レモンバーム

 基本情報

科名:シソ科 Lamiaceae
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属名:コウスイハッカ(メリッサ)属 Melissa
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学名: Melissa officinalis
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和名: コウスイハッカ( 香水薄荷)、セイヨウヤマハッカ(西洋山薄荷)
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原産:南ヨーロッパ
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高さ:~80㎝
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耐暑性:強い
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耐寒性:強い
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レモンと同じシトラールという香りの成分を含み、レモンような香りと香水や香油という意味のbalmでレモンバーム(Lemon balm)と呼ばれています。

学名のofficinalis(オフィシナリス)も「薬用の」という意味があり、古くから薬用ハーブとして利用されてきました。シトラールの効果に抗菌・抗炎症作用や鎮痛・沈静作用などがあり、慢性の気管支炎や頭痛、不眠などへの効果から昔からティーなどで広く親しまれています。

またレモンバームなどシソ科の植物に含まれるロズマリン酸が花粉症などのアレルギーに効果があるという研究結果もあるようです。

 年間管理表
 育て方/置き場所

レモンバームはシソ科の耐寒性多年草です。冬場に地上部は枯れますが、暖かくなると株元から芽が出て、毎年利用できます。また陽当たりを好む植物なので、基本的には屋外で良く陽の当たる場所であれば地植え・鉢植えどちらでも問題なく育ちます。

葉は3月あたりの寒さが落ち着いた頃から出始め、根が張れる場所なら夏場の生育は旺盛です。寒くなり始める11月あたりから生育がとまりで、寒さや霜などで上部の葉は枯れ始めます。

地植えの場合、植えた場所を拠点に多少周囲まで広がりますが、同じシソ科のミント(Minta属)のように旺盛に地下茎を伸ばさないので、何年も放置しない限り地植えでもコントロールは可能です。

 植え替え

レモンバームは鉢植え・地植えどちらでも育てられますが、高さと横幅ともに大きく育つハーブで根詰まりが早いので、鉢植えの場合は根詰まりがおきたら植え替えをしてください。

苗を2回りくらい大きな鉢、またはプランターに植え替えます。鉢植えの場合は成長が遅くなったり、葉の色が悪くなった場合には根詰まりを考えて植え替えしたほうが良いです。

 用土の選び方

鉢植えの場合は市販の花と野菜の土、またはハーブの土で植え替えできます。

庭や花壇に植える場合は完熟の牛糞や馬糞堆肥と肥料を周囲に混ぜ込み植えてください。何も混ぜずに固い土の場合でもレモンバームの生命力は強いので枯れにくいですが、生育速度が極めて遅くなりあまり収穫が期待できなくなります。

土に空気が入り、柔らかくなるだけでも育ち方はかなり良くなります。

 水やり・肥料の与え方

レモンバームは特に夏場の生育速度がはやい植物なので、生育期間中は水も肥料も必要です。

鉢植えの場合は基本的に鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えてください。バジルがかなり茂ってくる7~9月では土が乾く頻度がかなり早いので水枯れしないように気を付けてください。

庭植えの場合は植えた当初はおおむね雨まかせでも大丈夫ですが、夏場は夕方あたりにたっぷりと水を与えてください。ただし植えて数年経っている株は、よほど好天続きでない限り夏場でもほぼ水やりの必要はないかもしれません。

肥料は置き肥・液肥を与えていきます。与える頻度はお持ちの肥料の説明に準じたほうが良いですが、鉢植えならば置き肥なら月に1度は与えた方が良いと思います。

なお食べることが目的なので、気になる方は有機肥料タイプのもので与えていくこともお勧めです。

 収穫/刈り込み

レモンバームは夏場の生育中に随時切り取りながら収穫できます。収穫後、フレッシュハーブまたはドライハーブとして利用してください。

また夏場に茂りすぎた場合に切り戻すことができるので、切り戻しとともに大量収穫することもできます。ただしその際には株の半分くらいにして葉を株に残しつつ切り戻してください。

レモンバームはレモングラスと比べると葉質が柔らかいためかドライハーブの香りが飛びやすいので、ティーなど香りを強く出したい場合はフレッシュハーブの方がお勧めです。

冬場に根元を残して休眠するので、11月あたりで寒さが強くなる前に、刈り込みを兼ねて収穫することもできます。

 増やし方

増やし方は種まき、挿し木、株分けができます。

種まきは、市販の種まき用土に種を撒き、間引きをしつつ本葉が2~3枚になったら培養土や庭に植えなおします。また発芽能力が高いので培養土に直接まいても大丈夫です。

挿し木は5月~7月あたりに行います。

3~4節ほどで切り取り、土に挿すところまでの葉を落とします。その後、挿し穂を水につけて給水させます。挿し木用などの清潔な土を準備し、湿らせた後、挿し穂を土に挿します。発根剤などを使うと成功率が上がるのでお勧めです。

株分けは2月~3月あたりの生育期の初期あたりが良です。

まず株を掘りあげ、根を温存しつつ土を少し落とします。3月あたりでは地上に小さな新芽が沢山芽吹いています。数年経った株であれば、新芽がいくつも出ているウはずなので2~3芽くらい付けた状態で根とともに分けると株分けできます。

 病害虫

レモングラスは病害虫に悩まされることがほとんどないハーブですが、害虫がまったくいないわけではないので紹介します。

レモンバームの害虫は「ベニフキノメイガ」「ヨトウムシ」「ハダニ」「ネキリムシ」が発生することがあります。

「メイガ」は種類により食害パターンが異なりますが、「ベニフキノメイガ」の場合は葉は巻き取るようなの症状がおきます。

「ヨトウムシ」は日中は株元や半地中で休み、夕方から夜間にかけて葉を食害します。幼虫が大きくなると葉がなくなるほど食害される場合もあるので早めの対処が重要です。

「ハダニ」は通常屋外では大発生はしにくいですが、雨が降らない日が続いたり、屋根下で育てている場合などで発生しやすくなります。

鉢で育てている方は「ネキリムシ(コガネムシの幼虫)」が鉢の土で発生することがあります。

食べるものなので消毒はしたくないでしょうから、防虫ネットで予防するか捕殺または傷んだ葉と一緒に除去することになります。ただ生育旺盛なため害虫の発生も気にならないことも多いです。

もし消毒が可能であれば市販のスプレータイプの薬剤で「野菜類」と該当害虫が対象になっているものを使っていけば退治できます。

なお市販薬品のスプレーでも天然成分を主体としたものもありますので、防虫ネットや捕殺は面倒だけど、化学薬品は嫌だという方は天然成分の薬剤を使うのも良いかもしれません。

上記の害虫の中で「ネキリムシ」だけ土中に発生するので、植え替えて土をかえるか、「ネキリムシ」が退治できる粒剤を使う必要があります。

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