セントポーリア(アフリカスミレ)の育て方

セントポーリア(アフリカスミレ)の基本情報

科名:イワタバコ科 Gesneriaceae
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属名:ストレプトカーパス属 Streptocarpus
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学名:Streptocarpus sect. Saintpaulia
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和名:アフリカスミレ
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英名:African violets
   Saintpaulia
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原産:ケニア南部~タンザニア北部の山岳地帯
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開花時期:3月~6月・9月~11月
(年間通して室温が18~24℃の場合は通年開花)
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高さ:3㎝~15㎝
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耐暑性:弱い
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耐寒性:弱い
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セントポーリア(アフリカスミレ)の特徴

セントポーリアはアフリカ東部の山地に自生するイワタバコ科ストレプトカーパス属の非耐寒性多年草で、室内管理のみで長期的な育成と開花を楽しめる鉢花の一つです。

自生地は渓流の沿いの湿って苔の生えた岩壁や多雨地域の苔の生えた樹木などに生え、アフリカの熱帯地域とはいえ山岳地帯のため高温・低温ともに耐性はないですが、直射日光が当たらない自生環境のため年間通して窓辺や室内灯でも管理できます。

セントポーリアは発見・命名からイワタバコ科アフリカスミレ属(セントポーリア属)として独立した種でしたが、現在では分子系統学的にストレプトカーパス属に編入され、30種以上あったセントポーリア属の種・変種はストレプトカーパス属の10種の原種とその変種として構成されています。

原種は主に白・紫・青・赤などの花色で、茎が短く株の中心から葉を展開するロゼット型と茎が這うトレイル型があり、店頭に並ぶ園芸品種の多くはロゼット型が多いですが、鉢花としての改良も進み数万種の園芸品種があります。

花色は原種の花色を基本に覆輪・ストライプ・斑点模様などの色合いがあり、花形も八重咲き・半八重咲き・フリル咲きなどあり、その他にも葉色・葉型なども様々です。

園芸種は大きな分類として、イオナンスス間(旧イオナンタとコンフューサ)を交配した普通種、株姿がコンパクトなミニチュア種、這性種を元にしたトレイル種、ドイツやアメリカで発表された系統種(ラプソディ種やメロディー種など)があります。

セントポーリアの名前の由来

セントポーリアの名は、発見者のヴァルター・フォン・セントポール=イレール(Walter von Saint Paul-Illaire)と彼の父に由来し、ドイツのアマチュア植物学者ヘルマン・ヴェンドランドにより献名されました。

ヴァルターはドイツの植民地だったタンガ州(現在のタンザニア)の担当官として赴任し、知事在任中の1892年に趣味の熱帯雨林散策中に見つけ自身で「ウサンバラのスミレ(Usambaraveilchen)」と呼んでいた植物の種をドイツの父の元へ送り、父からヘレンハウゼン王宮庭園のヘルマン・ヴェンドランドへ渡されました。

1893年に新種としてセントポーリア・イオナンタ(Saintpaulia ionanthaStreptocarpus ionanthus)と名付けられました。

なおセントポール=イレール男爵による発見と1893年の新種記載以前に、セントポーリアと考えられる植物が植物愛好家により2度イギリスへ送られています。

最初は1884年イギリス保護領時代のザンジバルの副知事ジョン・カークがキュー植物園へ標本を送り、続いて1887年に牧師のW.E.テイラーが大英博物館に標本を送っていますが、どちらも標本が不十分で記載には至れなかったようです。

セントポーリア(アフリカスミレ)の管理と置き場所

セントポーリアは冷涼~温暖な気温で直射日光の当たらない明るい日陰を好み、土は保水性と排水性のバランスの良い用土を好みます。

年間通してレースのカーテン越しや直射日光の当たらない窓辺、または蛍光灯やLEDの室内灯の明るさでも株の近く(数十㎝の距離)にあれば生育できるので卓上スタンドでも育てることができます。

暑さと寒さが苦手で、冬の寒さは10℃あたりで生育が止まり、夏は気温が30℃を超えるあたりから生育が悪化し根腐れなどが起きやすくなります。

適温下と高温・低温下で管理が変わり、適温下で生育している場合は定期的な水やりを行い、高温・低温下で生育が悪化しやすい場合は水やりを抑え株が傷まないように管理しますが、住環境によって季節ごとに高温・低温になりにくい場所へ移動した方が管理が楽になります。

以下に住環境に応じた「室温が定温維持できる場合」「室温が高温・低温になる場合」の注意点などを説明します。

室温が定温維持できる場合

年間通して室温が定温維持できる住宅、在宅時間が長く夏・冬にエアコンを定常稼働させる場合などが該当します。

人が暮らしやすい室温の場合はセントポーリアも問題なく生育と開花します。

年間通して室内管理できるため、季節ごとの明るさの変化だけ注意し窓辺間を移動させ直射日光の当たらない明るい場所に置くか、卓上ライトで明るさを確保します。

秋~春の南側の窓辺は直射光が室内に入るため、レースのカーテンで遮光します。

一方夏場で軒が大きい窓辺は日差しが入らないためそのまま窓辺に置くこともできますが、室内に日差しが入る場合はレースのカーテンで遮っても高温により傷むことがあるため、北側や東側の窓辺へ移動させます。

室温が高温・低温になる場合

外出時に室温が高温・低温になる場合、夏・冬のエアコンを稼働時間が短い場合が該当します。

秋と春は生育し開花するため、室外の日陰か室内南側の窓辺に置き、直射光が室内に入る場合はレースのカーテンで遮光します。

夏場の室内は空気の対流がなく高温による枯死が起きやすいため、室外の直射日光が当たらない日陰へ移動させます。

鉢内への水やり頻度は減らしますが、夕方以降の葉水などで株の温度を下げるとともに、乾燥によるホコリダニの発生を抑えます。

冬場は、秋に室外に出していたものは夜間気温が10℃を下回る前に室内に取り込み、秋から室内管理している場合は継続して南側の窓辺でレースのカーテン越しの明るさのもと管理します。

セントポーリア(アフリカスミレ)の年間管理表
 
セントポーリア(アフリカスミレ)の植え替え

セントポーリアは基本的に毎年植え替えを行います。

植え替え時期は、室温が定温維持できる場合は3月~6月・9月~10月で行い、室温が高温・低温になる場合はそれぞれ暑さ・寒さが落ち着き生育が活発になる少し前の3月・9月に植え替えます。

鉢から根鉢を抜き取り、土を崩し、新しい鉢に新しい土を使って植え替えます。セントポーリアの根は細かいため竹串のような棒を使って土を落とすと根を残しやすいです。

セントポーリア(アフリカスミレ)の用土の選び方

セントポーリアは保水・排水のバランスの良い土を好みます。

市販のセントポーリア用の培養土で植え替えるか、混合して土を作る場合は、調整ピートモス:パーライト:バーミキュライトを等量混合した用土で植え替えます。

基本的に室内管理することが多く、水が滞留しやすく土と根が傷みやすいため、用土に珪酸塩白土を混ぜ込むと生育しやすくなります。

また市販の花や野菜用の培養土で植え替えることもできますが、セントポーリアの場合は積極的に使わない方が良いです。

これは屋外利用を想定している花や野菜の土には有機栄養素が入っていることが多く、室内管理が主体のセントポーリアの場合はコバエの原因になることがあるためです。

セントポーリア(アフリカスミレ)の水やり

セントポーリアの水やりは、適温下で生育している場合は鉢土の表面が乾いたら、鉢下から水が出るくらいたっぷりと与えます。

高温・低温下で生育が悪いか止まっている場合は鉢土が乾いて数日~1週間後くらいに水を与えるか、鉢を持ちあげたときに軽く感じるくらいで水を与えます。

空気が乾く時期やエアコンで空気が乾燥する場合は、霧吹き等で葉水を行い、特に株全体に水をかけることでホコリダニの発生を抑えることができます。

以下に住環境に応じた「室温が定温維持できる場合」「室温が高温・低温になる場合」の注意点などを説明します。

室温が定温維持できる場合

年間通して室温が定温維持できる住宅、在宅時間が長く夏・冬にエアコンを定常稼働させる場合などが該当します。

年間通して生育・開花するため、年間通して鉢土の表面が乾いたら鉢下から水が出るくらいにたっぷりと水を与えます。

室内管理では乾燥によりホコリダ二が発生することがあります。定期的に葉水をかけるか、鉢の近くに水を張った受け皿をおくなどの空中湿度が上がる工夫をします。

室温が高温・低温になる場合

外出時に室温が高温・低温になる場合、夏・冬のエアコンを稼働時間が短い場合が該当します。

秋と春は生育し開花する時期は、鉢土の表面が乾いたら鉢下から水が出るくらいにたっぷりと水を与えます。

夏場に室外の直射日光が当たらない日陰で管理する場合や冬場で室内が10℃を下回る場合は、鉢土が乾いて数日~1週間後くらいに水を与えるか、鉢を持ちあげたときに軽く感じるくらいで水を与えます。

夏場の高温乾燥でホコリダ二が発生しやすいので、定期的に葉水をかけるか、鉢の近くに水を張った受け皿をおくなどの空中湿度が上がる工夫をします。

セントポーリア(アフリカスミレ)の肥料の与え方

肥料は生育にあわせて与えるため、年間通して生育・開花する環境であれば通年肥料を与え、春・秋のみ生育・開花する場合は春・秋のみ肥料を与えます。

与える肥料はリン酸の比率が高めの花用の液体肥料を使い、薄めた液体肥料を月に1~2回の頻度で与えます。

セントポーリア(アフリカスミレ)の増やし方

セントポーリアは「挿し芽」「葉挿し」で増やします。

挿し芽

トレイル型は這うように伸びた茎を切り取って挿し芽を行い、ロゼット型では数年間育てて茎が立ち上がるように伸びた株で行います。

3月~5月上旬・9月~10月に行います。伸びた茎を切り取り、バーミキュライトや植え替えに使う混合用土に挿します。

挿し穂が乾きにくいようにビニール袋で覆うか衣装ケースに入れて保湿し、発根するまで管理します。

なお元の株からも新しい芽が出るため、株を増やしたい場合は破棄せずに管理します。

葉挿し

株分けと同じく3月~5月・9月~10月に行います。

葉挿しする場合は、葉に少し葉柄を付けた状態で切り取り、バーミキュライトや挿し木用の土などの無菌の土に挿します。

保湿のためにビニール袋で覆うか衣装ケース内に入れ、日陰で管理します。葉の根元から新芽が出てきたら鉢上げして育てます。

なお葉挿しの場合、葉に斑が入る品種や覆輪花の品種ではそれぞれの特徴がなくなることがあるため、挿し木によって増やします。

セントポーリア(アフリカスミレ)の病害虫

害虫として「アブラムシ」「ホコリダニ」、病気として「灰色かび病」などが発生することがあります。

害虫

「アブラムシ」
花、葉裏、新芽周辺に発生します。屋外の場合は風通しが悪い場所や肥料の施し過ぎなどで発生量が増えることがあるので、育てている環境の改善も行うと良いです。

室内では服に付いたものを持ち込んで発生することがあります。適宜観察して捕殺するか、予防のために殺虫用の浸透移行性の粒剤を撒くと良いです。

「ホコリダニ」
高温で乾燥する環境下で発生し、新芽を中心に被害を受け、発生すると生育が止まり開花できなくなります。

湿度が高いと発生しにくいため、霧吹きで株全体を濡らしたり、株の周囲に水を張った受け皿を置いて空中湿度を高めることで発生を抑えることができます。

またアブラムシと同じく予防のために殺虫用の浸透移行性の粒剤を撒くと良いです。

病気

「灰色かび病」
咲き終わった花柄や枯れた葉に発生します。灰色~灰褐色のカビが伝播していくため、花柄や枯れ葉は早めに除去します。

退治・治療方法

「アブラムシ」「ホコリダニ」「灰色かび病」が発生した場合では、市販の薬剤またはスプレー剤で「花き」の登録と対象病害虫の記載があるものを使っていけば退治できます。

また害虫類についてはアセフェートやクロアチニジンなどを含む殺虫用の浸透移行性の粒剤を撒くことで予防ができます。

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