ダイモンジソウ(大文字草)の育て方

 ダイモンジソウの
 基本情報

科名:ユキノシタ科 Saxifragaceae
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属名:ユキノシタ属 Saxifraga
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学名: Saxifraga fortunei
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原産:日本列島~中国・朝鮮半島・樺太など
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開花時期:9月中旬~11月
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高さ:5㎝~40㎝
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耐暑性:やや強い
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耐寒性:強い
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 ダイモンジソウの特徴

ダイモンジソウは「大文字」の名の通り「大」の字を思わせる細い5弁花が特徴的で、山陰の斜面や渓流沿いなど湿り気のある環境に自生する多年草です。

和の雰囲気があるダイモンジソウですが、品種改良も盛んで多くの園芸品種が作られていて、自然界では見られないような大輪花や濃い紅色、八重咲き花などがあり花形だけでなく花のバリエーションも魅力です。

昨今の洋風庭園では日陰に耐える性質を活かしシェードガーデンの花材として植えることもできます。

 ダイモンジソウの
 種類/仲間

ダイモンジソウは自生地ごとの葉の大きさ、切れ込みの入り方、葉の形状から変異種も多くあります。

ミヤマダイモンジソウ(Saxifraga fortunei var. alpina

中部以北の日本列島の亜高山帯~千島列島などの湿った日陰などに自生する高山性の品種。株姿がやや小ぶりです。

イズノシマダイモンジソウ(Saxifraga fortunei var. jotanii

房総半島南部と伊豆諸島の湿った岩場に自生する品種で、葉が厚く弾力があります。開花は遅く、他の品種が9月~11月に咲くのに対してイズノシマダイモンジソウは11月~1月に開花します。

ナメラダイモンジソウ(Saxifraga fortunei var. suwoensis

中部地方以西~九州の山陰で自生しており、葉の形がカエデに似ているためカエデダイモンジソウとも呼ばれます。

ヤクシマダイモンジソウ(Saxifraga fortunei var. obtusocuneata f. minima

屋久島のみに自生する品種で、草丈が開花しているときでも10cm前後ほどの極小品種です。

ウチワダイモンジソウ(Saxifraga fortunei var. obtusocuneata

東北以南の日本列島で、渓流沿いの湿った岩場に自生しています。「うちわ」の名の通り団扇かへらのような形の葉が特徴的です。渓流沿いのため水枯れを嫌います。

ジンジソウ(Saxifraga cortusifolia)

関東地方以西の山陰に自生するダイモンジソウの近縁種で、「大」文字ではなく「人」文字のような花弁から「人字草」の名がついています。

 ダイモンジソウの
 管理/置き場所

ダイモンジソウは先の説明の通り、常に湿り気のある環境が好みで、苔むした石組みの間や明るい日陰で育てて下さい。

ただし庭植え・鉢植えともに雨などで泥が跳ねあがる環境では病気の発生が考えられるので、他の日陰植物と混色したり、風通りを良くしておくなどの対処をすると良いです。

鉢植えで置き場所を変えることができる場合は、4月~10月の生育期は葉が焼けない程度の明るい日陰に置き、高温になる夏期だけは直射日光の当たらない場所へ移動してください。

 ダイモンジソウの
 育て方/年間管理
 
 ダイモンジソウの植え替え

ダイモンジソウの植え替えは3月あたりに行います。特に鉢植えの場合は毎年植え替えか株分けを行ってください。

鉢から株を抜き取り、古い土と傷んだ根を取り除き、新しい用土で植え替えます。植え替えの際に株分けができそうな場合は同時に行います。

地植えの場合は3~4年は植えたままで大丈夫ですが、数年に一度は掘りあげて、土を作り直した上で株分けを行って植えなおします。

 ダイモンジソウの
 用土の選び方

市販の山野草用の培養土でも大丈夫ですし、ブレンドする場合は桐生砂小粒・赤玉土小粒・鹿沼土小粒を等量混合し、水苔を細かくしたものを2割混ぜた土に植え替えもできます。

庭や花壇に植える場合は、完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥、肥料などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けてください。

 ダイモンジソウの
 水やり/肥料の与え方

ダイモンジソウの水やりは庭上ではほぼ必要ありません。鉢植えの場合は一般的な花の水やり通りで大丈夫ですが、土全体が乾ききらないうちに水を与えてください。

ダイモンジソウは先の説明の通り水を好みますが、過湿は病気や生育不良の原因となりますので、生育期は基本的に鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えてください。

肥料は春の植え替えの際に緩効性化成肥料を元肥に加えてください。春に肥料を与えすぎると、夏場に外側の葉から傷むので施肥量は抑えます。以降は秋の開花後に置き肥を施してください。

肥料を与える量はお持ちの肥料の説明に準じたほうが良いですが、ダイモンジソウは肥料をそれほど必要としないため多量・多頻度は避けてください。

 ダイモンジソウの
 剪定/刈り込み

ダイモンジソウは剪定や刈り込みは必要ありませんが、冬期に葉が枯れた際に取り除いたり、咲き進んだ花の手入れは行ってください。

なお種をとるなどの目的がない場合は、花は半分ほど咲いたら花茎の付け根から切り取ることで手入れを簡単にすませることができます。

 ダイモンジソウの増やし方

ダイモンジソウは種まきか株分けで増やします。

種まきは開花後に種を採種し、すぐに撒くか、翌年の2月あたりに撒いてください。

種まきの用土は山草の土などに撒きます。山草の土に種まき後に2~3㎝ほど鹿沼土の細粒で覆土します。種まき後は日陰に置き十分に水を与えて管理します。順調に育てばその年の秋には開花します。

株分けは3月の植え替えの際に同時に行うと良いです。

鉢から株を抜き取り、古い土と傷んだ根を取り除き、新しい用土で植え替えますが、その際に3~4芽ごとに株を分けることで株分けができます。

 ダイモンジソウの病害虫

病気として「灰色かび病」、害虫として「ヨトウムシ」「アブラムシ」が発生することがあります。

「灰色かび病」は過湿状態で発生しやすく、灰色の胞子が特徴的な病気で周囲に感染しつつ葉や茎が枯れていきます。過湿な環境の改善が重要です。

「ヨトウムシ」は日中枯れ葉の下や土中で隠れ、夜間に活動をはじめ葉などを食害します。

「アブラムシ」は葉裏や茎の付け根などにも発生しますが、花茎が伸びる際や新芽に大発生することがあります。

どちらも捕殺するか、市販のスプレータイプの薬剤で「花き」の登録と該当害虫が対象になっているものを使っていけば退治できます。

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