ハナズオウ(花蘇芳)の育て方

ハナズオウ(花蘇芳)の基本情報

科名:マメ科 Fabaceae
————————
属名:ハナズオウ属 Cercis
————————
学名:Cercis chinensis
————————
和名:ハナズオウ(花蘇芳)
————————
英名:Chinese redbud
————————
開花時期:4月
————————
高さ:2~6m
————————
原産:中国
————————
耐暑性:強い
————————
耐寒性:強い
————————

ハナズオウ(花蘇芳)の特徴

ハナズオウ(花蘇芳)は、春に赤紫の小花を枝に密に咲かせる中国原産の落葉低木です。

開花は温暖地であれば3月末~4月上旬あたりから開花を始め、地域によっては桜などの春の花木とともに花を楽しめます。

花は小ぶりなものの、葉が芽吹く前に開花し、枝に密に花を咲かせるため、濃いめの花色も相まって樹全体に目を引く存在感があります。

開花後はつやのあるハート形の葉を茂らせ、樹高は概ね2~3mくらいに育つことが多いですが、剪定を控えて生長させると樹高は6mあたりまで育つこともあります。

名前の由来はマメ科別属の「スオウ(蘇芳=Biancaea sappan)」の芯材などから取れる染料と花色が似ていることから「花蘇芳」という名になったようです。

ハナズオウは赤紫色の花を咲かせますが、園芸品種に白花を咲かせる「シロバナハナズオウ(白花花蘇芳=Cercis chinensis ‘Alba’)」という種類もあります。

ハナズオウ(花蘇芳)の管理と置き場所

ハナズオウは陽当たり・風通しの良い環境と、排水性の良い肥沃な土壌を好みます。

周囲に樹木が茂るような場所でも生育できますが、光量が減るのに応じて開花量も少なくなるため、直射日光が良く当たる場所の方が良く開花します。

低木なので鉢栽培もできますが、本来は3m以上に育つ樹木なので、長期的には地植えで育てた方がより多くの開花を楽しめます。

ハナズオウ(花蘇芳)の年間管理表
 
ハナズオウ(花蘇芳)の植え替え

植え替えは落葉期間(落葉後から翌春の開花するまで)に行いますが、特に開花・生育などが始まる少し前にあたる3月くらいが植え替え適期です。

また落葉期間での植え替えでも、比較的温暖な地域を除けば、厳寒期の植え替えは避けた方が良いです。

庭植え

株の根回りの大きさにより掘る深さや大きさが変わります。

およその目安で、根回りの大きさの2~3倍の広さに穴を掘り、掘り返した土に対して完熟堆肥を2~3割と完熟肥料を混ぜて植え付けて下さい。

鉢植え

成長にともない株に対して鉢が小さくなるようであれば、適宜植え替えを行い鉢のサイズを大きくします。

苗が大きくなり、鉢のサイズを大きくすることができなくなったら、庭植えにします。

ある程度大きく育った株の場合は2~3年に1回の頻度で植え替えを行い、鉢から根鉢を取り出し、土を落としながら根を整理して植えなおします。

ハナズオウ(花蘇芳)の用土の選び方

庭や花壇に植える場合は、完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

鉢植えの場合は赤玉土小粒:腐葉土=7:3を混合した土に植え替えます。

ハナズオウ(花蘇芳)の水やり

ハナズオウの水やりは一般的な樹木の水の与え方に準じます。

庭植え

概ね天候に任せた水やりとなりますが、植えた時期から一年間は土の状態を見つつ水を与えます。

特に植え替えた直後にたっぷり水を与え、一年目の夏だけは雨が降らない日が続くようであれば夕方にたっぷりと水を与えます。

9月末から10月以降で気温が下がり始めたら、おおむね雨まかせでも大丈夫です。

鉢植え

年間を通して鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

ハナズオウ(花蘇芳)の肥料の与え方
元肥

植えるときに完熟有機肥料と完熟堆肥を元肥として根回りに混ぜ込みます。

もし完熟まで至っていない(発酵や未発酵の)有機肥料や堆肥の場合は、根や根鉢に直接当たらないように根鉢周辺よりさらに深く掘りこんで混ぜ込みます。

追肥

開花後で新芽が出始める時期に、芽の成長を促すため有機肥料を株元を避つつ株回りに与えます。

植えて数年経った株やある程度育った樹の場合は、1月あたりに寒肥を施します。

樹の周囲(樹冠の真下あたり)の土を掘り返し、完熟堆肥や完熟肥料を混ぜ込みます。この際に土と一緒に根も切ることで、新根の発生も促すようにします。

ハナズオウ(花蘇芳)の剪定・刈り込み

ハナズオウは自然樹形を楽しむことが多いため、頻繁な剪定は必要ないですが、剪定する場合は落葉後の秋~冬と開花後の葉が出る前に行います。

落葉後は株の内側まで見えるようになるため、徒長した枝だけでなく株内部の込み合った枝や交差した枝などを付け根(または株元)から切り取ります。

また樹高を抑えたい場合は、低い位置で枝分かれしている部分で枝を切り落としながら大きさを整えます。

なおハナズオウは7月あたりに翌年開花の花芽が付き始めるので、6月(および5月以降)の剪定は新枝がなくなるほどの強剪定は避けます。

ハナズオウ(花蘇芳)の増やし方

ハナズオウは「種まき」で増やします。

種まき

まき時期は10月あたりに採種後すぐに播種するか、ビニール袋に入れて冷蔵庫で保管して翌3月に播種します。

開花後に花を切らずに残すとマメのような鞘と鞘中に種ができ、秋に種が熟すと鞘が変色します。

とり蒔きの場合は採種後すぐ種まきを行うので、植え替えに使うものと同じ用土をポットに入れて、1粒ずつ種を埋め込み、たっぷりと水を与え、明るい日陰に置きます。

とり蒔きの場合は発芽が翌年になるため、発芽まで乾かないように水を与えつつ管理します。

春蒔きする場合は採種後湿らせたパーライトまたはバーミキュライトと一緒にビニール袋に入れて冷蔵庫に入れて春まで保管します。

3月になったら種を取り出し、とり蒔きと同じように種まきして、明るい日陰で芽が出るまで乾かないように水を与えつつ管理します。

ハナズオウ(花蘇芳)の病害虫

害虫として「イラガ」「アメリカシロヒトリ」などが発生することがあります。

害虫

「イラガ」
イラガの幼虫は黄緑色の短い毛虫で、棘に触れると激痛があることから地域によってはデンキムシという名でよばれることもあります。

発生時期は6月~7月、9月~10月上旬の年2回です。

親蛾は葉裏に卵嚢を産み付け、孵化した幼虫は葉裏に集まり集団で葉裏から食害します。その後、ある程度育った幼虫は単独で行動し始め木全体へと散って食害します。

特に幼虫が小さいころは葉裏のため気づきにくく対応が遅れたり、気づかないうちに刺されることもありますので注意が必要です。

「アメリカシロヒトリ」
アメリカシロヒトリの幼虫はケムシ状で、樹の上に糸を張って巣を作り、巣内部の葉を食害します。

発生時期は年に2~3回で、6月・8月~9月あたりに発生することがあります。

消毒で退治するか、巣ごと切り取って捕殺します。

退治・治療方法

各病害虫が発生した場合は、市販の薬剤またはスプレー剤で「樹木(類)」の登録と対象病害虫または「ケムシ類」が記載されている薬剤を使って退治します。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする