ユッカ・ロストラータ(Yucca rostrata)の育て方

ユッカ・ロストラータ(Yucca rostrata)の基本情報

科名:キジカクシ科 Asparagaceae
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属名:イトラン属(ユッカ属)
   Yucca
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学名:Yucca rostrata
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流通名:ユッカ・ロストラータ
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英名:Beaked yucca
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原産:米国南部~メキシコ北部
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高さ:~4.5m
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耐暑性:強い
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耐寒性:強い
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ユッカ・ロストラータ(Yucca rostrata)の特徴

ユッカ・ロストラータはアメリカ合衆国のテキサス州~メキシコのチワワ州・コアウイラ州に自生するユッカの一種で、太めの幹が立ち上がり頂部にシルバーグリーン~シルバーブルーの葉を茂らせます。

細い葉はボール状に茂り、枯れた葉が幹を覆っていく姿は日本の植物にはない特徴的な姿で、ユッカの中でも人気の品種です。

幹の高さ4.5mはくらいに育つことがあり、単幹1頭の株が多く流通しますが、分頭株や多頭株などと呼ばれる幹が枝分かれする株もあります。

地域によっては雪に対する配慮が必要なものの暑さ寒さに極めて強く、直射日光下であれば管理も極めて簡単な屋外観葉植物のため、自生地の雰囲気を活かしたドライガーデンのような植栽にお勧めです。

また生育が極めて遅いものの管理や手入れがほぼ必要く、乾燥地の植物のため多湿を嫌う一方で渇きにとても強いため鉢栽培でも育てやすい植物です。

ユッカ・ロストラータ(Yucca rostrata)の置き場所・年間管理

ユッカ・ロストラータは、北米の乾燥地で強い日差しの下に自生しているため、育てるさいも屋外の直射日光が十分当たる場所が良いです。

地域によって可・不可はあるものの鉢植え・庭植えどちらで育てることができ、乾燥に極めて強く管理が楽な植物ですが、生育速度が遅く、鉢栽培で1年間に数㎝、庭植えでも1年間に数㎝~十数㎝くらいしか成長しません。

小さな株から大きな株へ成長するまでに数十年単位で時間が必要になるため、予め「どこに」「どのように」植えて楽しみたいかを考えて、目的に応じた株選びをした方が良いです。

耐暑性だけでなく耐寒性も非常に高く、USDA hardiness zone を指標にすると自生環境の平均最低気温は-28.9℃~-23.3℃まで下がることがあるようです。

耐寒性のみ評価すると寒地でも地植えができそうに見えますが、降雪・積雪を想定していないため降雪量が多い地域や積雪期間が長い地域では鉢栽培で育て、降雪時期は雪の積もらない明るい場所へ移動させます。

一方積雪しても1日で雪が解けるような地域は年中屋外管理できますが、年によって降雪量が増えたり積雪期間が長引く場合は、頂部が傷むのを防ぐため保護が必要になります。

ユッカ・ロストラータ(Yucca rostrata)の年間管理表

ユッカ・ロストラータ(Yucca rostrata)の植え替え

ユッカ・ロストラータは成長が極めて遅く幹立ち株のほとんどが輸入株です。

輸入時は根が少ないか、幹だけの状態のものもあり、輸入後2年程度は鉢で発根・養生させてから流通しますが、低価格帯の未発根株も流通しているため、入手したユッカ・ロストラータの状態で地植え・鉢植えを判断します。

未発根株の場合は、数年間は地植えせずに水管理ができる鉢栽培して株が順調に生育し始めてから地植えに替えます。

庭植え

排水の良い場所または土を排水良く作り替えてから、庭植えします。

幹立ち株の場合は、根部より幹部の方が重く倒れたり、弱い風でも傾くことがあります。

そのため幹を支える太い根が成長するまでの期間(植え付け後から1~2年間)は倒れないように太めの木の支柱で支えた方が良いです。

鉢植え

入手したユッカ・ロストラータが発根量が少なかったり未発根の株の場合は、入手時の鉢のままで管理するか乾きやすいように小さな鉢に植え替えて倒れないように固定し、発根するまで1~2年程度管理します。

十分に発根している場合は、排水の良い用土であれば鉢ごと株が倒れないような大き目の鉢に植え替えができます。

植え替えは気温が高めの5月~9月が良く、温暖な地域では3~4月からの植え替えもできます。

生育も遅く過湿も嫌うため頻繁な植え替えは必要ありませんが、数年経って用土が劣化し排水性が悪くなった場合は植え替えを行います。

なお幹が高めの株の場合は、新しい鉢内に根付くまでは幹が倒れることがあるため、数年間は支柱などで固定した方が良いです。

ユッカ・ロストラータ(Yucca rostrata)の用土の選び方

排水の良い用土を使って植え替えます。

アガベや塊根植物用の培養土での植え替えが理想ですが、市販のサボテン用土で植え替えもできます。

またブレンドする場合は硬質赤玉土小粒:軽石小粒:鹿沼土小粒:ヤシ繊維=4:2:2:2の土に植え替えが良いです。

ヤシ繊維はベラボンようなアクの少ないものを使い、赤玉土は茨城用土などの潰れにくい硬質タイプを使います。

ユッカ・ロストラータ(Yucca rostrata)の水やり

ユッカ・ロストラータは乾燥地の植物で、幼株時から乾燥に強いですが幹立ちになりタンクが形成されると乾きに極めて強くなります。

また一方で根腐れしやすくなりますので、多湿を避ける水管理が必要です。

庭植えの場合はほぼ天候任せで水やりの必要はありません。

鉢栽培の場合は、夏期や気温が高い時期は適度に水を与えた方が生育も早くなります。

夏期は鉢土の表面が乾いたら鉢下から水がでるくらいたっぷりと与えます。

一方で春・秋は鉢土の表面が乾いて数日待ってから水を与えるくらいで良いです。冬場は月に一度ほどの水やりくらいで十分です。

ユッカ・ロストラータ(Yucca rostrata)の肥料の与え方

ユッカ・ロストラータは低肥料でも概ね問題なく生存しますが、生育速度を上げたい場合は生育が始まる5月から8月あたりまで緩効性の置き肥を鉢土の上に与えるか、液体肥料を水やりの際に与えます。

ユッカ・ロストラータ(Yucca rostrata)の増やし方

ユッカ・ロストラータは種まきで増やすことができます。なお株分けもできますが、稀に地際に子株ができることがある程度なので頻繁に株分けは行えません。

種まき

主に市販の種を購入して撒きますが、十分に生育した株は花を咲かせることがあるため、種が付いた場合は採種して種まきができます。

種まきは気温の上がる6月以降が良いです。ポットなどに硬質赤玉土の細粒か多肉植物用の土を入れ、種をまき種が隠れるくらいに薄く覆土します。

水を与え、発芽までは直射日光のあたらない明るい日陰に置きます。発芽は品種にもよりますが1~2週間くらいで発芽します。

ユッカ・ロストラータ(Yucca rostrata)の病害虫

比較的病害虫も少なく管理しやすい観葉植物ですが「カイガラムシ」が発生することがあります。また稀な例ですが「軟腐病」が発生することがあります。

害虫

「カイガラムシ」は葉裏や葉の付け根等に発生することがあります。親虫は葉の表面に固着して吸汁し、大量に発生すると葉色が悪くなります。

退治方法

カイガラムシの成虫は剥がれ落ちると生きていけないため、柔らかい布などで親虫を減らした後、後述の通り消毒しながら退治します。

もし発生した場合は、市販のスプレータイプの薬剤で「観葉植物」と「カイガラムシ」が対象になっているものを使っていけば退治できます。

病気

「軟腐病」の発生は発見が遅れがちで枯死することがあるため注意が必要です。

他の植物では感染源にならないよう破棄することもありますが、ユッカ・ロストラータは高額なことも多く治療が良いかもしれません。

発症した場合は成長がとまり、若干葉色が悪くなることがあります。

生長点から腐り始めている場合は、新芽やその周囲の若い葉が黄緑色や黄色く色落ちして、葉の付け根が腐るため簡単に抜き取れるようになります。この際に軟腐病の特徴として腐敗臭がします。

治療方法

治療にあたって腐り始めている部分を全て取り除くため、一先ず抜き取れる葉を全て除去し、続いて患部をスプーンやスポイトなどを使い除去します。

ユッカ・ロストラータは葉先がやや鋭いため、厚手の服や革手袋や厚手のゴム手袋などを準備して作業にあたった方が良いです。

患部の除去が終わったら、ストレプトマイシン剤やボルドー剤など軟腐病に対する薬剤を患部および全体に噴霧します。

3週間かけて週一回薬剤をかけて様子を見つつ、病気進行が収まるまで続けます。

患部が窪みになり水が溜まりやすくなるため、鉢植えならば雨の当たらない明るい場所へ移動し、地植えならば治療中はビニールなどで簡単な防水を行います。

生長点が枯死した場合でも回復できれば、当たらな芽が吹き分頭株として立ち直ります。

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