ピンクノウゼンカズラ(ポドラネア)の育て方

ピンクノウゼンカズラの基本情報

科名:ノウゼンカズラ科 Bignoniaceae
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属名:ポドラネア属 Podranea
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学名:Podranea ricasoliana
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異名(Synonym):Pandorea ricasoliana
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和名:リカソルノウゼン
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流通名:ピンクノウゼンカズラ
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英名:Pink trumpet vine
   Port St Johns creeper
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原産:南アフリカ・マラウイ・モザンビーク・ザンビア
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開花時期:6月~9月
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高さ(樹の長さ):~10m
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耐暑性:強い
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耐寒性:やや弱い
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ピンクノウゼンカズラの特徴

ピンクノウゼンカズラはアフリカ南部~南東部原産のツル性木本植物で、7月~8月(暖かい地域は6月から)に濃ピンク~薄ピンク色のトランペット型の花を連なるように咲かせ、株が大きく育つとツルとともに花穂も垂れ下がるように開花します。

葉はノウゼンカズラと同じく複葉で、ツヤのある7~11枚の小葉が集まった奇数羽状複葉で、自生地では常緑樹ですが、日本では冬に落葉します。

春から夏にかけてツルを大きく伸ばして周囲の木や壁などの障害物をよじ登り、障害物がなくなるとツルを垂らして茂るか地表を便って茂ります。また大きく育つと根元は太い幹になります。

和名は「リカソルノウゼン」ですが使われることはほぼなく、主に「ピンクノウゼンカズラ」の名で呼ばれることが多いです。

「リカソル」は種小名の「ricasoliana」に由来し、イタリアの軍人・政治家で植物学や農業にも貢献したヴィンチェンツォ・リカソーリ(Vincenzo Ricasoli:1814~1891)に由来しています。

ピンクノウゼンカズラの管理と置き場所

ピンクノウゼンカズラは陽当たり、風通し、排水性の良い環境で育てます。排水の良い土壌を好みますが、砂質のような排水性ではなく腐植質を含み適度な保水性も必要です。

自生環境では他の樹木の下で種が芽吹き、巻きひげはなく枝を巻き付けながら成長し、周囲の樹木を這い上って陽の当たる場所までツルを伸ばして開花します。

そのため日陰でも良く育ちますが、ツルが伸びるばかりで開花しないことがあるので、特に鉢植えの場合は良く陽の当たる場所に置くようにします。

ピンクノウゼンカズラの花はノウゼンカズラほど大きく重くもないため、ノウゼンカズラのように花房(花序)が垂れ下がりながら咲くというよりは、横に広がりながら開花するか、枝ごと枝垂れて開花します。

支えがない場合はツルが地を這うように茂るため、支柱などで行灯仕立てにして支えるか、場所があれば「藤棚」のように棚で支えることで開花を美しく見せることができます。

以下は越冬を想定した上で地植え・鉢植えの場合の注意点などについて説明です。

地植え

熱帯原産のため冬の寒さは苦手で暖地や温暖地の一部では落葉しつつもツルが越冬しますが、多くの温暖地では雪霜などによって地上部が枯れることが多いです。

地上部が枯れても株元や根を凍結から守れば地際から新しい芽を出して開花できるため、熱帯の花木とはいえ冬期の防寒次第で植栽地域が広がります。

鉢植え

鉢植えの場合は移動しやすいので、屋根下などの雪や霜が当たらない場所に移動することでツルも越冬できることがあります。

一方で鉢土が凍りやすくなるため、冬期の水やりを抑えることで耐寒性を上げるとともに土の凍結を防ぎます。

ノウゼンカズラ(凌霄花)の年間管理表
 
ピンクノウゼンカズラの植え替え

ピンクノウゼンカズラは熱帯原産の植物なので寒さが落ち着いてから植え替えを行った方が良く、植え替え時期は目安として3月末~4月です。

熱帯原産ですが冬に株元や根を凍結から守れば地植えでき、またツルが大きく生育するため地植え管理が楽ですが、鉢植えで毎年剪定と植え替えを行いつつコンパクトに育てることができます。

庭植え

株の根回りの大きさにより掘る深さや大きさが変わります。

およその目安で、根回りの大きさの2~3倍の広さに穴を掘り、掘り返した土に対して完熟堆肥を2~3割と完熟肥料を混ぜて植え付けます。

鉢植え

成長にともない株に対して鉢が小さくなるようであれば、適宜植え替えを行い鉢のサイズを大きくします。

鉢をサイズアップできなくなったら、4月のあいだに鉢から取り出し土を1/3~半分程度落として根を切って整理し、同サイズの新しい鉢に新しい用土を使って植え替えます。

なお根詰まりしやすいため、植え替えは毎年行った方が良いです。

ピンクノウゼンカズラの用土の選び方

庭や花壇に植える場合は、完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けてください。

鉢植えの場合は市販の花用の培養土でも育ちますが、大き目の鉢に植え替える場合は、植え付け初期が土の過湿ぎみになるため根腐れを起こすことがあるので赤玉土小粒や鹿沼土小粒を2割ずつ混ぜてから使うと良いです。

混合して土を作る場合は、赤玉土小粒:腐葉土=7:3を混合した土、または赤玉土小粒:黒土:鹿沼土小粒:腐葉土=3:3:2:2に植え替えます。

ピンクノウゼンカズラの水やり

ピンクノウゼンカズラの水やりは一般的な樹木の水の与え方に準じます。

ただし極度の水枯れを嫌い、特に枝先が傷むほどの水枯れをすると当年の開花が見込めなくなることがあるため、地植え・鉢植えともに水枯れに注意が必要です。

庭植え

概ね天候に任せた水やりとなりますが、植えた時期から一年間は土の状態を見つつ水を与えます。

また夏は地植えであっても乾きやすくなるため、表土が乾く場合は夕方にたっぷりと水を与えます。

鉢植え

年間を通して鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

特に夏場は根の張り具合によっては1日1~2回水やりが必要になることがあります。

一方で冬は土の凍結につながるため、水やり頻度を減らしたり、比較的暖かい日の午前中に水を与える等の工夫をすると越冬しやすくなります。

ピンクノウゼンカズラの肥料の与え方
元肥

植えるときに完熟有機肥料と完熟堆肥を元肥として根回りに混ぜ込みます。

もし完熟まで至っていない(発酵や未発酵の)有機肥料や堆肥の場合は、根や根鉢に直接当たらないように混ぜて植え付けます。

追肥

追肥は新芽が伸びだす4月~5月に緩効性の化成肥料や有機肥料を根元から離した株の周囲に、有機肥料を与えます。

鉢植えの場合は肥料がきれることがあるので、葉がある期間は2月に一回の緩効性の化成肥料を鉢の縁側に与えます。

ピンクノウゼンカズラの剪定

ノウゼンカズラの花は春から伸びた枝に花芽ができ、7月あたり(暖地は6月から)から開花を始めます。

そのため剪定は新芽が伸びだす前の3月末に行います。また開花後は伸びたツルを適宜剪定します。

ピンクノウゼンカズラの増やし方

ピンクノウゼンカズラは挿し木で増やします。

挿し木

時期は6月~7月上旬あたりに行い、その年に伸びた枝(新梢)から挿し穂を作ります。

新梢のうち、未熟な先端部分の枝と木質化しかけた根元部分を除いた部分の枝を使います。

葉が3枚毎に枝をカットし、良く切れるカッターやナイフで下側切り口を給水しやすいように斜めに切ります。

その後挿し穂を数時間水につけて給水させます。挿し穂の一番下の葉を取り除き、残った2枚の葉は、蒸散を抑えるため半分まで切ります。

鹿沼土細粒か赤玉土細粒のような清潔な土を準備し、水をかけて湿らせた後、挿し穂を土に挿します。

発根剤などを使うと成功率が上がるのでお勧めです。ビニールなどで覆い保湿しつつ、日陰で水を与えながら管理します。

ピンクノウゼンカズラの病害虫

害虫として「アブラムシ」などが発生することがあります。

害虫

「アブラムシ」は新芽や花に発生しやすいです。特に陽当たりや風通しの悪い環境で発生しやすくなります。特に夏場で日陰で管理しているときは、風通しが悪く土が過湿気味になりやすいので注意が必要です。

退治・治療方法

「アブラムシ」の退治には、市販のスプレータイプの薬剤で「花き」の登録と対象病害虫の記載があるものを使っていけば退治できます。

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