ハゲイトウ(葉鶏頭)の育て方

ハゲイトウ(葉鶏頭)の基本情報

科名:ヒユ科 Amaranthaceae
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属名:ヒユ属(アマランサス属)
   Amaranthus
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学名:Amaranthus tricolor subsp. tricolor
  (または Amaranthus tricolor
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和名:ハゲイトウ(葉鶏頭)
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別名:アマランサス
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英名:Chinese amaranth
   Chinese spinach
   Joseph’s coat
   Summer-poinsettia
   Tampala
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原産:熱帯アジア
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開花時期:8月下旬~11月
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高さ:80㎝~1m
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耐暑性:強い
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耐寒性:弱い
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ハゲイトウ(葉鶏頭)の特徴

ハゲイトウ(葉鶏頭)は晩夏~晩秋にかけて色づく葉を観賞する非耐寒性一年草で、気温が下がるとともに葉色がより濃く鮮やかになります。

ケイトウ(鶏頭)という名が入っていますが、ハゲイトウはヒユ科ヒユ属(アマランサス属)に分類され、ケイトウは同じヒユ科ですがケイトウ属(セロシア属)に分類され別種です。

ハゲイトウは夏の終わりころから葉色が赤・黄・オレンジに色づき、種小名の「tricolor(三色の)」が表すように元の緑の葉色を含めた複雑な葉色に色づく種類もあります。

ハゲイトウの仲間は食用にされる種類もあり、穀物を食用にする種類を属名から「アマランサス」と呼ぶことが多いですが、花穂を観賞する品種やハゲイトウもアマランサスと呼ぶことがあります。

ハゲイトウの変種で茎や葉を食用にされる種類がありヒユ(莧=Amaranthus tricolor var. mangostanus)と呼ばれます。

熱帯アジア原産ですが、江戸時代初期には日本に伝わっており、栽培されています。

草丈は1.5m前後の品種だけでなく1m以下の矮性種などの園芸品種などもあり、花壇の植栽以外に鉢植えや寄せ植えの花材としての魅力もあります。

ハゲイトウ(葉鶏頭)の管理と置き場所

ハゲイトウ(葉鶏頭)は陽当たりと風通りの良い環境、保水・排水性のバランスが良い土で育てます。

春~晩春に種を撒く一年草で、直根性で移植や根痛みを嫌うため草丈高めに育てる場合は観賞に使う鉢や庭に種を直播きした方が良いです。

また草丈は低めに育てる場合は矮性品種を選んだり、種まき時期を遅め(7月あたり)にするとコンパクトに育ちます。

晩夏~秋にかけて葉色が鮮やかな苗も店頭に並びますが、この時期に流通する苗の草丈はほぼ高くなることはありません。

以下は「庭植え」「鉢植え」の場合の説明です。

庭植え

極度に乾く土質は嫌うものの排水が悪いと根腐れしやすいため、植える場所は梅雨の多雨も想定して排水の良い場所に植えます。

排水が悪い場合は、堆肥類を混ぜて土質を作り替えるか、土を盛って排水を改善することで育てやすくなります。

梅雨明けは多水と弱光で軟弱になった枝葉が日差しで葉焼けを起こすことがあります。傷んだ部分を刈り込み新しい枝葉を芽吹かせますが、刈り込み過ぎはさらに弱らせるため注意が必要です。

鉢植え

鉢管理する場合の利点は移動できることです。基本的には直射日光の当たる場所で育て、梅雨時期のみ軒下など雨の当たらない場所へ移動します。

ハゲイトウ(葉鶏頭)の年間管理表
 
ハゲイトウ(葉鶏頭)の植え替え

ハゲイトウ(葉鶏頭)は植え替え等で根が傷むのを嫌うため、観賞時に使う鉢や花壇などに種を直播きした方が良いです。

またポットに種を撒いて苗を作る場合は、苗が小ぶりなうちに(ポットに根が回る前までに)定植した方が良く、根鉢を崩さずに植え替えを行います。

晩夏~秋に流通する葉色が鮮やかになった苗の植え替えも根を傷めないように植え替えます。

ハゲイトウ(葉鶏頭)の用土の選び方

ハゲイトウ(葉鶏頭)は市販の花や野菜用の培養土でも大丈夫です。またブレンドする場合は赤玉土小粒:腐葉土=7:3の土に植え替えもできます。

庭や花壇に植える場合は、梅雨時期の長雨も考慮して土を排水良くしておくと良いです。完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

ハゲイトウ(葉鶏頭)の水やり

ハゲイトウ(葉鶏頭)の水やりは一般的な花の水の与え方に準じます。

庭植え

庭植えの株は基本的に水やりの必要はありません。苗を定植した場合は、植えた直後にたっぷりと水を与えた後は、おおむね天候にまかせます。

ただし夏場に晴天が続くようであれば、土の乾きを確認しつつ夕方にたっぷりと水を与えます。

鉢植え

鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

ハゲイトウ(葉鶏頭)の肥料の与え方
庭植え

庭植えの場合は元肥のみで十分育ちます。

種を花壇などに直撒きする場合は、予め有機肥料などを元肥として混ぜ込んでから種まきします。

苗を定植する場合は、定植するまでに元肥を混ぜ込んでから植え付けます。

鉢植えの場合

植え替え時または種まき前に、元肥として根を傷めないような緩効性の化成肥料を混ぜて植え付けます。

鉢植えの場合は肥料が切れることがあるので、6月~8月あたりから2ヶ月に1回の頻度で緩効性の化成肥料を株元から離した株の周囲に与えます。

ハゲイトウ(葉鶏頭)の摘芯・手入れ
支柱立て

地植えのハゲイトウは品種によって草丈を高くなるため、強風で倒れたり茎が折れることがあります。

特に台風が来るようになる8月末~9月は草丈も高くなっていて倒れやすいので、ある程度の草丈まで育った段階で支柱を立てて倒れないようにします。

ハゲイトウ(葉鶏頭)の増やし方

ハゲイトウ(葉鶏頭)は「種まき」で増やします。

種まき

発芽適温は25℃あたりで、種まきは4月末~6月が適期で、市販の種か前年採種したものを使って種まきを行います。

また草丈を抑えたい場合は6月末~7月あたりに種まきするとコンパクトな草姿に育ちます。

先述の通りハゲイトウは直根性で移植を嫌うため、種を撒く場合は、庭や観賞時使う鉢やプランターに直撒きするか、ビニールポットで苗を育て早めに定植します。

庭・花壇への直撒き

種まき前に土の準備を行います。完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

もし完熟に達していない堆肥や有機肥料を混ぜる場合は、土に混入後さらに1~2週間おいてから種まきします。

土の準備ができたら、種をばら撒きまたは筋撒きします。もしばら撒きで雑草との区別がつかなくなる恐れがある場合は、筋蒔きにすることで発芽箇所に規則性ができ区別しやすくなります。

ハゲイトウの種は嫌光性種子(暗い状態でないと発芽ができない種子)なので、種まき後は種が埋まるように覆土し、土の中まで染み込むようにたっぷりと水を与えます。

発芽後本葉が出たあたりで間引きします。根が傷むのを嫌うため、間引きの際は土から引き抜くのではなくハサミなどで切ると周囲の根を傷めません。

間引きは葉が重なるくらいに育ったあたりで随時行い、最終的な株間が15~20㎝前後までは行った方が良いです。

ポット撒き

ビニールポットに培養土を入れ、種を撒いた後に種が埋まるように覆土し、たっぷりと水を与えます。

発芽後は直撒きと同様に間引きを行い、1ポットに1苗になるまで間引きつつ育成します。

なおポットで育てた場合の注意点として、直根性のためポット内で育ちすぎると、ポットから移植しても大きく育たなくなります。ある程度育てた段階で定植します。

ハゲイトウ(葉鶏頭)の病害虫

比較的病害虫に強いですが、害虫として「ヨトウムシ」「ナメクジ」、病気として「立枯病」が発生することがあります。

害虫

「ヨトウムシ」
ヨトウガの幼虫で日中は半地中や草陰などで休み、夕方以降から活動を始め葉や新芽を食害します。

日中は見つけにくいためヨトウムシを捕殺するためには夜間に調べます。

「ナメクジ」
日中は鉢の裏側・草陰・半地中のやや湿気のある場所で休んで、夕方から夜に葉や茎を食害します。

特に幼苗の時に被害にあうと生育に著しい影響を与えます。

病気

「立枯病」
連作障害の一種で、毎年同じ場所にハゲイトウまたは同じヒユ科のケイトウなどを植えることで土壌中の病原菌が増えて発生しやすくなります。

発生株を治療する方法がないため、発生しないように予め植える場所は毎年変えたり、堆肥類などを多く混ぜ込んで発生を抑えます。

また発生した場合は、数年間はヒユ科の植物を植えないようにして土壌の状態を回復させます。

退治・治療方法

「ヨトウムシ」「ナメクジ」ともに夕方や夜間に活動するため捕殺する場合は夕方や夜に行います。

また捕殺だけでは効率よく退治はできないので、食害が酷い場合は薬剤退治も行うと良いです。

「ヨトウムシ」については浸透移行機能のある薬剤やスプレー剤で「花き類」の登録と「ヨトウムシ」の記載(または「アオムシ」などの鱗翅目害虫の記載)がある薬剤を使うと退治できます。

また「ヨトウムシ」は予め浸透移行系の殺虫粒剤を株回りに撒くことで予防・退治ができます。

「ナメクジ」は貝類なので、専用の誘引剤で退治するか直接噴霧するスプレー剤などで退治します。

「立枯病」の発生株を治療することができないので、発生株は引き抜いて破棄し、別の場所に新しい株を植えます。また立枯病が発生した場所には数年間植えないようにします。

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