アリウム・トリケトラム/ミツカドネギ(三角葱)の育て方

 アリウム・トリケトラム/ミツカドネギの基本情報

科名:ヒガンバナ科 Amaryllidaceae
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属名:ネギ属(アリウム属) Allium
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学名:Allium triquetrum
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和名:ミツカドネギ(三角葱
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英名:Three-cornered leek, Onion weed
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原産:南西ヨーロッパ、北西アフリカ
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開花時期:3月~5月
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高さ:20㎝~60㎝
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耐暑性:―
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耐寒性:強い
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 アリウム・トリケトラム/ミツカドネギの特徴

春に白い花を咲かせるネギ属(アリウム属)の球根植物で、花は釣鐘状に数輪咲かせ花弁に濃いグリーンが一筋入ります。

和名の「ミツカドネギ(三角葱)」や学名の「triquetrum(トリケトラムまたはトリクエトルム、トライクィートラムなど)」の名が示す通り、花茎や葉の断面が三角になっています。

自生地は南西ヨーロッパ、北西アフリカ、カナリア諸島などで、海抜850mくらいの牧草地や川岸、道の端などに自生しているそうです。

草丈は障害物のない平地では30㎝前後ですが、本来自生している牧草地のように周囲に草丈の高い植物があると60㎝前後まで伸びあがることがあります。

イギリス諸島、オーストラリア、ニュージーランド、米国南部の州などに導入されており、強健で増えやすい性質からいくつかの地域では有害雑草指定されているようです。

 アリウム・トリケトラム/ミツカドネギの
 食べ方と注意点

アリウム・トリケトラムは花を観賞するだけでなく、花・葉・球根を食用にすることができ、ワイルドオニオンの一種としてハーブとしての利用ができます。

葉を傷つけるとネギのような香りがあり、ネギよりやや香りが薄いためアリウム・トリケトラムの方が食べやすい場合もあります。

葉の形状はニラに似ており、ニラと同じような利用ができます。また球根はワケギやアサツキあるいは野草のノビルような利用ができます。

注意点:アリウム・トリケトラムの葉とよく似ているニラの場合では、スイセンの葉をニラと間違って誤食する例があります。スイセンの仲間はヒガンバナと同じ毒性があり食中毒を引き起こします。間違えないように植えた場所に目印をつけるなど十分注意が必要です。

花以外の見た目上の大きな違いとしてアリウム・トリケトラムの葉の根元側は花茎と同じく三角になっていますが、スイセンの葉にこの特徴はありません。

また病害虫が発生した際に花を観賞する場合の消毒と食用とする場合の消毒の違いもあるので、食用にすることを想定した薬剤を選択する必要があります。

 アリウム・トリケトラム/ミツカドネギの
 管理/置き場所

アリウム・トリケトラムは秋に球根を植え、春に開花し、夏に葉を枯らして休眠します。

植える場所は、休眠期の夏に地温が上がりにくい排水の良い土壌で、陽当たりと風通りの良い環境が理想です。性質が強健で元々川岸などに自生しているため、明るい日陰やある程度の土の多湿でも育つため、落葉樹の下のような環境であれば日陰でも良く育ちます。

増えやすい性質もあり、こぼれ種と分球により生える面積が年々増えていきます。増えることを想定して植える場所を決めるか、増えた場合は間引く必要があります。また花後に花穂を摘み取り種を付けさせないようにすると比較的制御しやすくなります。

周囲一帯にアリウム・トリケトラムが増えないように間引き・移植・株分けの際は、外れた小さな球根やこぼれた種を周囲に撒き散らさないようにします。

 アリウム・トリケトラム/ミツカドネギの
 育て方/年間管理
 アリウム・トリケトラム/ミツカドネギの植え替え

生育期前(9月~10月あたり)の植え替えが良いです。また植え替えの際に球根の分球なども一緒に行うと良いです。

地植えの場合はほぼ放置ですが、大群生した場合などは上記の時期に地面から堀り上げて植え替えてください。

植え替えの際に親球根の周囲についている小球根が外れて土に紛れ意図せず増えることもあるので、増やす意図がない場合は堀り上げなどの作業を丁寧に行うと良いです。

鉢植えの場合は、数年間は放置で構いませんが、やがて鉢内が球根で埋め尽くされるので、分球も含めて植え替えを行います。

 アリウム・トリケトラム/ミツカドネギの
 用土の選び方

庭や花壇に植える場合は、完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けてください。

鉢植えの場合は、市販の花や野菜用の培養土でも育ちます。市販の用土でやや過湿気味になる場合は、赤玉土の小粒を3~4割混ぜて通水を上げて植えると良いです。またブレンドする場合は赤玉土小粒:腐葉土=7:3の土に植え替えもできます。

 アリウム・トリケトラム/ミツカドネギの
 水やり/肥料の与え方

水やり:庭植えの場合は、植えた直後にたっぷりと水を与えた後は、おおむね雨まかせでも大丈夫です。

鉢植えの場合は基本的に鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えてください。

肥料:地植えの場合それほど肥料を必要としませんが、植え付ける前に元肥として緩効性肥料を植え付け場所の周囲に施してください。一方で鉢植えの場合は、植え付け時の元肥以外に、葉が出始める頃にリン酸が多い肥料を与え、開花後にカリウムが多めの肥料を与えて下さい。

 アリウム・トリケトラム/ミツカドネギの増やし方

アリウム・トリケトラムは球根を分球・種まきで増やします。

分球:植え替えの時期と同じく9月~10月上旬あたりに行います。1球ごとに分けることもできますが、小さな球根では開花できないことがあるため、直径1㎝以下の大きさの球根までは分けないほうが良いです。

種まき:9月~10月に種まきします。種は開花後から初夏のまでに1㎜前後の黒い小さな種ができたものを採種します。

種はそのままばら撒いても育ちますが、雑草化をさけるならばポットで苗を育てて定植した方が良いです。

ビニールポットに培養土を入れ、種を数粒撒き、軽く覆土をしてから水を与えます。発芽後もそのままポットで育てて、ある程度球根が育った段階で定植します。

 アリウム・トリケトラム/ミツカドネギの病害虫

病害虫に極めて強いですが、「アブラムシ」が発生することがあります。

葉裏・新芽・花芽など生長点付近から広がるように発生しますが、特に極度の日陰などで発生しやすくなるため、環境改善も重要になります。

市販のスプレータイプの薬剤で「花き」の登録と「カイガラムシ」が対象になっているものを使っていけば退治できます。

また食用にする場合は、一般の薬品類を使いたくない場合は天然成分由来の薬剤などもあります。いずれの場合もネギを参考にして薬剤を選びます。

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