ネフロレピス(タマシダの仲間)の育て方

ネフロレピス(タマシダの仲間)の基本情報

科名:タマシダ科 Nephrolepidaceae
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属名:タマシダ属(ネフロレピス属)
   Nephrolepis
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学名:Nephrolepis
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流通名:ネフロレピス
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英名:Macho ferns
   Swordferns
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原産:熱帯~亜熱帯地域
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株幅:~1m
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耐暑性:強い
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耐寒性:弱い
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ネフロレピス(タマシダの仲間)の特徴

ネフロレピスは、熱帯から亜熱帯地域の樹上・岩上や地生するタマシダ科タマシダ属(ネフロレピス属)のシダ植物類で、タマシダ(玉羊歯=Nephrolepis cordifolia)やセイヨウタマシダ(西洋玉羊歯=Nephrolepis exaltata)などが30種ほど原種があります。

園芸上「ネフロレピス」と呼ぶ場合は、セイヨウタマシダを主としてその他ネフロレピス属の原種や園芸品種も含めてネフロレピスとして流通しており、代表的な園芸品種に「ツデータマシダ(N. exaltata‘Teddy Junior’)」や「ボストンファーン(N. exaltata ‘Bostoniensis’)」などがあります。

なおタマシダは名の由来にもなった玉状の塊茎を地中に作りますが、セイヨウタマシダではこの塊茎はありません。

ネフロレピスは匍匐茎で新しい芽を出し群生株へと育ち、葉は品種によって直立または下垂するため、通常の鉢栽培だけでなく吊り鉢として演出もできます。

ネフロレピス(タマシダの仲間)の管理・置き場所

ネフロレピスの仲間は木漏れ日のような明るい日陰と風通しの良い環境を好みます。

タマシダやタマシダ系の園芸品種は地下に塊茎があるため比較的渇きに強いですが、セイヨウタマシダやその他の園芸品種は保水性と排水性のバランスの良い用土が良いです。

理想の管理は春から秋まで屋外管理し、冬期(最低気温が8℃~10℃)は室内に取り込む管理が良いですが、居住環境により同じ育て方ができないことがあるので「通年室内管理」「屋外(戸建て)」「屋外管理(ベランダ)」に分けて説明します。

通年室内管理

夏場に室温があまり高くならない場合は通年室内管理ができます。一方で高温になる場合は夏だけ屋外に出して管理します。

通年室内管理する場合は極力明るさを確保することが重要になります。

また乾燥した風にさらされ続けることを嫌うので、エアコンからの直接風が当たらない場所にします。

室内に陽が入る秋から春までの時期は、南側の窓辺のような窓越しの直射光が入る場所のレースのカーテン越しのような明るさが良いです。

室内の明るさは、陽が高くなる夏場に暗くなる傾向があります。夏場は朝日から数時間陽が当たるような東向きの窓辺などに置くと良いです。

朝日であれば葉焼けは起きにくいですが、陽が高くなり日差しが強くなると葉焼けが起きるので、レースのカーテン越しや遮光をした方が良いです。

屋外管理(戸建て)

暖かくなる4月~5月から屋外に出せます。暖地では3月末から屋外に出すこともできます。

置き場所は、木漏れ日のある落葉樹の下や明るい軒下が良いです。落葉樹の下の場合、梅雨時期など連日雨が降ると葉が蒸れて傷むため、軒下など雨が当たらない場所へ移動させます。

気温が下がる10月あたりから室内に取り込みます。取り込みは夜間の最低気温が10℃近くになる時期を目安にすると良いです。

以降は通年室内管理と同じく室内の明るい場所で越冬させます。

屋外管理(ベランダ)

暖かくなる4月~5月から屋外に出せます。暖地では3月末から屋外に出すこともできます。

ベランダの東西南北の向きで明るさに違いがでるため、北側ベランダだけは南向きの別の屋外に置いた方が良いです。

またベランダの外側の仕切りが柵かコンクリートの壁かによって、明るさと風通しも変わります。

コンクリートの壁の場合は鉢下に台を置いて高さを出すことによって、風通しと明るさを改善できます。

南向きのベランダの場合、真夏はほぼ直射日光が当たりませんが、春と秋はベランダ内に光が入り葉焼けが起きることがあります。

ベランダ内の置き場所や他の植物との配置を工夫して日陰を作るか遮光ネットで光を弱めた方が良いです。

西向きベランダは、夏の夜間の温度が高くなるため陽が落ちたあたりで打ち水をすると温度を下げることができ植物が弱りにくくなります。

気温が下がる10月あたりから室内に取り込みます。取り込みは夜間の最低気温が10℃近くになる時期を目安にすると良いです。以降は通年室内管理と同じく室内の明るい場所で越冬させます。

ネフロレピス(タマシダの仲間)の年間管理表
 
ネフロレピス(タマシダの仲間)の植え替え

植え替えは5月~8月に行い、2年に1回くらいの頻度で植え替えた方が良いです。

健康的な株では鉢土表面に細かな根が張り、土が崩せない状態になっていることがあります。

竹串や棒などを使い土を突き崩しつつ、鉢土を半分から1/3まで解し、一回り大きな鉢へ植え替えます。

ネフロレピス(タマシダの仲間)の用土の選び方

保水と通水の良いベラボンのようなヤシ繊維の植え込み材やミズゴケで植え替えができます。市販の観葉植物用の培養土でも大丈夫です。

またブレンドする場合は赤玉土小粒:腐葉土=7:3の土に植え替えもできます。

なお吊り鉢管理する場合はヤシ繊維の植え込み材を使うと鉢の重量を抑えることができます。

ネフロレピス(タマシダの仲間)の水やり

ネフロレピスの水やりは、基本的に鉢土の表面が乾いたら鉢下からでるくらいにたっぷり水を与えますが、他の観葉植物と同じく高温期の水やり頻度は多く、低温期は水やり頻度が減ります。

最低気温が15℃以上で生育が始まるので、生育期は鉢土の表面が乾いたら鉢下から水がでるくらいにたっぷりと水を与えます。

冬期で最低気温が8~10℃またはそれ以下になる場合はさらに水やり頻度を減らし、表土が乾いて3日~5日後に水を与えるようにします。

ただし葉が垂れるほどに乾かすと、葉柄を残して葉がバラバラに散り始め見た目が著しく悪化するため乾かし過ぎないように注意します。

各管理場所での注意点を以下に説明します。

通年室内管理

一般的には季節に応じて気温が変わるため、季節ごとに水やりの頻度が変わりますが、室内管理の場合は住居の気密性と空調の性能により季節とは異なる水管理になることがあります。

一年を通して人にとって適温維持され室温変化の少ない場合は、鉢土表面が乾いてから数日後あたりを目安に水を与えます。

一方で外気温と連動して室温も変わる場合は、晩春~晩秋までで最低気温が15℃以上の期間は、鉢土の表面が乾いたら鉢下から水がでるくらいにたっぷりと水を与えます。

冬期で最低気温が8~10℃またはそれ以下になる場合はさらに水やり頻度を減らし、表土が乾いて3日~5日後に水を与えるようにします。

室内管理の場合は年間通して葉水を与えた方が良いですが、室内では株全体をシャワーで濡らすことが難しいため、暖かい時期であれば一時的に屋外に出して全体に水をかけ、寒い時期であれば屋内管理のまま霧吹きなどで株全体を濡らすと良いです。

夏期屋外管理

基本的な水やりは鉢土の表面が乾いたら鉢下から水がでるくらいにたっぷりと与えます。

樹の下など雨があたる場所に置いた方が管理は楽ですが、梅雨時期の長雨に当たり続けると葉が蒸れて傷むため、連日雨が降るときは軒の下などに移動させます。

ネフロレピス(タマシダの仲間)の肥料の与え方

肥料を与える場合は生育期の4月~9月に、緩効性の化成肥料を置き肥として2ヵ月に1回の頻度で与えるか、薄めた液体肥料を月に数度与えます。

ネフロレピス(タマシダの仲間)の剪定

ネフロレピスの仲間は成長にともない古い葉が黄変したり茶色くなって散ります。見た目の良い状態を維持するために枯れた葉や傷んだ葉を適宜切り取ります。

ネフロレピス(タマシダの仲間)の増やし方

ネフロレピスは株分けで増やすことができます。

株分け

時期は5月~8月に行います。鉢から根鉢を取り出し、大き目のナイフやハサミなどで根鉢を分割して株分けします。

分割した株は植え替えに使う用土と同じもので新しい鉢へ植え替えます。

ネフロレピス(タマシダの仲間)の病害虫

害虫として「ハダニ」「アブラムシ」「カイガラムシ」などが発生することがあります。また虫ではないですが「ナメクジ」による食害もあります。

害虫

「ハダニ」は乾燥している状況で、葉裏に発生し、葉裏から吸汁するため葉の色が悪くなります。

またハダニはクモの仲間のため大発生すると蜘蛛の巣状の糸を張ります。

室内管理や屋根下など株が濡れない場所で育てている場合に発生しやすく、水やりや葉水の際に葉裏から株全体を濡らすだけでも発生を抑えることができます。

「アブラムシ」は新芽や若葉に多く発生します。また極度の日陰や風通しの悪い場所で軟弱な葉が増えると、アブラムシも大発生することがあります。

健康的な株作りのためにも環境を整えた方が良いです。

「カイガラムシ」は葉や葉の主軸周辺、新芽などに発生しやすく、風通しや陽当たりが悪い場合に発生しやすくなります。

大発生すると葉色が著しく悪くなり、すす病などを併発することがあります。

「ナメクジ」は屋外管理している場合に、株中心部の湿ったところにナメクジが集まることがあり、夕方から活動しつつ葉を食害します。

また鉢下や鉢内も湿っているためナメクジがいる場合があり、室内に取り込む前に確認した方が良いです。

退治・治療方法

「ハダニ」「アブラムシ」「カイガラムシ」の退治には、市販の薬剤またはスプレー剤で「観葉植物」と対象病害虫の記載があるものを使っていけば退治できます。

「ナメクジ」は貝類のため虫用とは別に専用の誘殺剤やスプレー剤があるので、それら専用薬剤を使って退治します。

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