ヤグルマギク(矢車菊)の育て方

ヤグルマギク(矢車菊)の基本情報

科名:キク科 Asteraceae
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属名:ヤグルマギク属(ケンタウレア/セントーレア属)
   Centaurea
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学名:Centaurea cyanus
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和名:ヤグルマギク(矢車菊)
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別名:ヤグルマソウ(矢車草)
   コーンフラワー
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英名:Cornflower
   Bachelor’s button
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原産:ヨーロッパ
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開花時期:4月~7月
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高さ:30㎝~1m
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耐暑性:やや弱い
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耐寒性:強い
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ヤグルマギク(矢車菊)の特徴

ヤグルマギク(矢車菊)はヨーロッパ原産のキク科の一年草で、やや尖りぎみの花弁が丸く並んだ花形が「矢車」に似ているためヤグルマギク(矢車菊)と呼ばれます。

別名で「ヤグルマソウ(矢車草)」と呼ばれることもありますが、本来日本の山野に自生するユキノシタ科のヤグルマソウがあるため、標準和名はヤグルマギクが正式です。

属名の「Centaurea」からセントーレアとも呼ばれることもあり、近縁種のアザミヤグルマ(C. americana)やニオイヤグルマギク(Amberboa moschata)などとともに「一年草セントーレア」として扱われることもあります。

耐寒性の一年草で秋に種をまき春に開花し、野生種は青花が代表的な花色ですが、様々な園芸種があり青花以外に白・ピンク・紫・複色などや黒花のような濃紫花を咲かせる品種もあります。

草丈は野生種のように1m近くの高さまで育つ品種から30㎝前後の矮性種もあり、春の花壇の中~後方の演出に使えるほか、乾燥させても花色が退色しないためドライフラワーとしての利用もできます。

ヤグルマギク(矢車菊)の管理と置き場所

ヤグルマギク(矢車菊)は陽当たりや風通りよく、排水の良い環境で育てます。

寒地・寒冷地では春に種まき・苗の植え付けを行い夏に開花させ、暖かい地域では秋に種まき・苗の植え付けを行い春に開花させます。

暖かい地域でも、霜や雪で傷まないように天候によって防寒が必要な場合があります。

ヤグルマギクは品種により草丈の高さが大きく異なるため、「どのように育てたいか」を考えて希望に合う性質のものを入手時に選ぶようにします。

鉢栽培する場合は草丈が低い矮性種を選び、花壇植えの場合は矮性種であれば花壇中方に植え、高性種であれば花壇後方に植えるます。

ヤグルマギク(矢車菊)の年間管理表
 
ヤグルマギク(矢車菊)の植え替え

開花する時期の違いから苗の流通する時期が異なりますが、主に晩秋~冬と春に店頭に並びます。特に春は育成用の苗だけでなく開花苗も多く見かけることになります。

どちらの苗の場合でも、購入後に一回り大きな鉢や花壇などに植え替えます。

なお鉢植えの場合は矮性種の方が育てやすいので、どのように植えたいのかを考え購入時に品種や性質を知ったうえで苗を選んだ方が良いです。

ヤグルマギクは直根性(根が下方に真っすぐ伸びる性質)で植え替え等で根を傷めることを嫌うため、根鉢やポットの土を崩さずに植え替えます。また育ちすぎた苗や根詰まりした苗は植え替え後も育ちが悪くなります。苗を選ぶ際は、やや小ぶりのものを選んだ方が良いです。

種から育てる場合は、最初から観賞時に使う鉢やプランターに直撒きもできます。

ヤグルマギク(矢車菊)の用土の選び方

市販の花用の培養土で育ちます。またブレンドする場合は赤玉土小粒:腐葉土:軽石小粒(またはパーライト)=6:3:1の土に植え替えもできます。

庭や花壇に植える場合は、土を排水良く作り替えるために完熟の牛糞堆肥または馬糞堆肥と腐葉土を土に混ぜ込みます。

ヤグルマギク(矢車菊)の水やり

ヤグルマギクの水やりは一般的な草花の水の与え方に準じます。

鉢植えの場合は基本的に鉢の表面が乾いたら鉢下から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

庭植えの場合は、植えた直後にたっぷりと水を与えた後は、おおむね雨まかせでも大丈夫です。

ヤグルマギク(矢車菊)の肥料の与え方

ヤグルマギクは肥料の与え過ぎにより徒長して倒れやすくなったり、病害虫が増えることもあるため多肥を避けます。特に窒素肥料の過多に気を付けます。

庭植えの場合は土質改良のための堆肥類を混ぜるにとどめ、肥料類は特に必要ありません。

鉢植えの場合は植え付けの際に根が傷まないような緩効性の化成肥料を土に少量混ぜ込んでから植え付け、以降は追肥として月に1回の頻度で緩効性肥料を与えるか、月に1~2回の頻度で液体肥料を与えます。

ヤグルマギク(矢車菊)の手入れ
摘芯(ピンチ)

種から育てた場合や未開花苗を植える場合は、苗が小さなころに摘芯(芽の先を摘み取り)します。

摘芯することで脇芽がでて開花量が増えるだけでなく、苗を倒れにくくすることができます。

収穫

ヤグルマギクは切花・ドライフラワー・ハーブとして利用できます。切花として収穫する場合は開き初めに切り取って飾り、ドライフラワー・ハーブとして収穫する場合は花が開いた時点で切り取ります。

ヤグルマギク(矢車菊)の増やし方

ヤグルマギクは種まきで増やします。

種まき

春または秋に行います。住んでいる地域の気候によって撒き時期が異なり、寒地や寒冷地では春(4月~5月上旬)に種を撒き、温暖地や暖地では秋(9月~10月)に種を撒きます。

種の大きさも比較的大きめで種まきしやすいので育苗トレーやポットで苗を作るか、花壇に直播きします。

特にヤグルマギクは直根性で根詰まりした苗では草丈が伸びにくくなるため、高性種の場合は直撒きした方が良いです。

ポット・育苗トレー撒き

ビニールポットまたは育苗トレーに培養土を入れ、ポットであれば1ポットに2粒ずつ、育苗トレーであれば5㎝間隔で2粒ずつ種を撒いて、数㎜程度覆土した後、たっぷりと水を与えます。

発芽後は本葉が数枚まで育ったところで、根を傷めないように植え替えます。

なおポットで育てた場合の注意点として、直根性のためポット内で育ちすぎると、ポットから移植しても大きく育たなくなるため、苗が大きく育つ前に定植します。

庭・花壇への直撒き

種まき前に土の準備を行います。完熟の牛糞堆肥や馬糞堆肥などを植えこむ周囲に混ぜてから植え付けます。もし完熟に達していない堆肥や有機肥料を混ぜる場合は、土に混入後さらに1~2週間おいてから種まきします。

土の準備ができたら、10㎝~15㎝間隔で数粒ずつ種を撒き5㎜程度覆土します。

覆土後に土の中まで染み込むようにたっぷりと水を与えます。

発芽後本葉が出たあたりで間引きします。根が傷むのを嫌うため、間引きの際は土から引き抜くのではなくハサミなどで切ると周囲の根を傷めません。間引きは葉が重なるくらいに育ったあたりで随時行い、最終的な株間が20㎝~30㎝前後までは行った方が良いです。

ヤグルマギク(矢車菊)の病害虫
害虫

「アブラムシ」などが発生することがあります。

「アブラムシ」は花や葉裏などから発生します。風通しが悪い場所や油粕などの窒素肥料過多で発生量が増えることがあるので、育てている環境の改善も行うと良いです。

「アブラムシ」の退治には、市販のスプレータイプの薬剤で「花き」の登録と対象病害虫の記載があるものを使っていけば退治できます。

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