パキスタキスの育て方

パキスタキスの基本情報

科名:アカネ科 Rubiaceae
————————
属名:ベニサンゴバナ属(パキスタキス属)
   Pachystachys
————————
学名:Pachystachys lutea
————————
和名:ウコンサンゴバナ(鬱金珊瑚花)
————————
流通名:パキスタキス
————————
英名:Golden shrimp plant
   Lollipop plant
————————
原産:ペルー
————————
開花時期:5月~10月
————————
高さ:50㎝~1m
————————
耐暑性:強い
————————
耐寒性:弱い
————————

パキスタキスの特徴

パキスタキス属はカリブ海沿岸地域から中南米に12種あり多くは熱帯性の常緑低木です。

「パキスタキス」の名で流通する園芸植物は、パキスタキス属の中でも黄色の苞と白い花が特徴的なペルー原産のパキスタキス・ルテア(Pachystachys lutea)を指します。

花色・草姿ともにトロピカルな雰囲気があるため鉢花や夏の鉢花や花壇の演出に使え、白い花の寿命は短いもののホップを逆さにしたような鮮やかな黄色の苞は全ての花が咲き終わるまで色づたままなので長く華やかさを楽しめます。

本来は常緑低木で、熱帯植物のため屋外越冬は難しいものの室内に取り込むことで比較的簡単に越冬できます。

また最低気温さえ高ければ1年中開花することもでき、冬場の室内栽培でもある程度の気温を保つことができれば冬でも開花を楽しめます。

パキスタキスの管理と置き場所

パキスタキスは明るく風通しの良い場所で育てます。

春と秋は直射日光下が良いですが、真夏の日差しで葉が焼けることがあるので、朝日だけ当たる明るい日陰や落葉樹の下などの木漏れ日の場所に置くか寒冷紗で遮光して育てます。

寒さが苦手で冬に霜が当たると枯れるため、暖地では周年植えできますが、多くの地域では鉢栽培で楽しむか、地植えの場合は冬場に鉢へと植え替えて室内に持ち込みます。

また秋~冬の急激な温度変化で葉が落ちることもあるため、夜間温度が10℃を下回る前に室内に取り込み、冬期は室内の南側の窓辺に置きます。

なお冬場の最低気温が12℃以上を保てる場合は冬でも花が咲き続けます。

パキスタキスの年間管理表
 
パキスタキスの植え替え

パキスタキスの鉢花を入手した場合は二回り大きな鉢などに植え替えます。

越冬株の植え替えは4月~9月に行い、根詰まり解消のため2年に1回は植え替えた方が良いです。

植え替え作業は、鉢から根鉢を抜き取り土を半分くらい落として、傷んだ根などを取り除き、一回り大きな鉢へ植え替えます。

また株が大きくなり鉢のサイズアップができない場合は、根鉢の土を半分または全て落として傷んだ根と伸びすぎている根を整理し、同じ大きさの新しい鉢へと植え替えます。

地植えにしている株を越冬させる場合は、10月までに鉢へと植え替えて室内の明るい場所へ移します。

なお冬場の室温が高い場合は10月に鉢上げても良いですが、冬場の室温が低い場合は9月に鉢上げして1ヵ月程度養生し室内へ持ち込みます。

パキスタキスの用土の選び方

パキスタキスは市販の花や野菜用の培養土でも大丈夫ですが、排水を良くするために鹿沼土小粒や軽石小粒などを1~2割程度混ぜて排水良く作り替えると良いです。

またブレンドする場合は赤玉土小粒:鹿沼土小粒:腐葉土=4:3:3の土に植え替えもできます。

パキスタキスの水やり

パキスタキスの水やりは、生育期間中は一般的な草花と同じく土の表面が乾いたら鉢下から水が出るくらいたっぷり水を与えます。

ただし比較的水を好むため、生育が活発な夏場は水枯れしないように毎日水を与え、生育が止まる冬場は乾ききらないくらいに水やり頻度を抑え耐寒性を上げます。

春(生育期への移行期間)と秋(生育停止状態への移行期間)は徐々に水やりの量や頻度を変えていきます。

生育が始まる3月~4月に徐々に水やりの量・回数を増やしていきます。梅雨前までは土の表面が乾いてから数日後くらいに水を与えます。

梅雨時期は水やりをコントロールするため屋根下などの場所に移動し、梅雨明けとともに雨ざらしの場所に移動し、土の表面が乾けば毎日でも水を与えます。

9月~10月になり徐々に気温の下降に合わせて水やりのを量・回数を減らしていき、土の表面が乾いた数日後~2週間後へと間隔を広げていきながら水やりを減らし、屋内へと取り込みます。

冬期の水管理は、住宅の状態やエアコンの機能により住環境が違うように屋内での管理にも違いがでます。以下に室内管理の想定できる代表的なパターンで説明します。

屋内管理(室温が低い場合)

冬期に室温が低い場合は水やりを減らし、土を乾かし気味に管理することで耐寒性を上げて越冬させます。なお日中は室温が高くても夜間は室温が低い場合は生育が止まるため水やりを抑えます。

鉢土の表面が乾いてから5日~10日後を目安に水を与えるか、鉢を持ちあげて軽く感じるまで期間をあけて水を与えます。

日中室温が高い場合は、乾燥によるハダニの発生を防ぐため、定期的に株への霧吹きを行うと良いです。

屋内管理(室温が高い場合)

夜間温度も含め定温維持できる気密性が高い住宅の場合は冬でも土が乾きやすくなります。

設定温度で水やり頻度が変わりますが、鉢土の表面が乾いてから3日~7日後を目安に水を与えるか、鉢を持ちあげて軽く感じるまで期間をあけて水を与えます。

また室内は乾燥するため葉が傷んだり、ハダニが発生することがあるので、葉裏や幹など株回りへの定期的な霧吹きなども行うと良いです。

パキスタキスの肥料の与え方

パキスタキスの肥料やりは、植えるときの元肥や開花中の追肥を適宜与えます。

植え替えの際は、根を傷めない緩効性の化成肥料を元肥として土に混ぜて植え付けます。

追肥は生育が活発な4月~9月に1ヵ月に1回の頻度で緩効性の化成肥料を株元から離した株回りに与えるか、1ヵ月に1~2回薄めた液体肥料を与えます。

パキスタキスの剪定
花穂切り

気温が高い時期は断続的に開花を続け、咲き終わった花穂(苞)は茶色に変色するため適宜切り取ります。

すでに新芽が伸び始めている場合は新芽の上の茎ごと花穂を切り取り、新芽が出ていない場合は花穂下の1節分の葉とともに切り取ります。

なお苞は手で摘み取ることができますが、茎は手でちぎりにくいためハサミを使った方が良いです。

剪定・切り戻し

春先に屋外に出す際に枝を全体的に剪定することで、分枝して開花量が増えます。

晩夏までは成長に伴い株姿が乱れるようであれば適宜伸びすぎた枝を剪定していきます。

株が育ちすぎている場合は室内に取り込む前に株を切り戻ししますが、切り戻しは10月までに行います。

パキスタキスの増やし方

パキスタキスは挿し木で増やします。

挿し木

4月~9月に行います。木化している基部以外の枝を2節くらいで切り取って挿し穂を作り、挿し穂下端を斜めに切り直して水に漬けて給水させます。

鹿沼土細粒のような清潔な土を準備し、水をかけて湿らせた後、挿し穂を土に挿します。

発根剤などを使うと成功率が上がるのでお勧めです。ビニールなどで覆って保湿しつつ、日陰で水を与えながら管理します。

パキスタキスの病害虫

「アブラムシ」「カイガラムシ」「ハダニ」が発生することがあります。

害虫

「アブラムシ」は花・新芽・葉裏などに発生します。大発生すると葉が黒く汚れる「すす病」を併発することがあるため注意が必要です。陽当たりや風通しが悪い場所で発生量が増えることがあるので、育てている環境の改善も行うと良いです。

「カイガラムシ」は葉の付け根や枝などに多く発生します。アブラムシと同じく大発生すると葉が黒く汚れる「すす病」を併発することがあるため注意が必要です。陽当たりと風通しの悪い環境や極度に陽当たりが悪い場所で発生しやすくなります。

「ハダニ」は乾燥する環境下で葉裏にから広がっていき、葉裏から吸汁するため、葉色がかすれた様な色合いになります。

またハダニはクモの仲間なので、大発生すると蜘蛛の巣状の糸を張り始めます。室内管理中や軒下に置いて雨があたらない場所などの乾燥する環境で発生しやすいため、葉裏から株全体に定期的に水をかけることで発生を抑えることができます。

退治・治療

「アブラムシ」「カイガラムシ」「ハダニ」が発生した場合では、市販のスプレータイプの薬剤で「花き」の登録と対象病害虫の記載があるものを使っていけば退治できます。

また殺虫用の浸透移行性の粒剤を撒くことで予防や退治をすることができます。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする