり1.5mの高さまで育ちます。

寒さに強い種類もあるため花壇の植栽に使われることもあります。

 ウチワサボテン(団扇仙人掌)管理/置き場所

オプンティアの中でも大丸盆などの品種は比較的寒さには強く、暖地や温暖地であまり積雪しない地域ならば屋外で痛みも少なく育てることができますが、多くの種類は冬期は屋内に取り込んだ方が良いです。

理想的な管理としては春~秋までは屋外に置いて育てます。春に屋外に出す際に、屋内外の光量差で葉焼けが起きることがあるので、1~2週間かけて日光に慣らしつつ屋外に順応させて下さい。

冬期の屋内への取り込みは、地域によりタイミングは変わりますが、最低温度が10℃を切る時期になったら屋内に取り込んでください。健康的な生育のためには屋内でも5℃を下回る場所は避けた方が良いですが、冬期の水やりを極度に抑えることで5℃以下でも屋内越冬は可能です。

年間を通して室内管理をする場合は、秋~春は日光が室内に入りやすい南側の窓辺に置き、晩春~初秋までは東側に置いてなるべく多く日光が当たるようにしてください。

 ウチワサボテン(団扇仙人掌)の育て方/年間管理
室外管理での管理表です

 ウチワサボテン(団扇仙人掌)の植え替え

ウチワサボテン類は他のサボテン同様に、根詰まりが起こるまでの期間が長く頻繁に植え替えを行いませんが、2~3年に一度は土を交換するためにも植え替えすると良いです。

植え替え適期は気温が上昇する5月~6月あたりが目安です。暖地では4月から行うこともできます。夏期でも植え替えできますが、気温が下がるまでの期間が短くなるため、なるべく早めに植え替えた方が良いです。

 ウチワサボテン(団扇仙人掌)の用土の選び方

市販のサボテン用の培養土でも大丈夫ですが、冬期の排水性を考えて比較的荒めの砂質のような植え込み剤が良いです。土質のような多肉植物用土でも育てられますが、過湿にならないように水の与える頻度を工夫するか、多肉植物用の土に軽石の小粒を1~2割くらい混ぜたもので植え替えもお勧めです。

 ウチワサボテン(団扇仙人掌)の水やり/肥料の与え方

水やり:春~秋で屋外で育てている場合は、鉢土の表面が乾いて2~3日後に水を与え、冬期は月に1~2度は水を与えるか、霧吹きなどで土を湿らせてください。

冬期の水やりは室温によって水やりの頻度が変わります。特別な暖房設備がなく夜間の最低室温が5℃を切る場合は水を与えず、月に数回だけ比較的暖かい日の早朝に霧吹きで土を湿らせてください。

一方で床暖房などの暖房設備があり夜間も室温が保たれている場合は、月に1~2度は水を与えるか、週一回霧吹きなどで土を湿らせてください。

年間を通して室内管理をする場合は、月に1~2度は水を与えるか、週一回~2週に一回の霧吹きなどで土を湿らせてください。ただし室内は乾きにくくなるため水やりの難度は上がります。

肥料:肥料やりはそれほど必要ではありませんが、屋外管理中の春~秋の生育期は緩効性の置き肥を鉢土の上に与えるか、液体肥料を水やりの際に与えてください。

 ウチワサボテン(団扇仙人掌)の増やし方

団扇のような茎節部を分けて挿し木で増やすことができます。また育てる過程で枝部が枝垂れて土につき根を下ろすこともあるため、根ごと取り分けて増やすこともできます。

挿し木の適期は地域によって変わりますが、気温が上昇する5月~6月あたりが目安です。暖地では4月から行うこともできます。夏期でも挿し木はできますが、気温が下がるまでの期間が短くなり根が成長できる期間も短くなるため、なるべく早めに挿し木した方が良いです。

増やし方は、まだ茎節が連なっている状態ならば、連結部分をよく切れるハサミやナイフなどで切り離します。

その後、3日~1週間ほど日陰で切り口を乾かして、サボテン用の土などに挿します。挿した後も明るい日陰に置き、一か月後くらいから水やりを始めます。もし乾燥する日が続くようなら、枝部と土表面が軽く湿るくらいに霧吹きをすると良いです。

 ウチワサボテン(団扇仙人掌)の病害虫

「カイガラムシ」「ネジラミ」などが発生することがあります。

「カイガラムシ」は見た目ではサボテン表面に小さく付着するように広がります。大まかなカイガラムシを布などで拭きとり、市販のスプレータイプの薬剤で「観葉植物」と「カイガラムシ」が対象になっているものを使っていけば退治できます。

「ネジラミ」は土中の根に白くカビのように寄生する害虫です。鉢の状態では分かりにくいですが、植え替えの際や生育が落ちることで気が付くことができます。ネジラミは土中のものなのでスプレーでの退治が難しいため、クロアチニジンという成分を含む粒剤(オルトランDX粒剤)などを土上に撒くか、薄めた薬剤を土に流し込んでください。

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