メキシカンスィートハーブの育て方

メキシカンスィートハーブの基本情報

科名:クマツヅラ科
   Verbenaceae
————————
属名:フィラ属 Phyla
————————
学名:Phyla dulcis
————————
異名(synonym):
   Phyla scaberrima
   Lippia dulcis
————————
和名:アマミコウスイボク(甘味香水木)
————————
原産:メキシコ・中央アメリカ・ベネズエラ・コロンビアなど
————————
生育期間:5月~11月
————————
高さ:40㎝~60㎝
————————
耐暑性:強い
————————
耐寒性:弱い
————————

メキシカンスィートハーブの特徴

独特な芳香のある葉、ステビアよりも甘い中南米原産のハーブの一種です。

葉脈に沿って皺がよる葉と松かさのような白い花序も特徴的で寄せ植えなどの花材としても魅力のある植物です。

和名ではアマミコウスイボク(甘味香水木)、その他にも「Sweet Herb Mexican」、「Aztec sweet herb」、「Bushy Lippia」などの名前もあります。

以前はグランドカバーとして人気のヒメイワダレソウやイワダレソウなどとともにリッピア属でしたが、現在はフィラ属に分類されています。

なおヒメイワダレソウについては以下のリンク先を参照してください。

メキシカンスィートハーブの甘味成分と使い方

古くからメキシコや中央アメリカで薬用または甘味料として利用されてきたハーブで、蔗糖(一般的に使う砂糖のことです)の1000倍の甘味があるそうです。

甘味成分は「hernandulcin」と名付けられた成分で、メキシカンスィートハーブをヨーロッパに紹介したフランシスコ・エルナンデス(Francisco Hernández)にちなんで付けられています。

実際に葉を噛むとかなりの甘味を感じます。

利用する場合はシロップを作ります。

 1. 葉を収穫し乾燥させます。(生葉でも甘いですが草の香りを強く感じることがあります)
 2. 乾燥葉と水を鍋に入れて弱火にかけ煎じます。
 3. 30~40分間火にかけ、葉を取り除き、冷まします。

シロップを料理に使うことができますが、乾燥・生葉ともに草の香りがあるためハーブティなどの甘味料として使うと良いかもしれません。

当初虫歯なしで甘味を提供できるとして着目され、現在でも糖質を抑えるために甘味料として使えますが、樟脳を含むため生葉の常用は控えたほうが良いようです。

メキシカンスィートハーブの管理と置き場所

メキシカンスィートハーブは陽当たりが良く、排水の良い土や環境に植えます。

生育は早く春から植えている場合は夏を超えるあたりでツル状に60~70㎝くらい成長することもあります。

本来は低木から亜低木ですが、寒さに弱いため日本で一年草のグランドカバーか下垂する草姿を寄せ植えなどで楽しむことが多いです。

また熱帯性の植物のため苗の販売は4月~5月以降から店頭に並ぶことが多く、寒くなり始める11月~12月で寒さで傷みはじめますので、収穫または観賞期間は10~11月あたりまでとなります。

越冬させたい場合は、室内に取り込むなどの対策を行い0℃以下にならない環境へ移動させます。

メキシカンスィートハーブの年間管理表
 
メキシカンスィートハーブの植え替え

メキシカンスィートハーブは成長が早いため、苗の購入後は早めに一回り大きな鉢、または花壇などに植え替えます。

鉢植えの場合は、成長にともない株に対して鉢が小さくなるようであれば、年内にもう一度は植え替えを行い鉢のサイズを大きくします。

メキシカンスィートハーブの用土の選び方

市販の花や野菜用の培養土でも大丈夫ですが、本来は低木なので、バラの土や観葉植物用の土のような樹木を植えることを対象にした土で植えた方が良く育つこともあります。

またブレンドする場合は赤玉土小粒:腐葉土=7:3の土に植え替えもできます。

庭や花壇に植える場合は、完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。

メキシカンスィートハーブの水やり

メキシカンスィートハーブは生育が早い植物なので、生育期間中は水枯れしないように水を与えます。

庭植えの場合は、植えた直後にたっぷりと水を与えた後は、おおむね雨まかせでも大丈夫です。

鉢植えの場合は基本的に鉢土の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

メキシカンスィートハーブの肥料の与え方

肥料は置き肥・液肥を与えていきます。

与える頻度はお持ちの肥料の説明に準じたほうが良いですが、鉢植えならば置き肥なら月に1度は与えた方が良いと思います。

なお食用を目的とした場合は有機肥料タイプのものを与えていくと良いかもしれません。

メキシカンスィートハーブの剪定/刈り込み

一年草として扱う場合はあまり剪定や刈り込みは必要ありませんが、夏期に茂りすぎた場合は伸びすぎた部分を刈り込みます。

また越冬させる場合は、屋内取り込むには伸びすぎた枝が邪魔になるため、全体の半分~2/3くらいまで刈り込んでから取り込みます。

メキシカンスィートハーブの増やし方

メキシカンスィートハーブは挿し木・蔓伏せで増やすことができます。

挿し木

5月~7月あたりに行います。充実した枝を2~3節ほどで切り取ります。その後、挿し穂を水につけて給水させます。鹿沼土かバーミキュライトのような清潔な土を準備し、水をかけて湿らせた後、挿し穂を土に挿します。発根剤などを使うと成功率が上がるのでお勧めです。

日陰で水を与えながら管理します。新芽が出始めたら発根したと考えられますので、根を傷めないよう土ごと苗を取り出し、植え替えします。

蔓伏せ

伸びた枝を土の上に固定させることで根を出させてから分ける増やし方です。

適期は挿し木を同じく5月~7月あたりが良いです。

伸びた蔓(枝)を土の上に横たえてヘアピンや針金などで土に固定します。発根させたい部分に軽く土を被せて1ヵ月~2ヵ月で発根します。

発根後は根を気づ付けないように切り取り別の鉢や土に植え替えます。

メキシカンスィートハーブの病害虫

病害虫に強いですが、害虫として「カイガラムシ」「ハダニ」「ネキリムシ」が発生することがあります。

害虫

「カイガラムシ」は葉の付け根や茎、葉裏などに白い綿状のカイガラムシが発生します。特に日陰や風通りの悪い場所では大発生しやすいので置いている場所の環境改善を行うことも重要です。

「ハダニ」は通常屋外では大発生はしにくいですが、雨が降らない日が続いたり、屋根下で育てている場合などで発生しやすくなります。

鉢で育てている方は「ネキリムシ(コガネムシの幼虫)」が鉢の土で発生することがあります。

食用にするので消毒を避けたいという場合は、発生しにくい環境づくりに重点を置きつつ、防虫ネットで予防するなどの対策を行ってください。

もし消毒が可能であれば市販のスプレータイプの薬剤で「野菜類」と該当害虫が対象になっているものを使っていけば退治できます。

なお市販薬品のスプレーでも天然成分を主体としたものもありますので、防虫ネットや捕殺は面倒だけど、化学薬品は嫌だという方は天然成分の薬剤を使うのも良いかもしれません。

上記の害虫の中で「ネキリムシ」だけ土中に発生するので、植え替えて土をかえるか、「ネキリムシ」が退治できる粒剤を使う必要があります。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする